153.とってもかわいいニワトリスたちと、獲物について考える俺
帰りは例の衛士? たちは見なかった。おそらく彼らは泊まり込みでレインボーディアーを狩るのだろうとシュワイさんが言っていた。
町に着いた時には日が落ちてきていたのでまっすぐホテルに戻った。
ら、部屋にさっそく料理長が揉み手しながらやってきた。
さすがにそれはどうかと思うんだけどなぁ。眉を寄せたら、料理長の応対をしているイハウスさんの頭の上にピーちゃんが乗った。
「オトカー、ツカレテルー! カエレー!」
「も、申し訳ありませんっ!」
料理長は慌てて戻っていった。ピーちゃんがイハウスさんの頭の上でふんすと胸を張った。その姿がかわいいなと笑ってしまう。
「ピーちゃん、ありがと」
「クサー」
「え? ああ、毒草でいいかな? 毒きのこもあるよ」
「アリガトー!」
面白いなと思った。ホテルに入る前に浄化魔法はかけたからみんなキレイになっている。
「ちょっと待っててねー」
俺は
「ごはんだよー」
リフさんが手際よく皿に肉を盛り付けたりと手伝ってくれた。ありがたい。
庭に運んで従魔たちにごはんをあげた。
「オトカ君は元気よねぇ」
「俺、羅羅に乗ってただけですから。リフさんも休んでてください」
「見てると癒されるから私もここにいていーい?」
「いいですよー」
シロちゃんクロちゃん羅羅とピーちゃんがガツガツと食べているところを見ながら、庭でしゃがんだ。
ちなみに、シュワイさんは部屋でソファに腰掛けてお茶を飲み、セマカさんはソファに寝そべっている。さすがにあの距離を走ったら疲れると思う。狩りもついて行ったし。
「……そういえば、レインボーディアーのこと言ってないんですけどどうしたらいいですかね?」
「このホテルで解体してもらったとしても、どこかから話は漏れるでしょうね」
「ですよね……」
このホテルの人たちの口が堅かったとしても、どこかから噂になる気がする。
「堂々とギルドで解体してもらうか、または森とかで自分たちで解体するしかないんじゃない?」
「森かぁ……でもけっこうでかかったですよね」
「そうねぇ」
悩ましい問題だ。
相談するにしてもイハウスさんに聞かれたくはない。ただ、肉は大量にあるからあえてレインボーディアーを急いで解体する必要はないだろう。
「そういえば、シロちゃんたちは何を狩ってきたんだ?」
帰りも黙って駆けてきたから獲物の話は聞いていなかった。
シロちゃんが胸を張り、
「スネーク!」
と叫んだ。
「えええええ」
蛇の肉かぁ……。かば焼きみたいにしたらおいしいのかな。魔物だからどんな味がするのかはわかんないな。
「ブラックディアーもいたぞ」
羅羅が嬉しそうに答えた。
「ブラックディアーはおいしいよね」
うんうんと頷く。
聞いた話によると、やっぱり獲物は多かったみたいだ。従魔たちがごはんを終えたので浄化魔法をかけてから片付ける。居間に戻ると料理が並べ始められていた。
「オトカ、食事にしよう」
「リフ~」
シュワイさんが俺に、セマカさんがリフさんに声をかけた。リフさんはため息をついた。
「セマカ、座って。私たちの席がないわ」
「すまん……」
「オトカは私の膝に座ればいい」
「食べづらいから嫌です」
シュワイさんはいったい何を言っているんだ。
「オカイイ、いくらオトカ君がかわいいからって必要以上にかわいがりすぎると嫌われるわよ」
リフさんに言われ、シュワイさんはショックを受けたような顔をした。シュワイさんと兄弟みたいな関係と言っているから、シュワイさんなりに兄だったらこうするはずみたいなことを考えているみたいだ。普通兄は弟を膝に乗せたりはしないと思うんだ。よっぽど俺が小さいとかでもない限り。
俺とリフさんの間にクロちゃんがもふっと座った。そのせいでセマカさんが端っこに追いやられる。セマカさんは一人掛けのソファに移動した。
クロちゃんは俺にくっついてすりすりしている。もー、なんなんだこのかわいい女子は!
「シュワイ、キモイー」
ピーちゃんに言われて、シュワイさんはうなだれた。
「ピーちゃん、さすがに失礼だよー」
「オトカー、カワイイー」
「ありがと」
シュワイさんは人付き合いが苦手だから距離感がまだうまくつかめていないんだと思う。俺は中身43歳の10歳男子だから、シュワイさんのことは余裕を持って見守っていけばいい。
ピーちゃんはシュワイさんにひどいことを言いながらも、シュワイさんの肩に留まった。なんだかんだいって居心地がいいみたいだ。
シュワイさんが苦笑しながらピーちゃんの羽を撫でる。
今日の夕飯もおいしかった。お風呂も入ってイハウスさんが辞してから、レインボーディアーについて話すことにしたのだった。
次の更新は、23日(月)です。よろしくー
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