短編「決死ノ覚悟」(完)

不可世

一話完結

未来は暗かった

僕は霧煙る月のない闇に居た

それは、孤独という世界で

誰も来ない場所という事

つまりはカーテンの閉め切った

部屋の中という事だ


ただ生きることに

難しさを覚えていた

人と会うたび、自分のつたなさがこぼれて

直ぐに嫌われてしまう


そして邪険にされて

のけ者にされて

一人になる

だからその痛みを知ったから

部屋に籠るようになった


でもそうしないと

自分がもっと傷つくだけだから

みじめになるだけだから

だから守るために

逃げる事が精一杯の判断だった


いいや判断でもない

なるようになった

そこへ流れ着いた

それが正しい


自分の思いを通すことなど

一度だってしたことが無い

いいや、

そんな勇気どこにもない

それが正しい

それっぽっちが僕


いつも場を読んで

でも読み違ってしまって

腫れ物になる


僕はダメな人間だ

人前に出てはいけない人間だ

だからこの部屋で

誰も寄り付かないこの場所で


息をしている


もし遥か未来で

いつか扉を開ける時があるとしたら

それはきっと人類が滅んだ後だろう


そんな妄想をしてる

そんな妄言をネットに書き込んでる


な、だめだろ僕って

間接的に幸せを得ようと

こそくな詩を書いてる


ほんと誰も救えない

自分よがりの駄作

僕なんて早く消えればいいのにね


ごめんね

生きてて・・・

ごめんね、ごめんね・・・

みっともなくて

みすぼらしくて

不甲斐なくて

どうしようもなくて


何も生み出せない

そんなていたらくで

むざむざと時間を浪費して

無価値で不毛に意味もなく

ただ世間をケガしてる


ほんと、ほんと。

生まれて来なければよかった

事故にでもあってればよかった

死んでいた方が世の為

懸命に生きてる人もいるのに

僕は部屋で塞ぎ込むだけ

僕は・・・僕は・・・

命をバカにしてる


ほんと、僕なんて死ねばいいのに。


僕なんて、産まれて来なければよかったのに・・・。


ねぇお母さんお父さん、

もう楽にしてよ


こんな繋がり

ひきこもりの僕が居るだけで

世間で悪目立ちするよね

苦しめてるよね・・・


ごめん

ごめんなさい


僕ってほんと

ほんと・・・

死ぬべき人間だよね


バイバイ。

僕、今日こそ死ぬから

その方がいいはずだよね

いいはずだよね・・・


もう死ななきゃ僕は一生このままだから

きっといつまでも逃避するから

だからお別れ


ほんとに今日までごめんね

もう明日からは迷惑かけないから


ここで死ぬから

もう心配しないで済むでしょ

じゃあね


お父さん

お母さん

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