第3話 泉復活!Happy end!…なわきゃない
また泉が湧き出している事に気付いてから、いくつか以前とは異なる点に気付いた。
まず、時を問わずに泉が溢れ出してくる事はない。
大学生活という何でも自分で行動せねばならない環境で、色々と考える事もあり、そんなむやみやたらと溢れ出しちゃ困るだろうと自重でもしてくれたのか。
そして、もう一つ。
言葉が泉から溢れ出すスピードに書く手がついていけなくなった。
老化か!(泣)
ついていけて最後まで書ききれる時は良いのだが、ついていけなくて記入が滞ると、途中で泉が止まってしまうのだ。
しかも、書けなくなった瞬間に泉が止まってくれれば良いものを、少し先までいって「書けんのかーい」と嘲笑うかの様にぷつっと途切れるのだ。
自分の中にある泉だろうに、なんと底意地の悪い。
そうなると大変で、すぐに滞った箇所が何という言葉だったかを思い出せれば、また次を溢れさせてくれるのだが、その言葉がわからないと完全にこの泉様は黙秘する。言葉の泉様の機嫌を取るのは実に骨が折れる。
それでも、どういう感じの事を書こうとしていたのか、どういう言葉なのかは何となく覚えているので、その言葉から正解を辿ったり、自分で無理な時は地元の母に連絡しては、「こんな感じの言葉を探してるんだけど…」「◯◯みたいな言葉でもっと四角い感じの言葉何がある?」と、実にアバウトで奇天烈な質問を投げかけた。
こんなアバウトな質問ではあるが、さすが私の感覚と今までの文章を見てきた母。正解に辿り着く為のアシストは家族の中でも随一!どれだけ私の泉様の機嫌を取り戻してくれたか。本当に感謝してもしきれない。
だが、時にはどうにもならずに諦める事もあり、似通った言葉をあてがっては無理やり文章を成立させる事も多々あった。
そういう時の文章は、途中までしっくりくるのに、途中からはなんとも気持ち悪い。
感覚としてとても気持ち悪いのだ。
でも、それでも泉が復活してくれた事が私には嬉しくて仕方なかった。
ただ、前と違い時を問わずに溢れ出してくる訳では無いので、書く機会が減れば必然と湧く機会も減る。
学年が上がる程に勉強・バイト・就活・卒論と追われ、気が付けばサイトに書く事も、物を書く事自体もほぼ無くなっていた。
まして、卒論や就活時に求められる文章は、私が面白いと思う私らしい文章性は求められていない。
そして・・・
もう一度泉は枯れた。
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