第18話

 遠足に向けての話し合いが終わり、いつも通りの授業が始まる。

しかし、今日の俺はいつもとは一味違った。

遠足の行き先が北海道だからだ!

いつもの退屈な授業もまじめに受けていた。

(早く来週にならないかな~)



<放課後>

「これで今日の授業も終わりだ。来週の遠足が楽しみの人が多いと思うが、ここで残念なお知らせだ。金曜日にテストを行う。そのテストで赤点を取ったら、遠足の初日に補修だ」

「えーーー!!」

「嘘だろ!?」

クラス中から非難の声が出る。

「補修といっても夕方からだ。まあ少し自由時間は減るが、、、。それにテストといっても今までの授業をちゃんと聞いておけば問題ないような簡単な問題だから安心しろ。今日はこれで終わりだ」



先生はそう言い終えるとクラスはテストの話題で持ちきりになった。

「まずいまずい」

焦る声や、

「ちゃんと真面目に受けててよかった~」

安堵する声。

様々な声が上がる。



そんな中、俺は頭を抱えていた。

(まずい)

俺もどちらかというと焦る側の立場だ。


「なんとか大丈夫そうだな」

安心したように声をかけてきたのは富士川だ。

何気にこいつは勉強できるからな。

「おいおい、南条は大丈夫なのか~」

ニヤニヤしながら聞いてくる。

「忘れてた…富士川ってこう見えて勉強ができるんだった…」

「失礼だな!?」

(今日から勉強するしかないな)

心で決意する。

今までで一番のやる気を見せる。

「っていうか、南条ってそこまで勉強できないのか?」

富士川が聞く。

(そういえばこいつには言ったことなかったな)

俺は一枚の紙を渡す。

二学期の定期考査の結果が書かれている紙だ。

「どれどれ…って数学と国語学年トップ10じゃねえか!?」

俺の様子から赤点ぎりぎりと判断していた富士川が驚く。


「そこは別に問題はない。問題はその下だ」

「した?」

そう言って彼は目線を下に動かす。


「英語…三十点!?」

またも驚く。

「おいおい、なんだよこの落差は」

俺の結果を見てあきれながら紙を返す。

「英語はからっきしなんだよ」



 俺は数学や国語は上位だが、社会や物理、化学などは平均、英語に関しては学年でも下位といえるレベルなのだ。

(英語は中学の時から苦手なんだよな)

しかし、今回はそうとも言っていられない。

(遠足に行ってまで勉強なんてしたくない!)

やるしかない。




 家に帰った俺はすぐに机に向かう。

椅子に座った俺は英語の教科書を開く。

「早速始めるか!」

意気揚々とペンを走らせるのだった。





「うん、無理」

開始数分ですでに限界を迎えていた。

「仮定法って何なの?それに現在完了とかもう現在でいいだろ!」

教材に文句を言うが、何も現状は変わらない。

はあ。

ため気が漏れる。


(しかし、一人でやるには限界があるな。さっぱりわからん)

考えてもなんでそうなのかの理屈が分からず、頭を悩ませる。


「よし、明日富士川に聞くか」

そう決めた俺だったが、さすがに赤点になるのは嫌なので授業で使われている長文の暗記をしておくことにした。

金曜に行われるテストは授業の復讐も兼ねているため、今までの授業の内容が出るからだ。

(最悪これで長文は乗り切れる)


俺は夜遅くまで暗記に時間を費やす。

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