第17話

グループを決め終えた俺たちは先生に報告する。

「よし、グループを決め終えたら一度席についていてくれ」

先生の言葉によりほとんどの生徒が座る。周りを見るとあの三人組も決まったようだ。


「みんな決まったようだな」

少し経ち、全員が席に着くと先生は話し始める。

「知っての通りうちの高校の遠足という名前で毎年一泊二日の行事が行われる。その場所は毎年違うが今年の場所は北海道だ」

「おおおお!」

「やったーーー」

そこまで言い終えるとクラスが沸き立つ。

「静かに。騒ぎたくなるのもわかるが最後まで聞け。まず初日は自由行動だから好きにしていい。昼食と夕食は各自で済ませるように。今年は北海道ということもあり、どこかで食べてもいいし自分たちで作ってもいい。もし作るなら宿泊施設の調理場を使うように。宿泊施設は旅館だ。各グループの男女別々で固まった個室が用意される。二日目は文化について学ぶ全員での学習となっている。今からの時間はどこに行くか話し合うように」

 先生が話し終えるとすぐさまグループに集まり始めた。むりもない、今までは近隣の県だったのが今年は北海道ということもありクラスが浮き足だっている。



「やっぱ行くなら五稜郭だろ」

「いやスキーだろ」

「私ショッピングモールで買い物はかな」

 三者三様でみんなが自分の行きたいとこを上げていく。

(五稜郭とは意外だな)


 次はどこに行くかの話し合いが始まった。

もちろん話しているのは早稲栗、黒木、百合がメインでたまに俺達も混ざる感じだ。

「皇さんはどこか行きたいところある?」

「私は皆さんと行けるならどこでも構いませんよ」

ニコニコと笑って返す。

「スキーはさすがに無理だろ」

「五稜郭も遠いだろ」

アイデアが出終えるとどこに行くか絞る必要がある。

お互いが言いあっていると、

「決まりそうにないのでしたら公平にじゃんけんで決めるのはどうでしょう」

皇さんが提案する。

「じゃんけんか」

「いいんじゃないか」

誰も反対することはなく、くじで決めることにした。

「せっかくなので一人一か所ずつ案を出さない」

百合が言う。

「その方が公平だしね」

俺達はみんな一つ案をだし、そこからじゃんけんで決めることになった。

俺は水族館、富士川は遊園地、百合たち女子は全員はショッピングモール、早稲栗はスキー、黒木は五稜郭だ。

「じゃあ、やるぞ。最初はグー、じゃんけん」

誰もが手を中心に向けて出す。



 みんなせっかく北海道に行くということもあり、自分の行きたいところに行きたい。だが、行けるのは一か所、行けても二か所までだ。だからこそ、このじゃんけんには負けたくないと思っているだろう。

「うわー、一人勝ちかよ」

「さいあく」

じゃんけんに負けた人たちは残念そうにがっくりと肩を落とす。


「よかったな!」

「ああ」

富士川に祝福され、うなずく。

そう、なんと勝ったのは俺だ。それも一人勝ち。

(ラッキー!)

俺はこの結果に喜ぶ。


(まさか北海道の水族館に行けるとはな、どんな魚がいるんだろう。たのしみだな)

行く前から余計に楽しみになる。


「よかったわね」

「提案してくれてありがとな」

百合にお礼を言う。百合が提案してくれなかったら俺は案も出せずに終わっていたことだろう。


「別にあんたのためじゃないわよ」

ふんっとそっぽをむく。



「決まったからには水族館を楽しむか」

「だな」

早稲栗たちももう気持ちを切り替えていた。

「北海道につくのは12時くらいらしいから先にお昼ご飯を食べつのはどう?」

「それでいいよ」

「さんせー」

「やっぱり北海道といえば海鮮だろ」

「いいですね」


 昼食は海鮮を食べることになった。

初日は昼食は水族館の近くのところで海鮮を食べ、そのあとに水族館に行き余った時間は買い物となった。



「いやー楽しみだな!」

早稲栗が声を上げる。

「ほんとそれ」

「北海道なんて行ったことないから楽しみ」

「そうですね」

「そうだな」

「ああ」

皆が次々に声を並べる。



遠足は来週にある。

(最高の遠足になりそうだ)

俺は遠足の予定に気分が上がるのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る