第14話 

 雲一つのない快晴。辺りを見回すと家族ずれやカップル、友人と遊びに来た人たちでにぎわっていた。今日は土曜日ということもあり、平日と比べて多い。

 ここは学校の近くにあるショッピングモールだ。

「お待たせ」

元気のない声で富士川がやってくる。

無理もない、昨日の今日だからな。


「いや、今来たとこ」

「それで何するんだ?」

二ッと笑って俺は言う。

「ゲームセンターだ!」


「あー、惜しい!」

「そこだ行け、行け」

俺たちはゲームセンターで遊びつくした。

メダルゲームから、クレーンゲームまで。ありとあらゆるゲームにお金をつぎ込んでいく。

「お、おい。そんなに使ったら」

あまりの散財っぷりに富士川も忠告してくる。


「何言ってんだよ。せっかく遊びに来たんだから遊ばなきゃ損だろ」

「だけどよ」

「そんなに言うならあんまり使わないでいいように、アドバイスしてくれよ」

「俺には無理だよ」

消極的に言う。

「おいおい、また昨日みたいに逃げるのか?今日は周りにも人はいないんだぞ?」

俺は挑発する。

「分かったよやってやるよ」

そこまで言われて少しムッとなりながらもやけくそ気味に言う。

「そうこなくちゃ」





「なんでそこに置くんだよ」

「待て待て、これは先を見据えてだよ。まあ見とけ」

俺は友人の言葉に耳を傾けながら結果を待つ。

「あああああ!」

見事に失敗に終わった。

「ほら見ろ!俺の言ったとおりだっただろ」

ドヤ顔になりながら富士川が言う。

「なら次は富士川がやってみろよ。実際にやるのとみるのは違うからな」

「ああ、分かったよ」

俺は場所を交代し、富士川に譲る。

慎重に考え、決定を下す。

「おいおい、そこはまずいだろ」

「大丈夫」

俺はあきれながら見るが、富士川の目には確信あるようだった。



「嘘だろ!」

結果は見事成功。

「これが実力だ」

自信満々に富士川が答える。

「いやいや、ビギナーズラックというやつだ。次はあれだ」

俺は少しにある機械を指さす。

「運じゃないことを証明してやるよ」

どこか火のついた富士川が高らかに宣言する。


(どうやら、少しは気がまぎれたかな)

俺は彼の姿を見て安堵する。





<一時間後>

「やっぱり、あそこは見逃すべきっだっただろ」

「いやそれもまずいだろ」

 俺達はゲームセンターを出る。

すでにお金が底をついてきていたからあだ。

今もついさっきのことについて話していた。


「少しは元気になったようだな」

「ああ」

そう言われ富士川がうなずく。



「よし、ならそろそろ昼ごはんにするか」

俺たちはフードコートに行くことにした。



「結構待ったな」

「そうだな」

俺達は長蛇の列に並び、お目当てのご飯を手に入れた。

「やっぱりここのはおいしいな」

「ああ」

どんどん富士川の口数が少なくなっていく。

その顔もどこか悩んでいるようだった。




「あのさ」

意を決して俺に話しかける。

「なんで、俺を助けてくれたんだ?」

「いっただろ。友達だからって」

「それでもおかしいだろ。そうはいっても今度は自分が標的にされたかもしれないんだぞ」

俺の言葉に納得がいかなかったのか、興奮気味に詰め寄る。

「なんで助けたんだよ…」

切実に頼む。


「俺のことを受け入れてくれたからだよ」

友人の様子に俺は理由を話すことにした。

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