第4話
「ご趣味は?」
「どこの学校から来たんですか?」
「部活は何してましたか?」
「どうして転校してきたんですか?」
ホームルームが終わり、皇さんの周りに人が集まる。
俺はその様子を終始眺めていた。
「ええと…」
「みんな落ち着いて。皇さんもそんなにこられたら困っちゃうよ。質問は後でした方がいいかもね」
返答に困っている皇さんに助け舟を出したのはクラスの学級委員長であり、元気溌溂なクラスのムービーメーカー的存在だ。
ちなみに学年でも有名なほどかわいい。
「確かにそうですね」
「ごめんなさい」
皇さんを取り囲んでいた生徒は彼女の一声により減る。
「ありがとうございます。ええと、、」
「私の名前は玉木百合。一応クラスの学級委員をやってるわ。よろしくね、皇さん」
「はい、よろしくお願いします」
笑顔で返す。
(尊い)
彼女たちの様子に一つの言葉が浮かび上がる。
(ってそれどころじゃない。どうして彼女がここにいるのかわからないが今こそ名乗るチャンスではないのか!!)
「彼らも悪気があるわけじゃないのよ。だからもしよかったら、学校案内の後にでも話してあげてくれない?」
「ええ、もちろん」
「ありがとう。話は聞いてだでしょう。薫、案内してあげて」
一区切りついたのか百合がこちらを見る。
(ん?カオル??)
「何呆けてるのよ。さっさと案内してあげなさいよ」
「え、俺?」
「薫はあなたしかいないでしょ」
「えええええ!なんで俺が」
「先生も言ってたでしょ、隣の席の人がやれって」
やれやれ
百合はあきれたように溜息を吐く。
「俺への扱い雑だな!」
「はー?あんたにはこれで十分でしょ。いいからさっさと案内してくる」
百合に促され俺は皇さんを案内することとなった。
(これは早速名乗るチャンスでは?)
「皇さん、俺が案内しよう」
俺は席を立ち彼女に言う。
緊張のせいかキザっぽい言い方になる。
「はい、よろしくお願いします」
彼女は俺の言い方など気にも留めず席を立つ。
「ちゃんと案内するのよ」
「はいはい」
百合に言われながら俺たちは教室から出る。
背中には男の羨望と殺意の視線を浴びながら。。。
***
短めとなりましたが、今回はこれで…
次回の更新は明日の予定です。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます