第47話 フェンリル神殿
フェンリル様の問い掛けにヨルムは
「フェンリル兄様、私は生まれて初めて幸せと言うものを見つけたのです。そしてそれは…………」
ヨルムは僕との経緯を洗いざらい話した。
フェンリル様は暫く考えたのち、
「なるほどのう、お前が神に許しを請うほどとは
のう…、それで我に何の用じゃ?」
と不思議そうに仰られた。
ヨルムは伴侶と決めた僕に付き従い女神の依頼の
魔王討伐をともにすることに決めたこと、その為には僕のレベルをもっと上げなければいけない事を説明し、その協力をお願いしに来たと告げた。
「それならば、この神殿より北にいにしえより伝わる迷宮があるという。いや、強者の気配があるで間違いなくあるであろう。そこで鍛えれば良かろう」
フェンリル様の提案に
「ありがとうございます兄様」
礼を伝えその場を離れようとするヨルムに
「お前がともに居れば…うぬぬ、十分に気を付けよ」
フェンリル様は心配そうに声をかけた。
「あそこです」
案内のライカンスロープの指す方を見るとマチュピチュの様な遺跡が見えた。
その最上部には真っ暗な闇が口を開けていた。
案内に礼を言い、入り口へ向かう。
僕の【照明】のスキルを使って迷宮の中を進んで行く。
魔物探索に3つの点がこちらに近づく…、ミノタウロスが3体! すかさずマリンが
「ダーリン、焼肉〜っ!」
と 飛びかかる。
瞬時に2体を倒すマリン。
慌てて僕も1体を倒した。
ミノタウロスの焼肉食べたさに興奮するマリンを呼び寄せ、晩御飯は焼肉にするからレベリングに協力するように諭した。
引き続きこの階層を回遊するがミノタウロスの群ればかりだ。
まさにミノタウロス祭り状態だ。
流石にミノタウロスを100体以上倒したところでマリンの食欲の限界が近いため、今日のところは迷宮を切り上げる事にした。
迷宮を出た僕達はフェンリル様の元に戻り一緒に
焼肉パーティーをすることにした。
フェンリル様に迷宮の1階層はミノタウロス祭りだったと報告すると、ヨダレを垂らされたので取り敢えずミノタウロスを3体献上した。
マリンが僕の服の裾を掴んでせがむので、特上タン塩と特上ロース、特上カルビの用意をして焼き始める。
焼けた先から皆で消費するので必死になって焼いていく。
僕を見て要領を覚えたシンシアとラナも焼き方を手伝ってくれてやっと僕も食べる事が出来た。
「タン塩ウメ〜!」
の 僕の声に既に生ミノタウロスを食べ終えたフェンリル様が興味を示した。
素早く焼き上げ渡すと
「これは美味いな!?」
と 喜ばれたのでフェンリル様には特別に塩コショウで味付けした特上ステーキを10キロほど渡すと
またまた大喜びされた。
ここで僕は麦酒もどきを作ったのを思い出したので
無限収納から1樽取り出して味見をしてみる。
ん〜、ちょっと温いがビールに近い、まずまず合格と思ったので皆に試飲してもらう。
フェンリル様はイケルくちらしいので1樽渡した。
マリンとヨルムも美味しいと言ってくれたので一緒に味わうことにした。
シンシアとラナには果実酒を渡す。
麦酒に酔ったのかフェンリル様は
「今日からお前は我の義弟だ、のう義兄弟よ」
と ご満悦だ。
どうやら今日から僕はフェンリル様の義兄弟らしい
こうしてフェンリル神殿の夜は賑やかに更けていった。
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