第41話 ノクチに帰って来た

 任命式が終りノクチに帰るのだが馬車は明日の朝になる。

折角なので街を観光しながらお土産を買うことにした。

この街のお土産の定番と言われているらしい銘菓と

地酒を10セットずつ購入した。

ノクチと比べてやはり賑やかなサキガワの街を時折買い食いをしながら歩いていると、とある宝石店のショーウィンドウに飾ってあった首飾りにラナが目を止めたのに気が付いた。

それは一瞬と言っていいほどの僅かな時間だったが

ラナにしては珍しいので気になったのだ。

その首飾りは華美な装飾ではなく割とシンプルなデザインで普段から着けても可笑しくないものだった

「ラナ、その首飾りが気に入ったのか?」

「えっ!?なんでわかっ…」

「買おう!どうせなら皆でお揃いにしょう」

「えっ、えっ、え〜!?」

有無を言わせず店に入り店員に

「これと同じものを何個用意出来るかな?」

「えっ?ちょっとお待ち下さいね、店長〜」

店長を呼ぶと奥から揉み手をしながら出て来て

「そちらと全く同じなら3セット、色違いでよろしけれ同じデザインの物を10セットご用意できますが、いかがなさりますか?」

「んじゃ、10セット全部買う、値引きとかオマケはあるよね?」

「ぜ、全部!?わかりした。代金は1割引にオマケに同じデザインの腕輪を1つお付けします」

「それで頼む」

そう言って金貨十数枚を渡した。


腕輪は自分で身に着けた。

首飾りはラナがグリーンをマリンはレッドをそれぞれ選んだものを着けてあげた。

二人ともとても喜び、その晩盛り上がったのは言うまでもない。

ノクチで待ってくれてる皆も喜んでくれるといいな


あくる朝、馬車に乗りこの街を出るのだが特に感慨もない、ムカつく奴が約1名居たしねっ。

それよりも早く帰ってムフフしたいよ、ホントに。

早く帰りたい僕は馬車の御者にお金を渡し、しかも僕とマリンの二人は馬車に乗らずに空を飛んで移動した。

結果、その日の夜遅くにノクチの街に着くことが出来た。

ミラノさんの宿に行くとミラノさんはまだ起きていて快く3人を出迎えてくれた。

もちろんその後はミラノさんとムフフ…。

ミラノさんはイエローの首飾りを選んだ。


翌日、朝イチでギルドに訪れ他の冒険者に対応しているレオナさんに目で合図を送りながら手が空いてあるギルド職員にギルド長との面会を求める。

ギルド長は機嫌よく対応してくれた。

土産の地酒と銘菓を渡しギルド本部での話や任命式での第四王子との1件などを話した。

「それは大変だったね…申し訳なかったが例の約束の家の話は大丈夫だから、詳しくはレオナ君に聞いてくれたまえ」

そうだ、家をもらえる約束だったのだ。

なんだかワクワクしてきたな。

ギルド長室を出てホールに戻ると手が空いたレオナさんを見つけ声を掛ける。

ちょっとで休憩だと言うのでサキガワ土産の銘菓を職員の皆で分けて下さいと渡し顔見知りの冒険者と世間話をしながら彼女を待った。


休憩に入ったレオナさんを連れ近くの喫茶店に入った。

お土産の首飾りは彼女はブルーを選んだ。

もらえる屋敷の話だが修繕と清掃が済み次第の引き渡しになるらしい…楽しみだ。

休憩が終わるそうなので今晩仕事終りに迎えに来る約束をしてレオナさんと別れた。


次はシンシアだな。

シンシアの定宿に行き伝言を残し自分の宿の部屋に戻る。

1日バタバタと動いたのでちょっとベットに横になったらそのまま眠ってしまったようだ。

ドアをノックする音で目が覚めた。

訪ねて来たのはシンシアだった。

部屋に招き入れ、お土産を渡す。

彼女はオレンジを選んだ。

1週間ぶりで寂しかったと甘えてきて、そのまま

ムフフの状態に…。

ノクチに帰って来たんだなあと実感した。

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