第28話 ハーレム王への第一歩

 無事にノクチの街に入れた。

次はギルド長に魔族の砦を殲滅した報告をしに行かなければならない…。ギルドに行くということは

当然レオナさんにも顔を会わせることになる。

まあ、なるようにしかならないのだが、思い切りが

なかなかつかない。

刻々とギルドに近づく、ヒカリは自分に(誠心誠意、誠心誠意、誠心誠意…)と暗示をかける。

ギルドの入口をくぐり、レオナさんと目が会った時はパッと花が咲いたような笑顔になった。

僕に続いて入ってきたマリンとラナを見るまでは…

誰かこの部屋に絶対零度の魔法をかけたのかしら

寒い、寒いよ~。

レオナさんのクチビルの動きを読む…ド・ウ・イ・ウ・コ・ト……絶対に怒ってるじゃん。

もう、あれしかないな。

天に召しますフローラ様に上手くいかせてもらうことを祈りながら、レオナさんの前に小箱を置いて

「あとで、ちゃんと説明するから…先にギルド長に報告してきます」とだけ伝えた。

訝(いぶか)しげな顔をしながらも小箱の中身を確認すると静かに頷いた。(セ、セーフ!)


マリンとラナの冒険者登録の手続きをラナにお願いして僕はギルド長の執務室に案内してもらった。

「ヒカリです、只今戻りました」

「お〜、お帰りなさい、ご苦労様だったね」

「はい、なんとか無事に戻りました」

「それで砦の様子はどうだったのかな?」

「はい、全て倒し、殲滅してきました」

「…?ん、何を?」

「だから、砦にいた魔族を全て殲滅してきました

 こちらが砦の長の将軍の魔石と証拠の勲章です」

「…私の耳が確かなら全て殲滅したと聞こえたが、まさか本当に…?」

「だからさっきから言ってるじゃないですか」

「にわかには信じられんがそうなのだろうな」

「大型の攻撃魔法を何発かぶっ放したのでメチャクチャですが、探索魔法で魔族の反応がしませんでしたから殲滅出来てると思います」

「一応すぐに調査隊を差し向けよう」

「あと、殲滅したあと、見えてる魔石しか回収してないので探せばかなりの魔石が見つかります」

「わかった、その件も伝えよう」


ギルド長の執務室を出てレオナさんの元へ向かう。

彼女の仕事の合間にあとでキチンと説明したいから

レストランの個室を5名分の予約の手配をお願いする。マリンとラナと合流すると二人ともブロンズの

冒険者カードを見せてくれた。

3人でギルドを出て、シンシアの定宿に向かい受付の人にシンシアへのメッセージをお願いする。

(あと1人説明が必要な人がいるな)

ミラノさんの宿に3人で向かい、ミラノさんに

「この二人に何か食べる物をお願いします、そして僕とちょっとお話しできませんか?」

ミラノさんは「わかったわ」とだけ言って二人を

食堂へ連れていきグレートボアのシチューを出した

二人はシチューの旨さに喜び夢中で食べ始めた。

そんな二人を残して僕のもとへ戻ってきた彼女は

「ちゃんと説明してくれるのよね」

そう言って彼女の自室のへと案内した。


ベットに腰掛け腕を組んで話を待つ彼女にマリンの生い立ちから砦での出来事、ラナのエルフの里が魔族によって滅ぼされ行く所がないことなどを全て

話した。

彼女は全てを話し終えた僕を手招きし、僕の両ほほを手のひらではさみ、目を見つめて

「貴方は優しすぎるわ…だから私にもその優しさを分けて下さい。」

そう言ってクチビルにキスをした。

初めは口を合わせるだけの…

やがてそれはお互いの髪の毛をまさぐる程の激しい

キスをした…

口を離し見つめ合ったその後で

「今日はあの二人も待ってるし時間がないから…

 だけど次は最後までお願いするわ」

髪を直し終えるともう一度キスをして部屋を出る。

その後ろ姿に

「よろしくお願いします」と呟いた。

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