第29話 ハーレム王になる第2歩

 夜9の刻(午後7時)を過ぎた頃から始まった

食事会は殆んど会話もなく進む。喋っているのは

マリンだけで無邪気な彼女は

「ダーリン、これ美味しいな!」

「ダーリンのそれもらっていい?」

など食べたこともない料理に浮かれている。

食事もそろそろ終わりかと思われた頃、レオナが

カタリとフォークを置いて

「それではそろそろ説明してもらいましょうか…

ねえ、ヒカリ君」

「わかったよ、まずは…」

僕はレオナ、シンシア、ラナを前に話し始めた。

(マリンはデザートに夢中です)

マリンの生い立ちから魔族達の酷い扱い…父親のネグレクト、生き残る為には強くなるしか無かったことなどを話し、最終的に一緒に砦の魔族を滅ぼしたことを説明した。

マリンの母親の死…恨みつつも母親の名前をもじって自ら名乗るマリン…魔族達の本当に酷い扱いを話している時だった。 レオナは突然に嗚咽を漏らし始め、ついには号泣シ始めた。やがてそれはシンシアにも移り彼女も号泣、仕舞いにはラナまでもが泣き出した。

レオナはマリンを抱き寄せ頭を撫でながら

「これまでずっと辛かったわねえ」

「でも、今はダーリンが要るから幸せ!」

「も〜、そんなこと言われたら許すしかないじゃな

 いの」と泣き笑いになっていた。

シンシアも泣きながら

「そうだね、許すしかないよね」

と、マリンの背中を抱く。

「マリンちゃんにそんなことが…ウウウ」

とラナも泣く。

皆の心が1つになった頃、僕はシンシアに耳を

引っ張られた。

「ところで、レオナさんの左手の指輪の説明は?」

その声が聞こえたのかレオナさんは指輪を皆に

見せびらかす。(挑発は止めて…)

僕が渡した小箱の中には指輪と手紙が入れてあり、

手紙の内容は"自分の元いた世界では、一生を共に

する相手の女性には誓いとして指輪を送り左手の

薬指に嵌めてもらう習わしがある"と言うものだ。

「ちゃんとシンシアの分もあるよ」

そう言って無限収納から指輪を取り出して彼女の

指に嵌めてあげた。

固まって動かなくなったシンシアの目には涙が溢れ出した。

すると今度はマリンとラナに引っ張られ、私達の分は無いのかと問いただされる。

(そんなん用意出来てるわけないだろ!)

すぐに作ってもらうからと、なんとか納得させた。

(これは一緒にミラノさんの分もいるな)


話も纏まって次は皆で一緒に暮らす為に家を買おうと思うと発表した。

その意見には皆が賛成した。

レオナさんが仕事の合間に探してくれると申し出て

くれた。

二人に渡した指輪はミスリル銀で出来ている。

(流星剣を作った余りをニコルさんが渡してくれた

 のだ。本当に律儀な人だ)

忘れない内に3人分の指輪を発注しておこう。

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