第16話 再びニコルの武器屋へ

 今朝もミィーにテシテシと起こされる。

昨日は頑張ったので今日は1日ゆっくりしようと決めていたのだが、実はやりたい事があるので、サッサと起きる。

身支度を整え、ミィーにエサをあげてから食堂に向かう。ミラノさんと世間話をしながらゆっくりと朝食をとる。平和な日常に気持ちがリフレッシュされて、活力が湧いてくる気がした。

さあ、今日の目的の為に行動しますか。


 宿を出て3日前に訪れたニコルの武器屋に来た。

店に声を掛けながら入ったが店主の姿が見えない。

工房の方に回るとずんぐりむっくりの背中が見えた


「こんにちは、ニコルさん」


「なんでい、もう武器を壊したか?」


「いえいえ、壊してはないですけど、それに近い

 というか…」


「いいから出してみな」


そう言われて無限収納から鉄の剣と銅の剣を出して

ニコルさんに見せた。


「…?お前さん何を斬った?」


「あの、その…オークジェネラルとオークキングを

 少々…」


「ぬぁにいぃ〜、あれだけ無理はすんなって…」


「そっ、そうなんですけど…ボルノさんパーティー

 と一緒に退路を塞がれた状態で襲われて…そのう 

 戦うしかなかったんですよ」


「まあ、無事に帰って来れたからいいが本当に無理

 はするなよ」


「わかりました」


「それでこの2つを整備すりゃいいのか?」


「それもお願いしますが、実は見て欲しい物がある

 んですよ」


そう言って無限収納からオークキングの大剣と王冠を出してニコルさんに見せた。実は鑑定で大剣は魔鉱石で出来た物であることが分かっていた。

更に王冠はミスリル銀だ。


「お前さん、これが何か分かってるんだな?」


「はい、これで僕に武器を作って頂けないかと思い

 まして…」


「お前さんはオークキングを倒したんだよな?」


「はい、かなりギリギリでしたけど」


「それなら資格はあるな、ただし金貨5枚出せるな

 らな」


「それなら大丈夫です、キングの魔石が高値で売れ

 ましたから」


 話が纏まり僕の為の剣と防具を作って貰うことが

決まった。今まで使っていた防具もボロボロだったので新調するしかなかったしね。

ただ、全てが出来上がるには半月かかるそうなので

魔鉱石で出来た防具と剣を一式で特別に金貨3枚で

譲ってもらった。

新しい装備を作る事が決まってウキウキとした足取りで街を歩いていると、いきなり後ろから目隠しを


「だあ〜れだ」…?この声はシンシアさんじゃん。


「もしかしてシンシアさん?」


「正解っ〜!正解した君は私とデート出来ます」


「え〜、ハズレてたらどうしたんですか?」


「ハズレの場合は罰ゲームで私の接待です」


どっちもあんま変わんねえじゃん。

まあ、美人のシンシアさんだからデートも楽しく出来そうだし良いかな。

ちなみにシンシアさんは僕より3歳上の18歳で透き通るような白い肌に銀髪のセミロングが似合う美少女なのだ。(僕なんかじゃなくてもお相手はよりどりみどりだと思うんだけどな…)

デートと言ってもこの世界ではどうするのだろう?

シンシアさんにデートは未経験だと伝えると嬉しそうに私に任せてと胸をたたいて張り切っていた。

まずはウィンドショッピング?カワイイ小物や雑貨のお店に服屋さんなんかを見て回る。

下着売り場にも付き合わされて、どれが似合うかなんて聞かれてもさあ、答えられないって。

その後はお気に入りのスイーツ店でマッタリ過ごし

公園のベンチで語らう。

夜も一緒に食事したいと雰囲気のあるお店に連れて

いかれ、食後にお酒をやたら進められた…コッソリ

とキュアを自分にかけながら飲んでいたので全然酔わずにシンシアさんだけが酔い潰れた。

結局、彼女を背負って宿に届けるはめになった。

まあ、今日1日恋人気分を味わえた良い日だったと

思えたが、宿の部屋まで届けると寝かせたベットに

甘えて引き込もうとする。

酔った女の子に手を出すなんて僕の信条に反する

なんてカッコつけたが

「私には魅力が無いの?」とか

「他に女がいるの?」などと言い出すので

「そんな事ないよ」と囁きながら優しくキスをして

(スリープ)で眠らせた。


僕のこの世界での目的は第一に魔王を倒すことだ。

だから、見境なく女の子に手を出すと冒険に支障を

きたす絶対に。

とはいえ、この身体は15歳、みなぎる物も確かに

あるんだよね、だからちゃんと見極めてからにする

事を心に決めた。

それ故、今夜は大人しく帰ります。





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