第9話 ニコルの武器屋

 宿屋の母子とイチャイチャされていい気分になっていたがボルノさんが酔っ払う前に武器屋や道具屋の情報を教えてもらわねばならないのだった。


「ミラノさん、ボルノさんは戻られてますか?」


「ボルノさんならちょっと前に帰ってきて今はお酒 

 を飲んでたわよ」


「武器屋のこととか相談したいと思って」


「じゃあ、酔っ払う前に行った方がいいわ」


「ありがとうございます」


食堂に入ると仲間達と楽しそうに笑い合うボルノさんを見つけた。近寄り声を掛ける。


「ボルノさん、お楽しみの所お話よろしいですか?」


「おうヒカリか、お疲れさん。何の話何だ?」


「昼間、ゴブリンマジシャンと戦った時にファイア

 ボールを何度か受けまして、木の装備がちょっと

 焦げてしまったので買い替えようかなと思いまし 

 て、レオナさんに相談した所ボルノさんに教えて

  もらった方が良いと言われました」


「ん〜、ニコルん所だな、明日の朝一番で連れてっ 

 てやるぜ。ちょっとした道具も置いてるしな」


「よろしくお願いします、楽しみだなあ」


「おう、任せろ、ところでオマエさんも飲むか?」


「はい、頂きます」


「ミラノさん、ヒカリに酒をやってくれ」


手渡された酒は口当たりが甘い…ハチミツ酒だろうか?美味しかったので一気に飲むと視界がぐるぐると回りだし、ひっくり返った。どうやら15歳の体にはキツかったようだ。

その後、飲ませた責任ということでボルノさんが

部屋まで連れてってくれたらしい。


翌朝、僕はボルノさんに起こされた。少し頭が痛かったがこっそり(キュア)を使うと平気になった。


「どうだ、身体は平気か?」


「ご心配をお掛けしてすいません、身体は大丈夫

 です」


「そうか、ならニコルの店に行く」


「はい、お願いします」


ニコルさんのお店は北の町外れの方にあった。

店の入口を入ると二の腕が僕の太腿くらいある後姿が見えた。


「おう、ニコル、おはようさん!」


「おう、おはよう…、なんでいボルノか」


「相変わらず失礼なヤツだな、今日は客を連れて

 来たぜ」


「相変わらずは余計だ、んん?客ってその坊主

 か?」


ヒゲ面のずんぐりむっくり、ドワーフだろうか?


「ヒカリといいます、よろしくお願いします!」


「ふん、それで何が欲しいんだ?」


「木の装備が焦げてしまったので一式買い替えしたいです。あと、銅の剣も鉄の剣にしたいです。」


「ちょっと待ってな」 


そう言ってニコルさんはゴソゴソと装備を並べ始めた。鉄の兜、鎖帷子、鉄の盾、それから鉄の剣だ。


「他に欲しい物はあるのか?」


「薬草を掘るのに使うシャベルが欲しいです。」


「ふん、装備と剣、合わせて金貨2枚と銀貨1枚だ

 が、セット割りと初回割引で金貨1枚と銀貨5

 枚にしてやる。シャベルは付けてやる。」


顔は怖いし、口も悪そうだけど優しいみたいだ。

これからも是非使おうと思った。

支払いを済ませ礼を言って店を後にしようとすると


「ヒカリ、無理をすることと、勇気は別物だ。

ヤバいと思ったらすぐに逃げろ、死ぬんじゃねぞ」


「ありがとうございます、肝に銘じます」


僕の周りは優しい人が多いなぁ…はっ、もしかして


(フローラさん?もしかして優しい人をお世話し

 てくれてます?)


(私は何もしていません。ただ優しい人には

 優しい人が集まるのだと思いますよ)


そうか、これからも人に優しい冒険者になろう。


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