第3話 フローランドに立つ
「…あ…こ…き……か?」
「……?」
「あのぅ、聞こえてますか?」
頭の中で声がする?。
「ヒカリさん、聞こえますか?」
「あ、ああ、聞こえます」
「ごめんなさい、言い忘れた事がありまして…
貴方がこれから行くフローランドは剣と魔法の
世界なのですが、魔物を従える魔王が人の国を
滅ぼそうとしています。貴方は人々を救わなけ
ればいけません」
「何でそんな大事な事を忘れてっ!」
「だって貴方が私をスッポンポンにするから…」
「そ、それについてはスミマセン。しかし魔王
退治なんて僕には出来ませんよ」
「それはそのぅ、本来は勇者を召喚するのですが
勇者に与える予定の能力も全て貴方に与えてし
まって…能力のカードは1年に1組しか戻らな
いのです…、だからあと40年以上は勇者を召
喚出来ないのです…グスン」
「それは遠回しに僕のせいだと言ってます?」
「優しい貴方ならお願いすればやってくれるかな
と思いまして…お願い」
そう言って女神は手を合わせて頼み込む。
「う〜ん、では1つ条件が有ります」
「へっ?それは私に出来る事かしら?」
「出来ます、僕にはこの世界はわからない事だらけ
だと思います。だから、僕が相談したい時に出て
来て欲しいんです」
「わかりました、それくらいなら問題ありません」
「それではやってみます」
「まずはステイタスと唱えれば自分の目の前に今の
自分の強さの表示がなされます」
「ステイタスッ!…?あ、何か出ましたね」
「その表示のレベルという数値がせめて70を超え
てから魔王に挑んで下さい、それ以下だと死にま
すよ」
「まじかぁ…それにしても表示が英語みたいで
よくわからないです。」
「でしたら初心者用を思い浮かべて唱えて下さい」
「ほうほう、…ステイタスッ!…あっ!」
そこには(レベル)とか(つよさ)とか(まりょく)など、普段ゲームをやらない僕にも解りやすい
表示に変わっている。これなら行けるか?
「大丈夫なようですね、あとポケットの中の皮の袋
にお金を入れて有ります。無駄遣いをしなければ
1人なら半年くらいは暮らせます」
「お〜、それはありがとうございます」
「それではそろそろ起きて下さい、そこは人の街
からほど近い草原です…」
…
……
………何だか、顔がムズムズする…
薄く目を開けるとあの白い子猫が僕の顔を舐めてい
たのだ。
「ああ、お前も一緒に来たんだね」
「ミャ〜!」
子猫がトンと肩に乗る。
よしっ!二人で頑張りますかっ!
広い草原の真ん中で僕は立ち上がった。
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