第2話 運命の神経衰弱?
目の前の女性が女神だと何故だか自然と理解出来る。彼女の柔らかい微笑みのせいか恐れも驚きさえも感じない。ああ、自分は死んだんだなぁとそれも
理解出来た。ただ…、膝の上の寝ている子猫が…
結局助けてあげられなかったんだ…瞳を閉じると涙がこぼれた。
「素晴らしい優しさですね」
女神が語り掛けてくる。
「私はこの世界を司る女神フローネ」
ヒカルは反射的に頭をさげる。
「前の世界の貴方は死にました。ですが子猫を庇って死ぬという尊い優しさを感じ、私が貴方をこの世界フローランドへ引き寄せました」
「は、はあ、ありがとうございます?」
「貴方をこのフローランドへ転移させます。その際に有益な能力を授けています。その能力はこちらの中からご自分で選んでいただきます」
そう言うと二人の目の前に9✕9列の81枚のカードが現れた。
「通常は1度失敗するまで選べますが、それでは
1つも能力を得られません。ですから、その際は
1組成功するまで捲る事が出来るのです。いわゆる最低補償ですね」
「…?神経衰弱ですか?」
「はい、そのようなものです。ここまではご理解出来ましたか?」
「はい、ルールは理解出来ました」
「それでは引いて頂きますが、先程の貴方の涙に
私は感動したのです。ですから、特別に1度の所を3度失敗するまで出来ることとします」
「おおっ、ありがとうございます」
「さあ、お引きなさい」
そう言われても81枚もある…感でやるしかない。
1度目は12と43だった駄目かあ。
2度目は6と38だよ。全然あたる気がしない。
まあ、最低補償もあるから1つは貰えるんだしと
気楽に選ぶ事にする。
次の数字は7、おっ、ラッキーセブンって前世なら
そう思っただろうな。
次の数字を選ぼうと手を伸ばした時に今までに膝で
寝ていた子猫が飛び跳ねた。驚いた拍子に数字を選んでしまった…?
現れたのは女神が写されたカード?
「わあ〜、当たりです!」
「えっ、ええ〜っ?」
「その女神のカードはオールマイティなのです。ですからそのカードを重ねて下さい」
言われた通りに重ねるとカードは消えた。
その代わりに頭の中に【透視】という言葉が浮んだ。
「その頭に浮んだモノが貴方に与えられた能力です。その言葉を念じて下さい、力が発揮されます」
言われた通りに念じると目の前のカードが透けていくではないか。
喜び勇んで女神を見ると…す、透けてる。
全部、全部見えちゃってるよう。
僕の鼻の下を温かいモノが流れる?。
「大丈夫ですか?鼻血が出てますよ」
僕は慌てて腕で鼻血を拭いながら
「与えられた能力に驚いて興奮したようです。次、選んでいいですか?」
「ええ、あと1回失敗出来ますよ」
そうなんだけど、全部見えちゃってるだよねぇ。
はい、【身体強化】いただきます。
次は【無限収納】も いただきました。
更に【魔力増強】これもゲットだぜ。
あわあわと動揺する女神をよそに全てのカードを
捲り終える。
女神は口を開けたまま呆然としている。
「えっ、えっ、なんでっ、なんでっ?」
完全にキャラ崩壊した女神がスッポンポンで僕の両肩を揺すぶる。
「は、はあ、最初に当てた能力が透視だったんですよ。だから全部透けて見えたんです」
「……。」
「だから、今、女神さんの事も全部見えてます」
「ひっ、ひぃ〜っ!」
慌てて胸とアソコを手で隠す女神さんは
「ルールはルールですね、ではもう転移して頂きますが、言語理解は標準装備です、それに多少若返りもしてます。それでは…」
その言葉の後に眩い光に包まれ意識を失った。
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