本題

店にて暫くした後、仕事の通知が来た。

仕事からは「明日の資料貰いました?」との事。

私は当日に貰うのだと思い、「当日ではないのでしょうか」と聞く。

すると相手からは「当日なわけないです。貴方は当日配られた資料で出来ると思いますか?」

確かに当日貰うけど大変だよな…と思っていた。だが、同僚からは基本数日〜数ヶ月前だが当日貰う事もあると聞いていた。その為、初参加だがこの場合は当日配布なのだと勝手に解釈し、映像は出来上がっていたため自分のポジションと映像とでにらめっこをしていた。だが、当然資料が無いので映像の何処なのか、どこで言うかが分からず困り果てており、私はポジション的にモブやガヤと変わらないから何かあった時のヘルプサポーターなのかもしれないと思っていた。

相手からは「何で分からないのに聞かないの?」と。

…確かにそうだ。聞けば良かった。

ただ、上司には逐一報告や連絡をするのは鬱陶しいだろうし忙しいだろうし何より些細な事でも報告しないという印象があった。

だが、普通に聞けば良かった。初めてだからこそ。初めてだからこれが普通なんだと思わず、初めてだから何も分からないし聞こうと。

相手からは「資料の準備は出来ていると連絡したはずです。」「次から気をつけてください。今後は資料は連絡を貰った後直ぐに置いてある所に出向き、持っていって下さい。」

メールの意味も理解しておらずそれも「何で聞かなかったのですか?」と返され確かに…となる。

自分のこの不甲斐なさ、固定概念、思い込み…ああ、無能だ。やはり私は無能だ。仕事が出来なくて、今回私が関わる初の事なのに迷惑をかけて…

そう、元々ネガティブだが更にネガティブになり落ち込み次第に顔にまで出て、暗くなる。

『…大丈夫?仕事?』彼氏は知っていた。

私がこうやって楽しんでいる時に限って仕事や他の事で悲しいことや辛いこと、焦ることの連絡が入り落ち込む事を。

「うん…まあ、いつものだよ…今回はね、」

そう話進めていく。

『…解決は…した?』

「今ね、とりあえず資料はPDFにしてもらって、家で印刷する事にした。」

『そっか…じゃあ、ひと段落したのかな。』

「うん…」

『そろそろ出てイルミネーション見ようか。外も暗くなってきたし。』

「うん…そうだね」

店を出て、外に出る…その瞬間、辺り一面のイルミネーションという絶景に言葉を奪われる。

絵に書いたようなぱあっとした表情を見た彼氏は微笑む。

「…綺麗。」『だね。』「…辛い事や悲しい事も忘れる程…綺麗…」『来てよかったね。』「うん…行こ、回ろ。」『うん、〇〇の好きなところに行こうか。』

ツリーのイルミネーション、トンネル、柱、階段…どこもかしこも美しく、いつもなら眩しいと言っていたイルミネーションも涙が出る程美しく、感動する。

見たかった噴水ショーに着き、最前列で2人で座る。丁度始まった。

噴水ショーは陽気な音楽と、陽気なダンス、そして明かりが着いた噴水とでかい鏡のような輪っか。周りのお客さんが手拍子していく中、私は楽しさと美しさに感動し手拍子も忘れまじまじと見ていた。

心も弾み、少し元気が出て、帰りにトンネルを潜る。行きよりも長く感じ、「綺麗だね、楽しい。」と笑顔が漸く出た。『あ、やっと笑顔になった笑』「え?」『ううん、写真撮ろっか。』彼氏とは友達として初めて遊んだ時からの恒例の2人のピース写真を。そして…

『ほら、寄って寄って!』「え!?珍しくない!?」『うん、偶には良いじゃん?』「うん!」普段彼氏は顔を出す写真を嫌うのに、今日は2人でくっついてツーショットを。

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