【※期間限定公開】2-6
「
朝食を食べろと
そわそわと落ち着かない気分でサイネイトを見やると、彼は察して
報告しているのは師団長のセネットだ。サイネイトと同年だが、その実力は確かだ。何度か手合わせをしたこともある。
島国までテネアリアを迎えに行って、その後は彼女の護衛になったと聞いた。
昨日の昼のテネアリアは、実に楽しそうにサンドイッチを差し出しては、食べてと勧めてきた。
青緑色の瞳の青みを強めてうるうるとした表情で見つめられれば、言葉が出なくなった。そもそもソファで隣同士に座って、口元近くに運ばれては嫌とも言えない。
なぜだ、おかしいだろうと頭は混乱しているのに、体が勝手に彼女の言うことを聞いてしまう
結局、用意されたすべてを平らげた。
味なんて少しもわからない。石を放り込まれても
はっきり言って地獄だ。
戦場の方がずっとましだ。
敵兵百人に囲まれた時だって、ここまで絶望した気分にはならなかったのに。
浮かぶ言葉は
それでもテネアリアは楽しそうに旅の道中や昨日一日の出来事をユディングに語る。
自分からの返事はうむとか、ああとか、そうかとかしか出ないのに、会話らしい会話になっているのが不思議だ。サイネイトに後で確認すれば、すべて彼女の
知ってはいたのだが、改めてこの男かとしげしげと
「陛下?」
「部下にまで
「あ。はい。そこまで申告ではないようですが、大事をとって休ませると侍女が話しておりました」
「本当に病弱だな」
しみじみとサイネイトがつぶやいて、セネットが
「旅の間もよく休まれていましたよ。その度に侍女が気を
「報告は聞いていたが、移動が大変だからかと考えていた。こちらに着いてからは、顔色も悪くなかったし。いや、旅の疲れが出たのかもしれないな。必要なものがないか、侍女から聞いて手助けしてやってくれ」
「かしこまりました。それと陛下は本日、朝食を召し上がりましたか」
「は? お前まで妃殿下に感化されたのか」
サイネイトがからかうような視線を向ければ、セネットは苦笑する。
「妃殿下が気にされていると侍女がこぼしておりました。まだならぜひとっていただくようにと。でないと妃殿下は大人しく休んでくださらないようです。実際、今朝もこちらに乗り込んでくるおつもりだったようですので」
「だそうだが、朝食を運ばせようか」
「・・・・・・任せる」
食事なんてどうでもいいよ切り捨てたいが、食べていないと彼女が知れば本当に不調も
ゆっくり休めないというのなら、自分が朝食をとった方がましな気がする。
「では、妃殿下の侍女にもその旨を伝えておきます。」
敬礼してセネットはそのまま部屋を去る。
「いい
サイネイトが言うような可愛らしいものではなく、ひたすら口元に食べ物を押し付けられただけだった・・・・・・どちらかといえばあれは。
「・・・・・・ああ、襲われたな」
「ぶふっ、お前が
「
ユディング自身理解できない現象を、説明できる気が全くしない。
本当に自分はどうしてしまったのかと問う毎日だ。
「やめてくれ」
まだ
あんなに細くてふわふわして甘やかないい香りがする少女が、自分の胸に顔を
確かに、ユディングは童貞ではない。
成人する前から戦争に行っていたため、体格もよく顔つきも険しかった。異性からは敬遠されるので、回数は多くない。そんな誇れない女性
しかも泣かれずに会話までしてしまう始末。
どうすればよいのかさっぱりわからないので、未知の存在に言われるがままに
やはり彼女を恐れて従ってしまうのか。
「とりあえず、妃殿下へのお見舞いの品でも用意するか?」
「お見舞いの品」
人生で初めて使う言葉に、ユディングは
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