第二章 こんな幼妻はいかがですか?
2-1
「失礼いたします、お茶の用意が整いました」
午後の
正面の執務机に着いて書類に目を通していたユディングは、顔を上げようとすらしない。
心得ているサイネイトが入ってきたテネアリアに
「休憩にしましょう。そちらのテーブルをお使いください、
「妃殿下……?」
手を
「お
「休憩しようと思っていたので丁度よかったですよ。
休憩と聞いて、執務室にいた政務官たちは静かに部屋を出ていく。きっとテネアリアに気を
主の不興を買わないようにと
ただいつもの三割増しで
その顔のままユディングはサイネイトに言葉をかけた。
「…………どうやって緩める」
「ぶふっ……開口一番聞くことがそれとか、お前は俺を笑い死にさせるつもりか。さて、今日のお茶は何かな」
軽口を叩いて、サイネイトがテネアリアに近づく。
「サバルゥンの二番茶と聞いております。陛下がお好みだとか?」
「こいつにお茶の味がわかるわけありません。苦くて砂糖をたくさん入れられるから
「あら、お茶にお砂糖を使われるんですね。
大きな体で甘い物を好むのかと微笑ましく思えば、そんな話でもないようだ。
サイネイトが首を横に
「食べる時間も
「え、その……お体は
「問題ない」
「問題ないわけあるか。お前のそのデカイ
「水と砂糖と少量の塩があれば生きていける」
「それ最低限の栄養だからね。ちゃんと麦とか肉とか食わないと生きていけないからね。戦地でももう少しましな食事だろうが」
サイネイトが
「あの、本日は何を
「………………」
「へ、陛下……?」
「……………水」
「ツゥイ、今すぐに手軽に食べられる食事を頼んできてくれる?」
「かしこまりました」
ワゴンを置いて部屋を出ていくツゥイを見送ったテネアリアは、ユディングに向き直る。
「本日の
「………………」
「よろしいですわね、陛下」
「……不快ではないのか」
「何がです」
「一緒に食事など……楽しくない」
これはユディングが楽しくないのではなく、テネアリアが楽しくないと言っているのだろうか。
横で
テネアリアは執務机の横から移動し、ユディングの
そうしてまっすぐに紅玉のような
宝石を
「陛下、私、この国に
「……な、にを」
「私は陛下が傍にいるだけで幸せです。
「
「勘違いでも間違いでもありません。自国で
一字一句に力を込めて
「俺は何も……」
「もう求婚していただいただけで十分だと申しましたでしょう。ひとまず一緒に食事をとりましょう。もちろん、今からですわよ」
「大変
サイネイトがからかい混じりに口笛を
「……おかしい」
「何もおかしくなんてないさ、妃殿下は正気だぞ。お前はとにかくしっかりしろよ」
執務机に座ったまま、ユディングは頭を
少し待つと、再度ワゴンを押しながらツゥイがやってきた。
ツゥイが用意した軽食はサンドイッチだ。
テネアリアはユディングの
「さあ陛下、こちらへどうぞ」
テネアリアが
「なっ」
「おいしそうですわね、陛下」
ユディングが
意思の強そうな
ツゥイは
視線でユディングの
「……そんなに見ないでくれ」
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