1ー4
*****
「デキラ
ユディングが自室で婚姻衣装から着替え終えた後に
婚姻式の後、回廊に出た途端にデキラ侯爵に行く手を
けれど、すぐに
「お可愛らしい方だったな。お前に
思わず
初めての感触に
「あれは、本当に撫でた……のか?」
「彼女を運んでいる間、ずっと撫でられていたくせに。しっかりばっちり見たからね。それになんだよ、婚姻式でもずっと抱っこしててさ、『下ろしていいか』『だめです』の
「運べと言っただろう」
「俺は手を取れとしか言ってない。それをまさか抱き上げるだなんて……ぶっ……また笑いが。わかってんだよ、お前だって
「…………」
サイネイトの言う通り、確かに動揺していたのかもしれない。
いつもなら殺して終わりの処理を誤ったのは確かだ。
デキラ侯爵は内務長官だったほどの男だが、裏の顔は
思いもよらない動機にユディングは目の前が真っ暗になった。
どうして自分が不届き者と同類だと思われるんだ!
確かに今日見た姫は小さい。腕で抱えてより小ささを実感したほどだ。
だとしてもあんな人間になるつもりはない。
「ぶくくっ、泣くことも
ユディングは、外見の
不意に近づいた時には
それが日常だった。
だからこそ、姫君の反応は
初めて目線を合わせた時に顔を
一瞬何を言われたのかわからなかったほどだ。
言われるがままに腕に乗せれば、
床に下ろした時に、初めて
なんと彼女はユディングの胸元ほどの身長しかないのだ。こんな触れればすぐ壊れそうな存在が自分の傍にいたなんて、と動揺が走った。
思い出し笑いでもはや虫の息になっているサイネイトを、ギロリと睨む。
「彼女は何者だ、
「だから、東の島国の高い塔に囚われていた姫様だよ。囚われていたのも病弱ってのも、まあそういう意味じゃ普通じゃない。言っただろワケありだって」
「ワケありで片付けられることか? 俺の噂を知らないにしても、普通はこの見た目で怖がるものだろう。俺が侯爵を蹴り飛ばしても平然としていた。お前、まさか彼女の国を
「いくら相手が小国だからって脅して姫をかっさらってくるわけないだろ。よっぽどの世間知らずなんじゃないか。本当に高い塔から一歩も外に出ず暮らしていたらしいから、そうやって育つと
「そんな無茶な理論があるか。そもそもなんで閉じ込められていたんだ?」
少ししか見ていないが本人に問題があるようには思えなかった。
「母親も同様に囚われていたらしい。そのせいで生まれた時から
「なんでお前がそんなに詳しく知っているんだ」
「風の噂で聞いて、ちょっと興味持って調べたからだよ。お前の
からかう気配を感じて、ユディングはあっさりと無視をする。
「供は一人だけか?」
「東の島国からここに来るまでは船旅だからな。さすがに遠いってのもあるだろうが――もともと少ないのはあらかじめ報告を受けている。姫君が望まないからだと報告書に書かれていたが、さて誰の意図が
あれほど
戦場を駆けずり回っているユディングですら、それが異常だとわかる。
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