第33話 OLさんと「あの人」#18

真奈津が金曜日が早く来るのを期待しているが、いまいが、時間は過ぎていく。日にちが金曜日に変わった早朝6時25分頃、真奈津は自然に目が覚めた。癖というものは不思議なものだ。普段から寝坊気味な真奈津は、仕事に行く日はいつも朝6時半頃お母さんに起こされるても、絶対に一回で目が覚めることはなかった。一度目が覚めてまた2度寝してしまうのが日常茶飯事だったのが、「おしゃれの日」と決めたこの日だけは自分で、おかあさんに起こされる時刻より早く起きてしまった。今日は真奈津が待ちに待った日なので自分から起きられたかも知れない。それで目を覚めた真奈津がまずしたのが、窓のカーテンを開けて天気を確認することだった。


夕べ仕事が終わり家に帰ってきてくる時は曇天だった。ニュースでも金曜日は小雨の予報があったので少し心配にもなった。けれど、家について金曜日の予定の準備をしているときにも、あれこれ制服に合うアクセサリーや靴の穿き具合いなどを何回も繰り返して確認していても雨の気配を感じなかったので安心した。しかしそれを裏切ったかのように、時刻が夜9時を過ぎていた時、突然大雨が降り出した。それを見て早く準備を終わらせて早く就寝しようとしたの真奈津は心配になり中々寝付けなかった。それで寝るとき真奈津は願ってみた「明日はぜったい晴れますように」「楽しい明日になれますように」と。


そうして眠って起きたのが6時25分頃、真奈津は自然に目覚め、部屋のカーテンを開けて外の様子を確認した真奈津は、安堵のため息をついた。朝の天気は昨日の曇天と大雨とは違っていた。所々水溜まりが見えてはいるものの、強い旭が登りかけていたし晴れた春の朝の気配を感じさせる暖かい空気も感じられたから今日の華金の予定がうまく進めそうだった。それで普段よりいい朝の気分と勢いで「お母さんに今日の計画の準備が邪魔されないように」と思い、お母さんが真奈津を起こしに来る前に、お母さんの先に「おはよう」の挨拶をしに自分の部屋を出てトイレに行くふりのしてみた。


「おはよう」

「あら、珍しいね。ちょうど起こしに行こうと思ったのに」

「うん、なんとなくトイレ行きたくなったから」

「ご飯、たべる」

「今日もイイ」

「じゃ、冷蔵庫に入れておくから、後で食べてね」

「うん、分かった」

と短い会話を交してトイレに行き、用を足して洗顔などを済ませた真奈津が自分の部屋に戻ってまずしたのは、今日の降水率を確認することだった。昨日の夜寝る前確認した数値は40%で、今の数値は10%だ。この数値をみた真奈津は一度安堵できそうで、今日一日が楽しく一日になれそうな気がした。10%でもまだ油断はできないかも知れないけど、今のところ外の様子をみる限り、傘も要らないしまた雨が降りだす心配はまずないと思ったからだ。


今日の予定が難なく進みますようにと思いながら、真奈津はもう一度夕べやってたみたいに、今日の服装をチェックしてみた。まず制服に着替えて、腰の回りや脚のムクミなど、万遍なくチェックした後、最後にストッキングのことをどうするか少し考え込むようになった。元を言えば、3月はまだ朝の気温は低くて、雨が降ってきたこともあり、ストッキングを穿くべきかも知れなかった。が、今日の主人公はあくまで新しい靴でストッキングを穿いてしまうとなんか色など新しい靴との組合わせが良くないと思い、今日だけはカバーソックスだけ穿こうと決めた。また、もし水溜まりでも踏んでしまって泥水などでストッキングが汚れるとそれこそもっと面倒くさくなるのではないかと思い、ストッキングは穿かないようと確定した。


「もし泥水がついたら、ストッキングを穿いているよりは生脚のほうがティッシュですぐ拭ける」と思ったからだ。


真奈津がそうこうしているとき、そろそろお母さんが出社する時間になり、お母さんは今朝も例外なく慌ただしい音を出しながら家を出た。その時に玄関から聞こえるお母さんの口癖の「あ、忙しい、遅れちゃう」が今日だけはなんとなく楽しい一日の始まりを知らせる合図のように聞こえてきた。そのお母さんが家を出てまもなく、朝の8時10分頃、真奈津も仕事に出かけ会社につき、朝の仕事をはじめた。


「今日は時間があまりにも遅く流れる感じ」と仕事中、何回も思ったか、改めて仕事の退屈さを実感した真奈津だ。真奈津がそう思っている最中、いよいよ午前の仕事が終わろうとする時刻になった。午前中の仕事は一通りしておいて、普段真奈津がお昼にいく時間をずれなく、1秒たりとも遅れまいと準備をしておいた。それで時刻が12時5分前になった時、真奈津のはいつものようにお昼を食べに出かけるために働いている部署を足早に抜け出した。それでもう一度自分の今日のスタイルが気になり服装のチェックをするために会社の入り口にあるお手洗いにちょっと寄ることにした。

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