第31話 OLさんと「あの人」#16

「もしもし」

「もしもし、なっちゃん、今電話大丈夫」

「うん。大丈夫」

「よかった」

「ミカちゃんこんな時間に珍しく電話したね」

「まあ、なっちゃんもあんま電話してこないし、久しぶりに声も聞きたくなってさ」

「ごめん、わたし、そんな電話しなかった」

「なっちゃんの声聞くの、何ヵ月ぶりかも」

「そうなんだ。ずっとチャットで話てるからあんましゃべらなくなるものかな」

「そうだね」

「でも、今日はめずらしくこんな時間に電話するね。ミカちゃん。忙しくない」

「ううん、今日はちょっと余裕ある」

「そう。上京生活どう。楽しい」

「まあまあかな。仕事は忙しいし、彼氏もなんとなくあれだし」

「あれって何、なにかあった」

「あったっていうか、私と彼氏付き合い長いじゃん」

「うん」

「そう。わたしと彼氏一緒に上京して同棲して、もうすぐ3年だし」

「うん、時間早いね。」

「そうね。で、そろそろ結婚の話とかしようかなと思ってさ」

「え、ミカちゃん、結婚しちゃうの」一瞬、親友の口からでた「結婚」という言葉にびっくりしながら大声になってしまったのを自覚はしたものの、どうしても大声で聞いてしまった。


「ううん、ただそう思っているだけ。今から話しても色々時間かかると思うし。これからお互いのことどう思っているかな、どうしたいとかなど話し合いたいだけなの」

「そうなんだ」

「うん、だから、今しようと決めても少なくとも1年後のことになると思うよ」

「そうだね。すぐ決めれないもんだからね」

「だからそろそろ彼氏と話してみようと思うし、ゆっくり話す時間をつくりたいけどさ」

「うん」

「なんか最近仕事の残業や営業を言い訳にして私と話すのをわざわざ回避してる感じでさ」

「え、本当なの」

「たたわたしの思い込みかも知れないけど。なんか最近彼氏の様子が違うのは確かだと思う」

「まさか」

「そう。わたしもソレ思った」

「そんなわけないと思うけど」

「わたしもそう思ってはいるし彼氏のこと信じたいし、ただ忙しいから2人のことをゆっくり考える心の余裕がないからだと思いたい」

「きっとそうだと思うよ。2人、付き合い長いし、いいカップルじゃない」

「なっちゃん。そう思ってたの」

「昔から2人のことよく似合ってると思ってたし、いいカップルだなと羨ましかったよ」

「そう思ってくれたんだ」

「うん。だからこの2人にはぜったい結婚してほしいと思ってたし」

「ありがと、なっちゃん。やっぱ。なっちゃん大好き」

「なんか恥ずかしい」

「なんで」

「あまりこういうの言ったことないし、ミカちゃんにありがとうって言葉も言われたことないから」

「わたしは正直に自分の気持を言っただけだよぉー」

「そうなの」

「そう、そう。とにかくなっちゃんにもまたステキな彼氏できたらイイなぁー」

「わたしは一応まだ大丈夫だと思う」

「でも欲しいでしょ」

「うん。。。どうかな」

「今はそう思ってもまた誰か気になる人出きたらと考え変わると思うよ」

「そうかな。よくわかんない」

「ぜったい変わるって」

「うん。。。いつかはね」

「今はただ好きな人いないだけからね」

「そうかもね」

「とにかく、なっちゃんに応援してもらったから、もうちょっと我慢して彼氏と話してみようか」

「頑張って。ミカちゃん会いに行きたいから」

「結婚前でも遊びに来て。なっちゃんとたくさんおしゃべりしたいの」

「わたしも。ぜったい遊びに行くからね」

「ぜったいだよぉー。ごめんそろそろ行かなきゃ」

「わたしも。そろそろお昼の時間終わっちゃう」

「お互いに頑張ろ」

「うん」

「じゃまた話そうね」

「わかった」


久しぶりに親友のミカちゃんと電話で話して昔の思い出に浸かることができたもできたし、改めて友だちがいることの大切さを思われたと思った真奈津だった。それと親友の結婚の悩みを聞いて今わたしは何をしているのか、本当に自分がしたいのはなんなのか、これからどうしたらいいのか心配になりはじめた。知らない人ならともかく、友だちと恋愛や結婚の話をすると積極的になろうと思うが自分がある気がしてしまう。真奈津ここ何年間、は恋愛や結婚に縁がないと思いつつ、諦めの気持でいつつけできた。けれど親友のミカちゃんの話を聞いた後、それを考え直すべきではないかと、少し悩みはじめた。何故なら、真奈津の前に最近気になる人が現れたからだ。


何日前、偶然真奈津の目に入ってきた「あの人」いや、正確にはもっと前に現れた。ただ、最初は真奈津の記憶に残らなかった存在にすぎなかったが、最近の出来事で、「あの人」の存在が真奈津の心の中で大きくなるような気がする真奈津だった。

それをここ何日間悩みに悩んでもどうしたらいいのか方法が分からなかったのだ。

しかし、今日ミカちゃんとの電話でなんとなくやるべきことをみつけた気がして親友のありがたさを実感した。それで「やはり、わたしも変わらなければならないかな」と思いながら最近の出来事を思いだしみようとした。


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