第26話 OLさんと「あの人」#11

新しい年が明け、元の生活にもどった気持で冬休みを送っている真奈津は自分を助けてくれた男にはまだなんの連絡をしてない。もとをいうと昨年のクリスマスが終わり年が変わるまでまでは連絡だけはしておこうとしたが、やはりめんどうくさくなり、やらないじまいで年が明けたのだ。もちろんこれには理由があった。


クリスマスが終わってすぐおかあさんやミカちゃんに色々怒られたり文句を言われたりして、く謝ってごまかしたりして散々だった。また元々は冬休みにもバイトを探してしているのを今年だけはおかあさんに適当に嘘をついて冬休みだけは家でじっくり休むことにした。心の傷を癒すために。人が大勢の場所はあまり行きたくなかった。外にでる勇気がなかった。

まだ知らない人と話したりことが怖かった。


それを「そろそろなんとかしないのはまずい」とか「あの男も自分の番号を知っているし、何かしなきゃ」などを心配にもなったからだ。また、一方ではあの男にも会ってはみたかった。あの日、真奈津を危機から助けてくれた人。一度だけでもちゃっと礼を言っておきたかった。それとともに、あのとき感じたあの男への気持がなんなのかしりたくもなった。またこのまま新年が、時間がすぎていくのは勿体ないと思った。だから、悩んで悩んだあげくやっと心をきめてあの男に電話してみることにした。「ものごとは勢い」または「物は試し」と誰かさんが言ったような気がする。結果はともかくやってみないと恐れる必要もないのだ。それは昔は、ふざけたことだと思っていた。そう思っていた真奈津は今回ばかりはその言葉通にやってみようと決めた。


あの男に電話をかけた、会った、礼を言った。それで十分だった。それで思った通になんとなくした。そう勇気を出して行動した甲斐があったのか、


最初約束をして待ち合わせてからなんとなく気にも合ったし、いい人だと思ったせいか真奈津から会いたいみたいなかんじで連絡してみたりもした。それから二人はしょっちゅうア会うことになり、関係がとんとん拍子に進んでいきはじめた。真奈津とあの男はどちらからでもなく、同時に好き同士になりつきあいはじめのた。


真奈津は久しぶりに味わう幸せで毎日が楽しかった。もとを言えば、この新しい彼氏と付き合う前、あの痛ましい事件が起きる数ヵ月前までは付き合っていた彼氏と新年を過ごすはずだった。そう計画したことが元カレに振られてできなくなったし、物凄くショックを受けたので、元カレの別れたから毎日辛かった。その痛んでいた真奈津の心を癒したかったのだ。そのため、親友のミカちゃんと2人だけで居酒屋に約束したのだ。


そのしたい思いがあまりにも強かったせいか、羽目をはずしすぎたせいか、あの痛ましい事件に遭った。その経験で一生忘れない心の傷を負った。しかし結果的に今のステキな彼氏に出会えたと思えば、それはなんとステキな運命的な出会いだとも言えた。もちろんただそう思ったから今の彼氏と付き合うことになったのではないと真奈津は思った。当時の痛ましい事件のことを振替してみたら真奈津は何か運命的なものを感じたからだ。


まず「あの車」のことがある。あの日、真奈津が変態野郎に連れていかれていたとき、路地のしょぼい駐車場に停っていたのが今の彼氏の車だった。彼氏は付き合う前に会ったとき、当時の成り行きを話ながら見せてくれた彼氏の車のキーをみて。「あのとき、なんとなく見覚えのあるデジタルキーだ」気づいた瞬間、なにかの運命的なことを感じた。


それこそ、高級国産車だからではなくあのとき、あの駐車場に彼氏の車が停ってあったってことだ。それとともに、よほどのことがないかぎりそうのタイミングでその車の持ち主が現れることはないはず。それもそうだった。当時の彼氏はたまたま一人で、居酒屋に飲みに行ってた。またま真奈津と親友のミカちゃんの飲みっぷりやうるさくてデカい笑い声、そして名前まで覚えてしまったからだ。それでまた、たまたま彼氏がのみ終わって家に帰ろうと思って居酒屋の外に出て、タバコを吸いながら自分の車に戻ろうとした話を聞いたときも何か運命的なものと感じるほかなかった。


それでただ気になった人が真奈津の一番好きな人になり、運命の相手と変わった。真奈津はこの人と結婚したいと思った。それで彼氏もそう思ってほしいと思った。それと、自分のつらい過去の経験を理解して癒してくれる人がいいと思ったし、彼氏こそがその人になってほしかったからだ。こういうふうに運命的に出会った新しい彼氏と、一生を約束したかった。昔からあまり結婚を考えてはいない真奈津の目の前に運命の人が現れたのだ。ようやく出会った大切な人に思われたのだ。世の中のカップルの結婚の決め手は、人それぞれカップルそれぞれだと思うが、真奈津にはこの理由で十分だった。


また、彼氏はこういった。真奈津の名前を「真夏」と聞き間違えたとことだ。それをギャップと思った。自分より背も高く声も低いチャラめの年上の男の説明になんとなく好感さえ持ってしまった。それがなんとなく真奈津自分のズボラさと被るところもあったと思い、彼のことがもっと好きになってしまったのだ。もちろんこれはあくまで真奈津が新しい彼氏のことに好感を持ったからだけだった。あの事件の夜、真奈津を襲ってきた変態やろうも真奈津の名前を「真夏」と間違えたてことは同じだ。けれど、人が違うと受け入れる側の人の気持も変わるものだ。それが世の中の恋愛の事実だ。それを真奈津は薄々気づいているも別に気にしなくていいことだったからすぐ忘れた。それだけ幸せだったからだ。


しかし、いくら自分は幸せな恋愛をしたいと思っていてもその幸せは長くつづかなかった。特に真奈津にはそれが痛感するほどたくさん起きた。今回も例外はなかった。

喧嘩的に真奈津は何年後元の自分の性格に戻ってしまった。


それでまた元通りに「一生、恋愛も結婚もしなくていい」「ふつうに一人で生きて行けば十分」と思いながら毎日を過ごすようになってしまった。




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