第24話 OLさんと「あの人」#9


「今、何時だろ」と暗闇のなかでぼうっとしている意識が、じょじょに目覚めるのを自覚しているうちに、ふいにこう思って少し目を開けてみた。

真奈津は寝ている間、ときどき聞こえる誰かの声(たぶんおかあさんの声と認識はあった)やバサバサという音やスマホの振動らしき音などが聞こえた。しかし、深い眠りに落ちているせいか、すぐ忘れて再び深く眠ってしまった。


そのたびなんとなく目を開けて部屋の壁にあるデジタル時計を確信した覚えはあった。

1回目は06:45

2回目は10:23

3回目は17:10


そして最後に、母が怒っているような声と舌打みたいな音でパット目を開けた。やっと目覚めた感じでいてもまだ体は疲れでだるくて重かった。それで時刻だけ確認するためにまた、部屋の壁にあるデジタル時計の時間を呟いてみた。「23:05」4回目の時刻は23:05だった。

その数字がはっきり頭に入ってくる自覚があった。そしてようやく、目が覚めた気がした。が。まだぼんやりしていながらベッドのうえで天井をを向いたまま寝ている。


「わたし、生きている」と今自分がどこにいるかは知っているも、これが現実なのかが気になった。それで自分の体や顔など、自分の体を触ってみる。そして何となく覚えているあの不愉快な経験の感覚が未だに残っている、自分の右のおっぱいも触ってみた。それで最後に髪にも指を通してみた。癖毛でぼさぼさな髪の手触りが手に伝わってきた。それてやっと自分がほんとうに生きている実感が湧いてきて、安堵の吐息をついた。

「わたし、ほんとうに生きてる」


ゆっくり体を左側に転がすように動かし、上半身から起きろうとした。そしてそのままベッドに腰をかけて、しばらく目を閉じてこうべを下に向いたまま座っていた。そのままベッドの上に腰をかけている最中、一つのことに思いつきはっと声をあげて叫んだ。


「やばい、スマホどこ」と何か気づいたかのように素早く自分のスマホをさがしはじめた。たぶん最後にスマホをいじったのが、家につく直前で当時の時刻をなんとなく確認しようとした覚えが蘇った。時刻はたぶん曜日か変わった00:17だった。時間を確認してからスマホをすぐバックにいれてあった。今自分のハンドバックはどこにあるのか、きょろきょろ部屋中を見回ってみたらベッドの前にある机のうえに丁寧に立っているハンドバックが真奈津の目に入った。そのハンドバックの姿をみて一瞬、自分がこう丁寧に立たせておいた覚えはないと不思議に思ったが、今はそれを気にする場合じゃないと思いすぐハンドバックの中を探ってみた。やはりスマホはハンドバックの中にあった。普段よくいじっていた自分のスマホの手触りと感覚を感じて安心してしまう。こういう時もスマホのことをなによりも心配してしまうのがおかしいかもしれないけど、それだけ大事なものだからだ。そしてその大事なスマホを取り出して最初にしたのはあのSNSを起動することだった。


真奈津はすぐ自分のSNSアカウントを非公開状態にした。それで今までやりとりした知らない人とのチャットメッセージをすべて削除した。知らない人は男女問わず。その後そのアプリも削除してから、やっと安心してさっき座った状態のままベッドにまた腰をかけた。


真奈津はその姿勢のまま、ひたすら自分のスマホをいじっていた。使い慣れていた自分のスマホの感触を感じて生きていることを実感したからだ。「わたし、ほんとうに生きているんだ」と。それでなんとなくなにもついてないで真っ暗なスマホの待ち受け画面をつけてみてわかったことがあった。留守電が6件も入っていたことだ。2件は母から4件は親友のミカちゃんからだった。それにミカちゃんからのラインメッセージも何件か来ていた。

それを見て「ただ一日でこんな留守電してくるかな」と変に思った瞬間、今日の日曜と時間に気づきびっくりした。


元なら今日は確に23日の土曜日で時刻は夜23時半ぐらいのはず。それが今確認したところ25日の月曜日だったことを知って驚いた。


「わたし、まる3日も眠りっぱなしだったんだ」いくら酔っぱらいすぎたとしても、さすがにこれはあり得ないこと。他に考えれる理由は一つだけ。あの痛ましい事件のせいだ。それもそうだった。一応無事で済んだことだし、安心はしてもいい。けれど、そういた経験は心身ともにエネルギーが一気に吸い取れることだとはじめてわかった真奈津だった。それほどの大変の事件に巻き込まれたことをこれからどう忘れていくか、それが心配になりはじめてありったけのエネルギーさえなくなりそうだった。その思っていつとき、もう一件しらない番号が電話履歴の残っているのがわかった。名前が登録されてない番号だった。それをみたとんたんぞっとした。けれど、自分からかけたことを表す絵をみて不思議に思った。


「これは誰の番号だろ」「知らない番号に電話をかけた覚えはない」と3日前の事件の夜のことを思いだしてみた。あまりそうしたくなかったけど、思い当たるのはその日だけだったからしかたなかった。。それでしばらくしてすぐ1人の男の顔と声を思いだした。


それで何故かわからないドキドキ感で胸が騒ぐような気がした。

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