第18話 OLさんと「あの人」#3

人は気分がアップするとしてはいけないことをしでかしてしまうことがある。普段はだめだと知っていても調子に乗って失敗をしてしまう時がときどきある。そのときは必ずといっていいほどなにかが起きる。その場合起きる物事の多数はよろしくないことだ。望みたくない、経験したくないことが起きるのだ。


真奈津もそうだった。真奈津にもそういう調子に乗り過ぎて人生一番の間違いをしてしまったのだ。それがよりによって一番楽しい気分で過ごしていた親友の2人だけ楽しい時間を過ごしたその日に起きたのだ。


普段の真奈津はSNSはあまりしないタイプだった。もともと面倒くさがりな性格だったのが一番の理由だ。しかし当時の真奈津はちがった。たまたま違うことをしてみたくなったのだ。昼間の誕生日パーティの場所が映っていた写真や居酒屋での盛り上がりが映っている写真をたくさん撮って、詳しく何回もSNSにアップした。普段じぶんの写真はあんまりアップしてないのに、この日だけは撮った写真を含め自分の顔写真も多数アップしつづけた。真奈津は誕生日パーティや年末年始気分で浮いていた。大好きな友達との2人だけの2次会、居酒屋に飲みに行くってのは気を緩ませるものだった。誕生日パーティから居酒屋でやったことを細かくアップしていた。誰とどこへ行ったのか、詳しい場所などを特定できることをしてしまったのだ。それで調子に乗りすぎて、最後には誕生日を向かえた友達を見送る写真とその友達の顔が映った写真や名前、また地下鉄の駅までハッシュタグづけでアップしてしまったのだ。自分はどうも思っていなかった。世の中のみんながそういているように。


当時のあの痛ましい事件が起きる前は、何回かSNSにアップした写真や短い動画をふめてくれたり「自分もここ行ってきました」や「スキね」ボタン押されるのか楽しかった。けれど普段は顔写真とかあまり乗せてないし別によくないと思ってしてきた。それをこの日だけは自分の写真を含め色々SNSにアップしもらったメッセージもきっちり答えてしまった。酔っぱらって乗りでどんどたのしくなってやりすぎたかもしれない。今になっても当時のことを思い出すとき「たぶん、そうしている何となく当時の自分の居場所とかを誰かに漏らしてしまったかもしれない」「あのとき、そうしないほうがよかった」とときどき後悔してしまう。


とにかくあのときはそれの危険さをわかっていなかったのだ。みんなやっていることだし、自分がアップした写真や動画を評価されていい反応をもらうのが好きで楽しかっただけだ。と当時ときどき送られる反応やメッセージに感謝の気持を伝えたり、誰か覚えてない相手と少し雑談したりしたの覚えはなんとなく残っている。たぶんいや高い確率でその仲の一人があの痛ましい事件を起こしたのかも知れない。けれど、これはあくまで真奈津だけそう思っているだけで物証がないのだ。未だに怖くて確認したくないし、もうすでに時間がすぎたことだから立証が難しいことだと思い、そのまま一生蓋をしめておくことにしたのだ。


あのとき、友達と楽しい女子会が終わって友達と一緒に地下鉄駅まで行った。友達が先に駅の改札口を通りすぎるのを見送った後、その時の友達の写真や駅名などを詳しく撮った写真を自分のSNSにアップして楽しい気分になってから、真奈津自分の家がで違う方向の地下鉄に乗ろうとした。それでちょっと落し物に気づいてさっきまで友達といた居酒屋にいったんもどろうとした。真奈津の家に行く地下鉄駅までは少し歩いていかなければならない。なんとなくおしっこもしたくなって落し物をした居酒屋に戻ってトイレとか借りろうかな思い、暗い路地裏を一人で歩いていた。普段なら怖くて一人で歩いていくまいその暗闇の中を酔いで歩いて行ってしまったのだ。なんとなく五分、十分歩いて着いた居酒屋で、落し物を取ってトイレを借りて、駅へ戻ろうと店をでた。駅まで少し歩いてさっきの暗い路地を歩いていく途中、後ろから低い声で声をかけられた。少し気色悪い、力のない声の男性に声をかけられた覚えがあった。


それをなんとなく酔いで素直に答えてしまった。その後、真奈津に起きろうとすることはまったく想像できなかったのだ。それもそうだった。友達も真奈津も酔っぱらいすぎて、お互いにうまく家へ帰られるか、酔いでも心配しているのは自覚していたからだ。でも酔いでどうにもならないし「まさか」と思いで油断してしまったのだ。


それがいけなかったのだ。

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