第17話 宿探し

昨日は午後から半日休んだ。

「漆黒の閃光」は俺とリアナとミランのグループだ。

俺とリアナだけなら次の日も休みにしても良かったのだが、ミランもいるので取り合えず冒険者ギルドに顔を出すことにした。

ギルドの中に入ると、ふわりとした赤い髪の少女と視線が合った。

男が多いギルド内で女性は目立つ。


「あんた達が、どこに泊まってるか聞いておけば良かったわ」

ミランが俺に声をかける。

「ああ、そういえば俺もそう思ったよ」

「リアナは?」

「まだ体調悪そうだから、宿で休んでるよ」

「そう」


「二人きりは初めてね」

「そうだな」


会話が続かない。


「あんた達どこに泊まってるの」

「月兎亭」

「あ~老舗だね。良いところだけど、もうちょっとランクあげればいいのに・・」

「安くていいと思ったんだよ」

「一人ならいいと思うけど、二人で泊まってるんでしょ?あたしんとこ来なよ」

「え?」


俺はミランに連れられ、宿屋を案内される。

周りは高級店が多い通り。

『白銀亭』高級宿だった。

落ち着いた作りの建物のようだ。

和式に近いのかもしれない。

「知り合いってことで安くしとくから」

ミランは宿屋の娘だったようだ。

「値段同じにしとくから、安心して?」


「別に、今のままでも構わないんだけど・・」

ずっと宿屋を借り続けるのもなぁ。

家を借りたほうが良いのかも。

俺はミランに気になったことを聞いてみた。


「どうして冒険者なんてやってるの」

ミランはきょとんとした様子で俺を見た。

こんな高級宿の娘なら金もあるだろうに、わざわざ危険な冒険者をする意味が分からない。


「やってみたかったからだよ。いけない?」

即答だった。

「逆に聞くけど、貴方はどうして冒険者やってるの」

「え?う~ん」


どうしてだろう。

俺は答えられなかった。

「まあ、いいわ。魔法の腕は凄いみたいね」

義母ははに教わったからね」

「お母様?貴方、以前ラクノ村出身だっていってたわよね」


義母ナタリアは優秀な魔法使いらしい。

昔、勇者パーティにいたって聞いた。

今でもその存在感は凄いみたいだ。

冒険者ギルドで職員が騒いでいたのを思い出す。

魔法が上手く使えるのは、異世界人だからだろうか。

じゃなければ、数年の練習であんなに魔法を使いこなせるわけがない。


「光の盾、ラクノ村・・以前、大魔法使いナタリア様がラクノ村に住んでいると聞いたことがあるわ」

ミランが眉をひそめた。


「「あ!あんた、大魔法使いナタリアの息子さんでしょ!そうだ、そうに違いない!じゃなければ説明がつかないわよ」」






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