第16話 ミランとケニー

ガタイの大きい男は、最初に見た時と印象が少し変わっていた。

穏やかな空気をまとっている。

「もう、死んじゃうかとおもったよ~」

ミランはケニーに抱きついていた。

背中には大剣を背負っているので、剣士なのかもしれないが、上半身の筋肉の付き方を見ると、武闘家でもいけそうな気がする。


どうやら、この人も青い牙のメンバーだったらしい。

アレン達とは違い、まともな性格の持ち主で助かった。

「何か企んでそうだったからな、自分の前ではアレン何も言わないからな」

ミランを優しく見つめている。

ああ、そういうことか。

おそらく俺たちは、ミランのついでに助けられたのかもしれない。


ケニーは冒険者ギルドで、アレンとウェルナを引き渡す。

「こいつらはそこの、ミランとリアナ、そこの男を殺そうとしたんだ。厳正に裁きを下してくれ」

縄で手足を縛られている、アレンとウィルナは床に転がっていた。

「・・な、何かの間違いだ・・俺はそんな事はしていない・・そ、そうだこの女が、勝手にやった事なんだ」

「なっ、アレン?何を言っているの?」


アレンは言い訳をしているが、今更だ。

言い訳にしても、仲間の女を裏切るって・・これが本性なのかもしれないな。

ギルド職員のグレイルはアレンを見る。

「青い牙は解散だ。ケニーも抜けると言っているしな。前回の処分が甘かったか・・すまなかったな、君ら」

グレイルは俺たちに対して詫びた。


アレンとウィルナはしばらく牢屋行きになるらしい。

どうでもいいや。

ミランはケニーを俺たちのパーティに誘ったようだが、断っていた。

「しばらくパーティはこりごりだ」とか言っていたらしい。

強そうだから、仲間になっても良かったのにな。


****


「今日はもう休もうよ」

「そうだね」

「さんせ~い」

皆一様に疲れてしまっていた。

宿屋に戻ってのんびりしよう。

ちなみに依頼の魔物がいる森という情報はウソだったらしい。

俺達をおびきよせる作戦だったとか。


遅いお昼ご飯を適当に食べて・・寝ることにした。

屋台で売っていたファーストフードをかじりながら宿屋に戻ってくる。

肉を揚げたものとイモを揚げたもの。

食べ物は、前の世界とあまり変わらないらしい。

「お行儀が悪いなぁ。っていうかワイルドになったよね。ノア」

「元々の性格だとおもうよ。嫌いになった?」

「・・ううん。そっちのノアも好き」


リアナはうっとりとした瞳で俺に近づいてくる。

ベッドの上で押し倒されて、キスをされる。

「・・積極的だね」

「だって、もっと好きになっちゃったんだもん」

俺はリアナを優しく抱きしめた。






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