第8話 Bランクの依頼

「ノア、わ、わたしと組まない?」

リアナさんは上ずった声で、俺の背中から声をかけてきた。


「え?リアナさんて青い牙のメンバーでしょ?」

未練たらたらだった俺は、ギルド職員のスノウさんからリアナさんの事を聞いていた。

リアナさんにはアレンという美形の恋人がいて、青い牙という4人のパーティメンバーという事も。


「辞めさせられたから・・もういいの」


俺とリアナさんは組んで仕事をする事にした。

正直いきなりBランクになったから戸惑っていたのだ。

冒険者先輩のリアナさんが、隣にいることが心強い。


「えっと?リアナさん?」

俺とリアナさんは町を歩いていた。

「くっつき過ぎではありませんか?」

「何よ。嫌なの?」

「嫌じゃありません」

俺の腕に絡みつき、ぴったりとくっついて歩く。

周りの人に、じろじろ見られてる気がするのだけど。


俺たちは冒険者ギルドに来た。

「ノアさん?え?リアナさんと一緒に?」

ギルド職員のスノウさんは、バサバサ・・と書類を落とした。

スノウさんは落とした書類を回収した。

「失礼しました。ほ、本日はどのようなご用件で?」


「ちょうどいい依頼がないかと思って」

周りを見るとギルドにいた他の冒険者たちも驚いているみたいだった。

そんなに意外だったかな。


「リアナってアレンと・・じゃ、なかったか?」

「昨日やりあってたのをたまたま聞いちゃってな・・」

「いまからでも遅くないか?」

ざわざわと冒険者たちがざわめいている。


リアナさんはギルド職員のスノウさんに向き合う。

「Bランク向けの依頼は無いの?」

「あ、はい。こちらは・・青い牙に依頼したものか・・二人用の依頼・・となると」

しばらく悩んでいるスノウさん。


「これでいいじゃねえか」

ギルド長グレイルが横から割り込む。

「お前さんは回復魔法使えるんだろ?多少の危険な仕事でもできそうだ」


「ノア?貴方、回復魔法も使えるの?」

リアナさんは目をぱちくりさせていた。


「何だ知らなかったのか。オレはてっきり知ってるかと、はいこれ」

グレイルは一枚の依頼書を、俺の前に出した。


「行方不明者の捜索・・?」

「何人かに依頼したんだが、みな帰って来ないんだよ・・まぁ危なくなったら逃げてきていいから」

「めっちゃ難易度高くないですか?」

「お前逃げるの得意じゃねえか。戦いに行くやつよりはいいかとおもってな」

「わかりました。これ受けます」


少し気乗りしなかったけど、俺は依頼を受けることにした。

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