第2話

 光に導かれるまま私が辿り着いた場所は小高い丘の上で、辺り一面、白い花々で埋め尽くされていた。花々は皆、生き物のように月光や星明かりに反応し、脈動しているようだった。素体に一枚ずつオーガンジーのパーツを重ねていくようにして、ゆっくり、少しずつ、花を咲かせようと……必死だった。


「皆、必死になって頑張っている。だから、私は、その子たちの為に、私がしてあげられることを必死でしているの」


 昼間のレッスンで言われた先生の言葉が、繰り返し、繰り返し、私の頭の中で再生された。


 私は、健気で可憐な花たちを踏み潰さないように……いや、いっそのこと、踏み潰してみたら面白いだろうなという気持ちが本心だったのだが、僅かに残された理性が、私にそうさせることを、すんでのところで引き止めてくれた。


 なみ縫いをするように、花々の合間を縫って歩みを進めると、丘の頂上へと到達した。私は、石碑のような物の隣に腰を下ろし、眼下に広がる景色を見下ろした。これといって何の取り柄もない辺鄙な田舎町だ。民家と、田畑、果物農園が、闇に包まれ、静かに寝息を立てていた。

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