第064話 始まる進化
ノワールの森よりも危険度が高いので手分けすることなく、全員で探す。
効率よりも安全面が優先だ。
「あ、これは依頼にあったシルバートリュフだ。こっちにはランドの実も」
しかし、見つかるのは依頼の品ばかり。なかなか進化に必要な素材が見つからない。そこそこ希少なので仕方がない。
「ピピッ」
もう少し奥に進んだところで、付近を探していたプルーが俺を呼ぶ。
「おお、これは雷霆草か」
そこにあったのはまるで稲妻のような形をした黄色い草。
それは俺が探している進化素材の1つである雷霆草だった。
「チチッ」
「プーッ」
それを皮切りに他の従魔が次々に進化素材を見つけ始める。
これなら思った以上に早く進化できそうだ。
探索中もモンスターは現れる。
俺が前に出るとすぐ終わってしまうので、皆の訓練がてら俺が指示を出しながらモンスターを倒す。
「シャアアッ」
今回現れたのは、キラーマンティス。巨大なカマキリのモンスターだ。
両手の巨大な鎌は非常に鋭く、アレで攻撃を受けたらひとたまりもない。
「リタ、守りの風、リリ、フェザーニードル、ルナ、フロストブレス!!」
「任せてください!!」
「チィッ!!」
「クゥツ!!」
リタで全員の防御力を向上させ、遠距離攻撃に徹し、リリの攻撃で隙を作り、ルナの攻撃で凍えさせて動きを鈍らせる。
「プルー、ポイズンショット、クロ、ブラインド!!」
「ピピッ」
「ニャッ」
そこにダメ押しとばかりに、プルーの毒攻撃とクロロの視界を奪う魔法をお見舞いした。
毒攻撃でキラーマンティスの体の色が青白く変化し、目の付近に黒い靄が掛かる。
「シャッ、シャッ」
急に視界が真っ暗になり、具合が悪くなったキラーマンティスは、混乱して両手の鎌を手当たり次第に振り回した。
しかし、ルナのフロストブレスで凍り付いた節々ではまともに動くこともできない。
「アスラ、シャドウエナジー。ルナ、アイスニードル。プルー、アクアブレット、リリ、ファイヤーボール」
レベル上げがてらアスラにも攻撃させて、遠距離攻撃を連発して追い打ちをかける。
「シャァアア……」
直撃を受けて大きく体の一部を欠損させるキラーマンティス。
虫系モンスターはしぶといのでしっかりとトドメを指す必要がある。
「リリ、ファイヤーブレス!!」
「チィイイイイッ」
止めとばかりにリリが吐き出した炎がラーマンティスを包み込み、燃え上がる。後の残ったのはプスプスとくすぶって煙を上げているキラーマンティスの死体だった。
死体が冷えた後、魔石を取り出し、再び素材集めに戻る。
「ギャギャッ」
モンスターを倒しながら、素材集めをすること数時間、一番最初に進化したのはアスラだった。
――――――――――――――
個体名 :アスラ
種族 :アサルトリザード
属性 :闇
レベル :1/30
ランク :D
スキル :シャドウエナジー
ファイヤーブレス
状態 :良好
進化条件①▼
①アチチ草×100(12/100)
②漆黒草×100(8/100)
③Cランクの魔石×50(0/50)
④レベル上限
進化条件②▼
①黒影石×5(0/5)
②混毒玉×5(0/5)
③アチチ草×100(12/100)
④漆黒草×100(8/100)
⑤Cランク魔石×100(0/100)
⑥レベル上限
――――――――――――――
アスラが進化したのはアサルトリザード。
体長が1メートル程まで大きくなり、黒光りする鱗、鋭い爪と牙を持っていて、素の防御力と物理攻撃力が非常に高い。
トカゲと言うよりはワイバーンなどの亜竜に近い見た目をしている。
近接戦闘力が高いメンバーがほぼいないので、今後さらに成長していけば、壁役として非常に期待できると思う。
そして、遂にCランクに進化したメンバーが現れた。
「プーッ!!」
それはポーラ。
聖水は森ですでに手に入れていたので、月の実を5つ集めるだけでよかった。そのため、一番進化が早かったわけだ。
―――――――――――――
個体名:ポーラ
種族 :エンジェルラビット
属性 :光
レベル:1/40
ランク:C
スキル:ハイヒール
アンチドート
ハイキュア
状態 :良好
進化条件①▼
進化条件②▼
―――――――――――――
ポーラが進化したのはエンジェルラビット。
このモンスターに関する情報は少ない。なぜならかなり希少でほとんど誰もみたことがないから。
まさかそんな種族に進化するとは思わなかった。
一番の変化はその見た目。
背中に小さな可愛らしい翼が映えていて、頭の上に金色の輪っかが現れた。エンジェルというその名にふさわしい。ただ、飛べるわけじゃないらしい。
そして、そのスキル。ヒールとキュアが上位版へと進化した。
ハイヒールはクリスとラッキーが使っていたし、俺も代理契約で実際に使ったので分かっているが、ハイキュアはそうそう見られないレアなスキルだ。
多くの病気を治してしまう程の効果があり、おそらくこれが使えれば、母さんの病気さえ治すことができた。
ハイキュアを使える人物はすぐにスカウトに来るという話を聞いている。それにまつわるきな臭い噂も。
これは人に知られないように気をつけなければいけない。
特殊進化、まだCランクへの進化だというのに凄い恩恵だ。
俺はなんだかヤバい道に踏み込んだように、背筋に寒気が走った。
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