森の守り神

第031話 新しい選択肢

 その答えはもちろん『はい』だ。


『承認されました。個体名リリ、ポーラ、ルナ、プルー、クロロの進化を開始します』


 もう三度目となると、慣れたものだ。


『初めての進化を達成しました。50BP付与します』

『初めてのDランクへの進化を達成しました。50BP付与します』

『Dランクへの進化に伴い、20BP付与します』


 おお、沢山BPが貰えた。


 預かったモンスターを進化させた時にもBPが貰えるんだな。


 わざわざ"Dランクへの"と、ついてるのを考えると、どのランクに進化させたかで貰えるBPも変わるんだろうな。より高いランクに進化させた時ほど沢山のBPを貰えるに違いない。


 BPを貰えることを考えると、やっぱり他の人のモンスターを預かることを考えるべきだよなぁ。


 以前と違い、ブリーダーの力について話せる候補が3人増えた。


 今度会った時に少し話してみようかな。


 これまでもらったのを全部合わせると、300BPを超えている。


 育成牧場に施設を追加できるぞ。


「チィイイイイッ」

「プゥウウウウッ」

「クゥウウウウッ」

「ピィイイイイッ」

「ニャァアアアッ」


 俺がBPに気を取られている内に皆の進化が終わっていた。


 皆行儀よく俺の前に並んでいる。


 リリは更に一回り大きくなり、体長が60cmくらいになった。くちばしと爪が猛禽類のように鋭い。あれで攻撃されたらひとたまりもないと思う。


 それに、元々も赤かった部分が炎のように揺らめいていて綺麗だ。


 このモンスターはファイヤーカイト。


 高速飛行によってダメージを与えにくく、燃える羽を針のように飛ばしてきたり、ファイヤーボールだけでなく、炎を吐くファイヤーブレスで攻撃してきたりする。


 学院時代にテイムしていた人が居たけど、Cランクにも引けを取らない強さで羨ましがられていた。


 ポーラは大きさは変わらず、なんだか頭に不思議な帽子のような物を被っている。


 このモンスターはキュアラビット。


 ヒールとアンチドートに加え、病を治すキュアを使用することができる。ただし、母さんのような重病までは治せない。風邪とかよくかかる病気に効く。


 医療現場でかなり重宝される魔法だし、メディカルラビット以上に珍しいので、捕まえて高値で売るような悪い奴らもいる。


 今後は街中では育成牧場に入れておいて人目につかないようにしようと思う。


 ルナはまた一回り大きくなって、もう今では犬型モンスターくらいの大きさになってモフモフの尻尾が2本に増えた。可愛らしさは変わらない。


 ただでさえモフモフなのに、2本に増えたら、さらにモフモフでモフモフだ。


 何を言ってるか分からないな。


 このモンスターはフロストフォックス。


 極寒の地に住んでいて、氷の礫を含む強力な冷気のブレスと、氷柱を飛ばすアイスニードルを操る。


 寒い地域以外ではまず見かけないのでルナも隠しておいた方がいいかもしれない。


 プルーは、紫色が少し赤みが強くなったくらいで大きな変化はない。


 このモンスターは、スリープスライム。


 眠りの魔法を操り、対象を眠らせ、その間に取り込んで消化してしまうという恐ろしいスライム。ただし、その消化スピードは遅く、自身よりも大きな相手だと、消化する前に目を覚ましてしまう可能性もある。


 ただ、Gランクから育てて進化させているせいか、普通のスリープスライムと違い、アクアブレットやポイズンショットなども使いこなすハイブリットだ。


 もしかしたら、見えないだけで他の皆も通常よりも強いのかもしれない。


 そして、最後にクロロ。


 小さな猫だったクロロだけど、大きめの猫へと成長した。そして、まるで黒い炎のようなものを纏っている。


 それは影だ。


 このモンスターはシャドウキャット。


 影を移動する力を持つ隠密性の高いモンスターで、さらにその奇襲能力に磨きをかけていた。ただし、まだまだ攻撃力が高くないため、防御力の高い相手に弱い。


 影を移動する能力で屋内に侵入することもできるので、暗殺や諜報などに使われることがある。


 そういう組織に狙われるかもしれないので、クロロも育成牧場行きにしよう。


「皆また強くなったな!!」

「チィッ!!」

「プゥッ!!」

「クゥッ!!」

「ピィッ!!」

「ニャッ!!」


 進化の終わった皆を撫でると、皆が目を細めて気持ちよさそうにした。


 そして、皆のステータスボードを確認する。


 そこには驚愕の情報が記載されていた。


 ―――――――――――――

 個体名:リリ

 種族 :ファイヤーカイト

 属性 :火

 レベル:1/30

 ランク:D

 スキル:ファイヤーボール

     ファイヤーブレス

     フェザーニードル

 状態 :良好

 進化条件①▼

 進化条件②▼

 ―――――――――――――

 個体名:ポーラ

 種族 :キュアラビット

 属性 :光

 レベル:1/30

 ランク:D

 スキル:ヒール

     アンチドート

     キュア

 状態 :良好

 進化条件①▼

 進化条件②▼

 ―――――――――――――

 個体名:ルナ

 種族 :フロストフォックス

 属性 :氷

 レベル:1/30

 ランク:D

 スキル:フロストブレス

     アイスニードル

 状態 :良好

 進化条件①▼

 進化条件②▼

 ―――――――――――――

 個体名:プルー

 種族 :スリープスライム

 属性 :水・毒

 レベル:1/30

 ランク:D

 スキル:アクアブレット

     ポイズンショット

     スリープ

 状態 :良好

 進化条件①▼

 進化条件②▼

 ―――――――――――――

 個体名:クロロ

 種族 :シャドウキャット

 属性 :闇

 レベル:1/30

 ランク:D

 スキル:ミラージュ

     シャドウムーブ

     ブラインド

 状態 :良好

 進化条件

 ①黒影石×1

 ②シャドウナッツ×100

 ③Cランク魔石×50

 ④レベル上限

 ―――――――――――――


「ひ、1つじゃないのか!?」


 それは進化の条件が2つあること。


 これはそれぞれを達成しなければ進化しないということではなく、それぞれ別の種族に進化するみたいだった。

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