「ねぇ」




「ん?」




「私のどこが好き?」




「なに、急に」




「いいから、どこが好きか言ってみてよ」




「ん-…………顔?」




「最低」




「なんで! だって顔キレイじゃん!」




「じゃ顔がキレイなら誰だっていいワケ?」




「そういうワケじゃないけど」




「じゃどういうワケなの」




「いや、だから、ミヅキの顔が特別好きってこと」




「ふぅん。ふうぅぅうん?」




「え、なに、何が不満なの」




「私さ、よく広瀬すずに似てますねって言われるんだけど」




「え腹立つ」




「なんで!」




「そういうの自分で言うタイプだっけ? よく○○に似てるって言われるんですってヤツ。しかもよりによって、広瀬すず」




「でも似てるでしょ?」




「いや分かんないけど、うーん、まぁ、皆が言うならそうなんじゃないの?」




「そう、そうなの。そうなんです。じゃ、広瀬すずと私どっちがキレイ?」




「広瀬すず」




「ほらみろ! サイテー! やっぱ顔キレイならなんでもいいんじゃん!」




「違う! いや、キレイな顔はそりゃ好きだよ? だけどそれとこれは別じゃん」




「別!? じゃ『私の顔が特別好き』の『特別』はどの別なワケ!?」




「め、め、め、めんどくせ~!」




「めんどくさいって何!? 正気!? 今めんどくさいって言ったの!?」




「あ~ごめん! ごめんごめん! 分かった! 白状します!」




「何!?」




「あのね、顔が好きってのは嘘!」




「はぁ?」




「本当は、あー…………待って、やっぱナシ。もうこの話やめない?」




「なにそれ。そこまで言ったなら最後まで言えよ」




「じゃ、言っても引かない?」




「……何? おっぱいとか?」




「ちがっ、違う違う違う! ……いや! いや、でもっ……いや違う!」




「じゃ何」




「絶対引かない?」




「うざ。早く言えよ」




「あの~……におい」




「におい? フェロモン的なやつ?」




「いや、あの、脇の」




「脇ぃッ!? えっ、わっ、えっ、脇ぃ!? えキモ!! 無理キモ過ぎ!! 死ね!?」




「ほらぁ! だから嫌だったんだよォ! しょうもね~マジで!!」




「え待ってごめん待って、てか私の脇って、なに、えっ、に、におうの?」




「いや! におうっていうか、うーん……」




「え無理! 無理無理無理無理! も~嫌だマジで! え嘘!? 嘘じゃない!?」




「あ、香ばしいって感じ。スパイシーで」




「うわァーーーーーーッ!! サイテー!! マジで信じられん!! 死ねよ!!」




「俺は好きだよ」




「キモキモキモキモーーーーッ!! もーやだぁッ!! お前っ、今すぐ死ねッ!!」




 ◇




「よぉ、昨日は――――って、あれ? ミヅキ、ノースリーブなんて持ってたんだ」




「死ね」






 おわり

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