東京デスニィランド ③

 ゾンビを大方片づけ、トラックから越後さんを救出した。

 越後さんも銃を取り出し、ゾンビめがけてぶっ放す。そして、なんとか多数のゾンビの群れをどうにかできた。


「すまんかったなぁ。一人で……」

「いや、一人じゃないっすよ。あそこ」

「あそこ?」


 あたしが指さしたほうには金髪のさっきの男の人が立っていた。


「驚いた。生きとる人間おったんや」

「彼が今生存者のところに案内してくれるそうです。あたしが行くより生身の越後さんが行ったほうがいいかと……」

「いや、一応あんたもいくで。この終末世界では信じられるもんはあんまないからな」


 男の人は建物の上から降りてきて、越後さんと握手を交わした。


「本当にゾンビの上司が生身の人間なんだな」

「せやで。復元軍連隊長の越後っていいます。生き残りの人たちのもとへ。わいが少し援軍連れてきて避難させますわ」

「助かる。食料もつきそうだったから……」

「あんた、名前は?」

「俺は安達 啓介。助けに来てくれたこと、マジ助かる」


 そういって、安達さんは生き残りがいるといっているレストランのほうに向かっていった。

 レストランには生身の人間が地べたで寝たりしている。バリケードを作っていて、そこを越えなければ生存者に会えない仕組みらしい。


「夢の国はもしもの時のために乾パンとか蓄えてたんだ。それで今まで何とか食いつないできたが……」

「それも限界があるわな。それに、生存者はせっまいレストランだけかい。残りは……」

「最初はもっと多かったんだ。でも、閉鎖空間に耐え切れず精神がおかしくなってゾンビに食われに行った奴とか、助けを呼んでくると言って帰ってこないやつとか……日に日に少なくなっていったんだ」

「そりゃ行動制限かけられてて一日ずーーっと暇しとったら壊れるで。とりあえず、生存者にあおか。連絡はわいが無線でするさかい」


 あたしらはバリケードを越えて、中へと入っていった。

 あたしは生存者の一人と目が合う。


「きゃあああ! ゾンビ!」

「ゾンビが侵入してきやがった……! 一体だけならまだ……!」

「落ち着け! こいつらは助けに来てくれた奴らなんだ!」

「どもー。ゾンビになってるけど自我だけ残ってる可愛い女子高生だ。ほんとに生存者いたよ」

「復元軍っちゅー団体で活動させてもろてる越後ってもんや。よろしゅうなー」


 越後さんを見て安心したのか、生存者の人は安心しきった顔をしていた。


「安心するのはまだ早いで。ここを早くでなあかんやろ。今さっきわいの仲間に連絡したから、安心するのはこの悪夢の国を抜けてからや」

「そ、そうですね!」

「ただ、早く避難するんやったらこのバリケード、邪魔やな。手の空いてる男ども! このバリケードをぶっ壊すで!」

「でも外にはゾンビが……」

「レストラン内にはゾンビはおらへん!」


 さっき来る最中にあらゆる部屋を調べてきたがゾンビが潜んでいる様子はなかった。

 あたしはバリケードを思い切り蹴飛ばすと、積み上げられていた机がどんがらがっしゃーんと崩れ落ちる。


「っし、誰かスピーカーかなんか持ってないっすか。あたしが囮になってゾンビを集めるんで、その隙に」

「な、ならうちある! 充電とかも一応ぎりだけど……」

「もらうよ」

「は、はい! 命が助かるなら……」

「ゾンビ女子高生さんは大丈夫なんですか? 危険じゃ……」

「いや、あたしすでにゾンビだし。噛まれてもだから何?だぞ」

「あ、それもそうか……」


 あたしはふわふわセーターを着た中学生くらいの女の子から音楽プレイヤーをもらう。イヤホンを外し、音楽を爆音で鳴らしながら外に出た。

 外にはさっきの音で集まってきたゾンビがいた。


 音楽プレイヤーのほうに引き寄せられていくゾンビ。あたしは全速力で、ゾンビをレストランから引き離す。


「ゾンビであること有効に使ってんなァ! あたしは気にしなくていいの偉いわ!」











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