東京都渋谷区 ②
倒しても倒してもどこからかゾンビが出てきて、スクランブル交差点にはゾンビの山が出来上がっていた。
腐敗しきったゾンビの身体はぐちゃぐちゃになり、酷いものは溶けているものもある。
「キリがねえ……。どこに潜んでやがんだこのゾンビ共……」
あたしは刀でゾンビを倒しながらそうぼやく。
すると、どこからか大きな音が聞こえた。ゾンビたちに激突し、こちらに向かってくるトラックが見えた。
「運転手がゾンビ!? 車運転するゾンビとかアリかよ!?」
こういう知性もあんのか!
あたしを敵と認識してトラックでそのままぐちゃぐちゃにしてやろうって魂胆か! 自我はねえくせに厄介だな!
さすがにあのトラックを止められるかと言われたらノーなので全力で躱すしかねえ!
スクランブル交差点に集まってるゾンビもろともこちらに向かってくるトラック。
あたしはギリギリで躱したが、トラックはドリフトさせ、急旋回しこちらめがけて異世界転生よろしくばりの勢いでトラックがやってくる。
「ボスゾンビってたしかに厄介だな! 車運転できる知性を残したままとか……マジふざけてやがる……」
どうするよ。
考えろあたし……。いや、考えても仕方ねえ。とりあえず逃げるしかねえよ!
エンジンが尽きるまで走るか? いや、速度が段違いすぎる。トラック相手にそれは無理。
「マジで死が目の前に迫ってきてやがる感じがすんな……。っし、やるか」
目の前に迫ってくるトラック。
あたしは動かないゾンビをぶん投げまずはフロントガラスに張り付かせた。当たった!
結構な量が張り付いてしまったのか、ワイパーを動かしているがワイパーの方が折れてしまっていた。
ボスゾンビはダメだと判断したのかトラックから飛び出て、そのまま制御不能のトラックは渋谷駅の方に向かって激突していた。
「やべ、あっちの方向は……!」
「ゔあ゛あ゛あ゛!!!」
「うるせぇ! 黙って死ね!」
ボスゾンビを斬り裂き渋谷駅の方に向かう。
トラックが渋谷駅の入り口で停まっており、中に入るとゾンビが一体もいなかった。
「よかった、無事だ……。渋谷駅を汐里は探してるつってたからまずは汐里と合流しねえと。さすがにあの交差点のゾンビの量はきちいから応援を……」
「きゃあああああ!」
と、どこからか出てきた女の人が悲鳴を上げる。
復元軍兵士たちがゾロゾロと避難民を誘導していたようだ。
渋谷駅に潜んでたのか。
「ぞ、ゾンビ……!」
「落ち着いてください! あれは珍しい例ですが我々の仲間です! 襲うことはございませんので……」
「ゾンビは撃ち殺せ!!」
「怖いわ!」
あたしはそう言われてしまったので逃げることにした。
ちくしょう……。まぁ、汐里も怖がられると言ってたしゾンビは普通怖いか。
あたしは仕方ないのであたしの任務に専念してよう……。改めて怖がられると悲しいな……。
あたしはあのボスゾンビがやったように大きなトラックに乗り込んでゾンビを蹴散らしてくことにした。が、運転の仕方がわからない……。
女子高生だぞ。知ってるわけねえじゃん。
「ま、適当に動かしてみっか……。どうせ痛みは感じねえしやばかったら飛び降りりゃいいしな!」
あたしは鍵を回しエンジンを吹かす。
数年放置されててもばってりとか上がらないんだぁ……。そうなの?
まぁいい! ぐちゃぐちゃにしてやるぜゾンビ共……。
「うわっ! 急に走り出した!?」
あぶなーーーーい!!!
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