社畜 連絡

家に帰り考える

再生持ちの魔物、弱点は配信で言っているから分かるだろうが他の探索者が触手を突破出来るか分からない

触手そのものは固くは無いが攻撃は早く数が多い、再生するというおまけ付き

最も注意すべきなのは


「類似しているだけで戦い方と異能が異なるケースなんだよなぁ、再生を持っていない代わりに別の異能を持っている可能性がある、その異能によっては勝てるとは限らない……」


天音も含めれば3人、あの時より戦力が増えている

一鬼は探索者の歴もある、経験豊富で戦闘能力も高い

少なくとも2人で戦うより勝率はかなり高くなる

(3人で戦うべきか)

最もあの一体だけであれば杞憂で済む話

だがもし遭遇し配信で見たからと言ってその対策で挑み違う動きをしていたら壊滅する可能性が高い

それなら経験者が挑む方がそう言った事故を回避出来るかもしれない

天音に連絡を取る


『今大丈夫?』

『はい、大丈夫です。何かありました?』

『今日獅子神一鬼に会ったんだけどそこで3級ダンジョンの手伝いをして欲しいって言われた』

『げっ、獅子神……あの配信を見ていたんですかね』


天音の言う配信は蓮二が天音を救出した配信

あれには素顔が写ってしまっている、あれを見たのなら蓮二が強い異能者であるとわかってしまう


『配信を見てたって言ってたね』


蓮二の言う配信は昨日の配信、ちゃっかりすれ違いを起こしている

会話に影響は無い


『それであの獅子神の配信の手伝いですか? 3級ダンジョンにですか……』

『竜胆さんにも協力を仰ぎたいって行ってた』

『そうなんですか……珍しい』

『ダンジョンは配信で行ったあのダンジョン、そして中ボスのエリア』

『中ボスのエリア?』

『僕達が戦ったのは入口にいた魔物で中ボスのエリアの魔物とは戦っていない』

『……あれは同一では無いという事ですか』

『可能性の話なんだけど』

『確かに有り得ますね。あの魔物の異能は再生だと考えれば私達より早くそしてバレずに移動出来る異能では無い』


移動系の異能を持っているのなら戦いで使用しなかった事に疑問が残る

それなら2体居たと考える方が理にかなっている


『あの魔物は強い。そして僕たちが戦った魔物とは異なる可能性もある』

『あくまで似ているだけ……確かに両方とも黒いモヤで見えませんでしたからね。戦った方は戦いの中で炎によってある程度の形は視認出来ましたがあちらに関しては何も見えていない』

『そう、あくまで似ていると言うだけなんだ。別の魔物の可能性がある』


雰囲気も気配も一緒な別存在なんて早々居ないだろうが危険なその可能性は捨てられない


『蓮二さんは戦うべきだと思っている。確かに経験者の私達が戦えるならその方が良いでしょう。同じなら同じ対応を違うなら別の対応を、その判断は2体共に対峙した私達が一番分かるので』

『早い段階で休み取れるように頑張る』

『時間かかっても大丈夫ですよ。一応付近の探索者に注意喚起しておきます』

『獅子神さんの都合もあるから』

『獅子神の都合は大丈夫です、あの女自由人ですからたぶん1ヶ月くらいは暇ですよ』

『知り合いなの?』

『えぇまぁ少し……』


(絶対何かあったよね……)

何か2人にはあるのだろうが深掘りはしない


『連絡先交換したから伝えてみる』

『分かりました』


天音との会話を終えてすぐに獅子神一鬼に連絡を取る


『獅子神さん今時間よろしいでしょうか?』

『良いぞ。あぁタメ口で構わない。それでどうした?』


竜胆で良いのか悩む

配信名は天音、竜胆天音と言うのは本名

竜胆という名を明かしているという話は聞いた事がない


『ならタメ口で、先程天音さんに連絡を取ってみたところ、天音さんも含めて配信の協力します』


念の為に連絡の時は天音と呼ぶ事にした


『天音と交換してたか……まぁ別段おかしくはないか。そうか天音も参加するのか、OK、それじゃいつ行ける?』

『休みが取れる時になるのでいつになるかまだ分からないかな』

『そうか、他の探索者が遭遇しないように早めの方がいいがその辺は天音がどうにかしてるか』

『注意喚起すると言ってた』

『流石仕事が早いな。その心配が無くなるのならいつでも構わない。1ヶ月程は配信予定もないしな』


(竜胆さんの言う通りだ……1ヶ月なら1日くらい休み取れるか)

1ヶ月の期間の中でなら休みは取れる


『休みが取れそうな日の前に連絡します』

『OK、あっ、それまでダンジョンに潜る予定ある?』

『無いかな。仕事終わりなら行けるけど連勤だから体力持たなくなるかも』

『てか何連勤もするレベルなのか。君残業もしてるでしょ……社会人とんでもないなぁ』

『ここまでのはレアケースだと……思いたい』

『探索者になれば心配は無いと思うんだがな。探索系配信者になれば収入も得られるしな』

『一応あの会社は安定してるから』

『安定してると思っていても裏では実はなんて事はある。辞めろとは言わないが別の稼ぐ手段くらいは考えておいた方がいい。強い異能を持つ君なら探索者は向く』

『少しずつダンジョンで稼ぐ予定はある。まぁそこまで無理はしない予定だけど』

『少しずつ? 魔物の素材持ってるだろあれは売ってないのか?』

『余り目立ちたくないから売ってない。高値とは聞くけど』


取引所は人が居る、そんな所で3級の中ボスの素材を売ると目立ちかねない

目立ちたくてやっている訳では無いというよりは同僚や上司に探索者やってる事がバレたら確実に面倒な事になる


『あの魔物の値段は分からないが君たちは中ボスを倒してる。倒されていない中ボスの価値は高くてな。取引所で4000~5000万くらいだな』


蓮二はその額に驚く

その額はとんでもない額だ

普通に働いて生活すると年単位でかかる金額だ


『えっ?』

『そのくらいはする物だ。何せ現状人類最高峰の探索者で3級攻略がギリ、その難易度のダンジョンの2番目に強い魔物だ、もっとダンジョンの数が増えるか3級を楽に倒せるようになれば価格は落ちるだろうが現状であれば妥当だろう、何せ世界にたった一つの素材だ。魔石でも100万近くする』


売るか悩む、その金額が手に入るなら欲しい

正直ガチめに仕事を辞めて探索者を続けてた方が良いと思える金額

中ボスに関してはさほど苦戦はしていない、一撃で仕留められた

もしあの魔物の素材も同じ程度の値段ならワンチャン億に届く

(税金とかどうなってるんだろ)


『日本で攻略されている3級ダンジョンは0個そして現状確認されているのは20個、中ボスも倒されているのは6個だったな。うち2つは同じ奴だ』

『同じ……』

『レイって奴でな。シズクっていう最近配信者の元で活動してる。空間移動の異能者、こいつも3級を1人で倒せる怪物だ』

『後で確認してみる。それじゃ休み取れたら連絡する』

『待ってるぞ』


連絡を終える

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