社畜 別の配信者とエンカウントする

腕が痛むが仕事をする

相も変わらず仕事を押し付けてくる上司や同僚

構わず仕事をする

蓮二が仕事を放棄したらとんでもない事になるという事を理解していない

便利だからと言って押し付けて仕事の内容すらほぼ見てない


「いやぁ、お疲れのようだね。何かあったのかい」

「いえ、特に」

「それにしてはスーツが汚れているようだが」


戦闘の時に土が着いたのだろう、気付かなかった


「通勤で転びまして」

「ほう、そうかい。通勤時は気をつけたまえよ。労災になると面倒だから、あと身嗜みには注意しておくべきだよ。私のように」


高い金を出してオーダーメイドして貰った服を着て自慢げに語る

(お前の対応には疲れてるよ……この汚れ戦闘時かな。スーツで戦うなら気をつけないとなぁ)


「気をつけます」


上司が居なくなる

同僚達も居なくなった時一度背伸びをする


「さすがに疲れ溜まってるなぁ……再生持ちの魔物か少し調べてみよ」


仕事の片手間で調べる

魔物について、様々な情報が出ているが再生持ちの魔物に関しては現時点ではあの魔物以外の情報は無かった

(竜胆さんも知らなかったし人前に出てきたのはこれが初めて? ならコメントはなんだろ)

配信を見る

あの魔物との戦いの部分を確認する


「これか……成程、ゲーム知識か、確かにこう言った再生する敵の相場はコアだったりするよね」


ゲームでは再生持ちの敵などは弱点を攻撃する事が多い

蓮二もゲームはやるので納得する

ゲーム知識が通じるというのもダンジョンが謎多いからこそなのだろう

(限界……あの魔物にもあるのかな)

無限再生では無く再生する度に何かを消費、再生の上限が決まっている

再生の限界を迎えたら再生が行われず倒れる

最も再生の限界を迎える程再生を使わせるには長期戦は必須となるだろう

そうなれば体力が持たず押し切られる


「限界までは現実的じゃないなぁ。あっ、仕事やらないと」


配信見てる時手が止まっていた

仕事をさっさと終えてダンジョンに寄らず家に帰る

その道中に1人の探索者に出会う

探索者だと分かったのは防具らしき装備と武器を持っていて見覚えがあったから


「今のは確か……」

「おや、丁度いい。この付近にダンジョンがあるはずなんだが何処にあるか分かるか?」

「それでしたらその先を真っ直ぐ行って右側にあります。森の中なので少し見づらいですが」

「ほほう、成程ありがとう。ではまたな」


その探索者はお礼を言ったあとすぐにダンジョンへ向かう

配信者があのダンジョンへ行こうとしているという事は恐らく天音の配信を見ていたのだろう

(でも1人で?)

配信者は基本ダンジョンに潜る時は3~6人、想定外の出来事に対応出来るメンバーで行く

人によって固定メンバーがいる場合と居ない場合がある

先程の人物は固定メンバーは居らず視聴者参加か配信者とダンジョンに潜っている

一人でいる事には驚かないがダンジョンへ向かうのに一人なのは不思議に思える

気にはなるがダンジョンに用はないので家に帰る


「久しぶりに見よ」


家に帰り風呂に入りながら先程の人物の配信を見る

勝気な男勝りな女性、配信の名前は獅子神一鬼

使う武器は4級ダンジョンで本人が入手した剣、能力に関しては配信で一度も使っていない為不明

異能を使わずに3級ダンジョンに潜れる人物

強い探索者は大抵異能を使っている物なのだがこの人物は異能を使わずに探索者の中でも上位に君臨する程の実力を持つ

本人は異能の話には触れていない為異能を持つかすら分かっていない

戦い方は脳筋、素早く接近して攻撃される前に切り裂く、攻撃をギリギリで避けて切り裂く

武器持ちには剣を叩きつけて弾いてから無防備なところを切り裂く、魔物の持つ武器を掴んで無防備なところを刺すなど策など一切無い

配信を見て分かる、単独で戦えるだけの強さがある

むしろ連携は余り得意では無いようで単独の方が力を発揮出来る印象がある

豪快で荒々しい戦い方をする

これで異能を使っていないというのだから恐ろしい


「強いなぁ。荒々しいのに凄い綺麗だなぁ」


蓮二は戦い方というより武器を振るい方に目を向ける

荒々しい戦い方、長剣を片手で自在に振るっている

切る時一瞬を間を置いて切る

斬る角度や力の入れ方を上手く調整している

戦い方自体は脳筋そのものだが技術力は高い


「入り過ぎた」


配信に夢中になり長風呂していた

風呂から出る

明日の支度と食事を済ませて寝る

次の日今日も仕事を早く終えて帰り道を歩いていると昨日会った獅子神一鬼に遭遇した


「偶然だな」

「偶然ですね……」


蓮二でも偶然では無いと分かる

この道は長い直進、直進に入ったあとずっと動かない人物が居た

歩道の中央で仁王立ちして待ち構えていた

この道は昨日出会った場所、昨日も会っているのだからここを会社の帰りに通る事は分かる

しかし、いつも残業をしている蓮二に対しては悪手となる

一鬼は運が良かった


「誰か待ってるんですか?」


仁王立ちしていて進めない


「君を待っていた。天音の配信に映っていたの君だろ?」

「ナンノコトカワカリマセン」

「昨日の君の服は配信に映っていたスーツだ。そして君のスーツは汚れていたからね。普段使いならさほど汚れないか注意するはずだ戦闘中ともなればそうはいかないだろうが」

「…………」


全くその通り、綺麗にしないと上司や同僚に馬鹿にされる、その為いつもは注意していたが戦闘中に付いた汚れには意識が向いてなかった


「それで……何用ですか?」

「あぁ要件はただ1つ、3級のダンジョンに潜りたいんだ、配信の予定でその配信を手伝って欲しい。別に君は天音の配信仲間では無いのだろう? あくまで助っ人なら他の配信者の手伝いをしていても問題は無い」


これもその通り、あくまで前回のは天音の手伝いであり配信の仲間という訳では無い

別に配信の手伝いをする事に問題は無い


「3級のってあそこですか?」

「あぁ、そうだ。あの後入ってないのだろ?」

「は、はい」

「中ボスのエリアが気になってな。お前達中ボスのエリアの魔物とは戦っていないだろ」

「あっ……」


戦ったのは入口で待ち構えていた魔物、中ボスのエリアに居た魔物では無い

似ていたが同一とは限らない


「まだ居る可能性が……」

「あぁそうだ、それで類似した魔物と戦った経験のある君達に協力を仰ぎたい」

「君達?」

「あぁ、天音にも協力を仰ぐ予定だ。ただ連絡先を知らなくてな。君は見つけたからこのように待ち伏せたが、まぁ天音が居なくても問題は無い」

「問題は無い?」

「天音の異能は評価しているが居なくとも勝てる」


天音の異能についてはしっかり評価している、その上で居なくても勝てると判断している

余っ程自分の実力に自信があるのだろう


「考えさせてください」

「構わないぞ。あぁ連絡先交換しないか?」

「分かりました」


2人目の配信者と連絡先を交換する

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