ルカお嬢様とのババ抜き③

「おっしゃー! 今回は、ババ抜き大会するぞー!」


『おおおおお!』


 虎丸のかけ声に、学科のみんなは歓声をあげた。


 今回は、前みたいに下手しないように昼休みで終わりかつ、次の授業で使う講義室でやるからな。邪魔は入らないだろう。


「ねぇ、虎丸。今回の大会のルールを今一度、教えてくれなくて?」


 巫女服を着た静香が、俺に話しかけて来た。


「あぁ、いいぜ。今回は、学科人数が四十人いるから、一回戦目は四人一組で行う。勝ち残った十人を、二つに分けて、五人一組で準決勝だ。そして、最後の二人で決勝戦を行うんだ」


 静香は、虎丸の説明を聞いて頷いた。


「もちろん商品も用意している」


 虎丸は、全国のスーパーやショッピングセンターで使える商品券の束を、静香に見せつけた。


「わかりましたわ。昼休みは一時間。早く始めましょう」


「おう!」


 学科のみんなで、講義室まで移動する。途中で、違う学科の人達に、不思議な顔で見られたが気にしない。今回は、大事な大会だからな!


 虎丸は、意気揚々と講義室に入ると、バックからトランプの束を十組だした。


「よし、早速ババ抜き大会をするぞ! みんな準備はいいか!」


『おおお!』


「勝って、この商品券を手に入れたいか!」


『おおお!』


「ババ抜き大会開始だ!」


『おおおおおおおお!』


 学科のみんなが活気づいた所で、ババ抜き大会が始まった。




 大会は順調に進んで、一回戦が終わり、準決勝まで進んだ。


「虎丸。なかなかやるじゃないですの」


 静香がそう言うと、俺のトランプを引く。


「まぁな」


 虎丸は、自分の手札が無くなったことを確認して立ち上がった。


 俺の勝ちだ。


『おおおおおお!』


 虎丸と静香達が対戦していたテーブルと反対方向の場所で歓声が沸き上がった。


「なんだ!?」


 虎丸は、歓声を聞いて、歓声が沸き上がった方のテーブルに行く。


「すげぇ、圧勝だ」


「てか、あの人誰だ?」


「わからん。ていうか、性別もわからん」


 虎丸と同じ学科の生徒達が騒いでいる。


「おい、どうしたんだ?」


 虎丸は、そのうちの一人に話しかけた。


「聞いてくれよ。あの人、圧勝したんだよ」


「あの人?」


 名前で呼ばないのか? という疑問が浮かんだが、その人の姿を見て、わかった。


 マスクとサングラスをして、手袋もしている。そして、服を重ね着して、他の人と比べると、太く見えた。


 誰だ?


 疑問に思った虎丸は、その人物に近寄る。


「おい、お前誰だ?」


 その人物は、虎丸に話しかけられて、顔を虎丸の方に向ける。


「〇▽□」


「ん?」


 何言っているか聞き取れない。外国人か?


「日本語わかるか?」


 虎丸が、もう一度聞くと、その人物は口から何かを取り出した。


「聞いているわよ」


「え、その声って」


 虎丸は、この声には聞き覚えがあった。


 いつも聞いている声だ。そういえば、姿が見えていなかった。


「ルカか?」


「そうよ」


 声の主はルカだった。

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