第36話 俺の魔法指導官?

 マホトットを、王から進呈された翌日。

 俺は今日から、魔法訓練が始まる。


 だが、その訓練は王国城内ではなく、養護施設内に有る俺の自室で有った。

 最初は、白魔法から学ぶらしいのだが……その白魔法指導官はリンで有った!


「スズヤ!」

「白魔法に関しては、私が『手取り足取り』教えて上げるから安心してね♪」


「でも、魔法以外の事は、まだ早いからね♪///」


 リンは凄く嬉しそうな表情で俺に話す。

 最後の言葉は……聞き流しておこう///


 リンは白魔法使いで有るが、指導官に為れる程の、優秀な白魔法使いだったらしい!

 だが、俺には信じがたかった。

 

 それとも、先日。

 王が言っていた白魔法使い不足で、俺に指導官を回す程の余裕が無いのだろうか?


 ……


 だが、リンは丁寧に教えてくれて、俺が分からない事を聞くと、直ぐに答えてくれる!

 アスは優秀な黒魔法使いと、王やコハルは絶賛していたが、リンも案外優秀では無いだろうか?


 数日間は白魔法学等を学び、座学が中心で有ったが、それ以降は白魔法実習訓練に入る。

 子どもたちを実習材料にする訳には行けないので、リンに針等で少しの傷を作ってもらい、俺がリンに回復魔法で有る『スイスイ』を掛けて、リンの傷を治す実習訓練を始める。


「……スイスイ!」


 俺は真面目な表情で、リンに『スイスイ』を掛ける。


『プシュ……』


 俺の広げた右手からは、青白い光が一瞬出たが直ぐに消えてしまう///

 ガス切れのライターみたいだ!///


 リンは困った微笑み表情で、俺に話し始める。


「スズヤ…。念じ方が弱いです……」

「相手の傷を治したいの、気持ちを込めてください……」


「わっ、分かった。リン……」

「じゃあ、もう一回行くね!」


 俺は、済まなそうな表情でリンに言う。

 気持ちはと込めているのにな……


「……スイスイ!」


『キラーン☆』


「…………(汗)」


 俺は真面目な表情で、再度『スイスイ』をリンに掛けると、今度は青白い光がと出た!

 でも……出ただけで有り、リンの傷は治っていない??


 このマホトット、不良品じゃ無いの!?

 リンは、冷や汗をかいた表情をしている。


 リンはその表情で、俺に話し始める。


「……スズヤ」

「まだ、スズヤのマホトットが、安定していないのでしょう……」


「そして、スズヤの魔力も、まだ効率的に発散出来る体へ成っていません!」

「さっきのは恐らく、何処かで魔力が詰まったのでしょう?」


「ゆっくり、訓練していきましょう……」

「スズヤ!」


「……」


(リンは優しい指導官だな!)

(これが何処かの軍隊で有ったなら、間違いなく鉄拳制裁だ!?)


 ……


 だが、実習訓練も数日が過ぎれば、俺は『スイスイ』や『ドヌケポン』を扱える様に成る。

 ワザと付けたリンの傷は治り、毒キノコからを抜いてキノコに成ったり(!?)と、灰属性で扱える白魔法はほぼ習得出来た。


「スズヤは意外に飲み込みが良かったので、私も楽しくスズヤに教える事が出来ました♪」

「アスちゃんも優しく教えてくれる筈ですが、しっかりと黒魔法も学んでくださいね♪」


 白魔法訓練終了後。リンは笑顔で俺に言ってくれた。

 白魔法の次は黒魔法で有る。


 魔力を拡張させる訓練は、白魔法訓練の中で覚えた。

 だが、魔力(MP)は、他の魔法使いと比べて最大7割が限界らしい。


 だが、俺が扱える魔法は、魔力消費が少ない魔法ばかりで有るから、問題ないと言えば問題ない?


 ☆


「では、スズヤさん!」

「ふつつか者ですが、よろしくお願いします///」


 黒魔法指導官は言うまでも無く、アスで有る。

 アスは困った笑顔と丁寧な言葉で、黒魔法訓練が始まる。


 黒魔法も座学から始まり、座学の後は黒魔法実習訓練が始まる。


 ……


 黒魔法実習訓練は、流石に室内とか養護施設の屋外とかでは出来ないので、俺とリンは実習の度に王国城へ通って、王国城内に有る(黒魔法)演習場で実習訓練をする。

 俺が最初に覚える黒魔法は、火球が飛び差す『ブランド』からで有った。


 演習場には、わらで作られた人形が数体配置されている。

 俺はその藁人形に目掛けて『ブランド』を唱えて、藁人形に火球を命中をさせる実習訓練を始める。


 リンは実習前に、穏やかな表情で俺に説明を始める。


「スズヤさん。座学でも教えましたが、攻撃魔法の殆どは指令誘導です!」

「魔法を唱えるだけでは無く、意志による魔法の誘導が必要です!!」


「複数の魔物が現われた時でも、特定の魔物に目指して魔法を放つ事が出来ます!」

「ですが、一度放った魔法を、自分の意志で消滅させる事は出来ません///」


「しかし、指令誘導ですので、途中で方向を変える事も出来ますが、これはかなり熟練者に成らないと難しいです///」

「今回は『C』と貼られている藁人形に目掛けて『ブランド』を唱え、火球を命中させましょう!」


(『C』の藁人形か……藁人形と対面に成る様へ体を向けて、ブランドを放てば先ず当たるだろう!)


「では、アス!」

「今から、ブランドを放ちます!!」


 俺は真面目な表情でアスに言う。

 アスは微笑みながら、俺に話し始める。


「スズヤさん!」

「最初は失敗しても構いませんからね!!」


(アスは本当に優しいな……綺麗な黒髪だし、リンよりお淑やかだし!?)


 俺はそんな事を思ってから『C』の藁人形に目掛けて、右手を広げて魔法の唱え始める。


「……ブランド!」


『ボン!』


『シュ、シュ、―――』


(『C』に向え火球!)


『シュ、シュ、―――、ボボン!!』


「わっ、凄いです。スズヤさん!」

「初攻撃で、見事命中させました!♪」


『C』の藁人形命中を見たアスは、喜びの表情をしながら俺に言っている。


(……これもリンのお陰だな)

(リンが魔法の出し方をと教えてくれたから、素直に魔法が発動して、意志の操作も戸惑うこと無く出来た……)


 白・黒魔法は、共通している部分がかなり有る。

 魔法の唱え方は同じだし、魔法を相手や仲間に向けるのも同じで有る。


 唯一の違いは魔法で相手を殺すか、魔法で相手を治すかの違いで有る。

 俺の灰属性。魔法訓練は順調に進んでいった……

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