第3話
私とお兄様の10歳の誕生日。
この日はきりの良い年齢だったからか当日に盛大なパーティが開かれた。
大勢の貴族に祝ってもらい、数人の攻略対象とも初めて直に会う。
兄同様、全員それはそれは見目麗しい少年たちだった。
この中の誰かがヒロインとタッグを組んで攻撃してくると思うとゲンナリするが…。
パーティがあったのでいつもより遅い時間に寝支度をすませたというのに、お父様とお母様に呼び出された私達は眠い目を擦りながら部屋の前の廊下に立つ。
するとうずら卵サイズの石ころを一つづつ渡された。
「10歳になれば誕生石を授かる事が出来るからね」
「これが私達の誕生石よ。貴方達も明日の朝にはその石が誕生石に変わっているからね」
それぞれの持つ箱の中にはキラキラした宝石が入っている。
お父様の箱はサファイアのような宝石が、お母様の箱はエメラルドのような宝石が納められていた。
「青は水の属性、緑は風の属性だよ。美しく宝石に近いほど魔力が強いんだ」
「稀に2色ある人もいるらしいわ。あなたたちの属性が楽しみね」
なるほど、儀式っていうからどんな物かと思ったが石を握って眠る事だったのか。
「10歳になる日しか誕生石は授かれないの?」
気になって聞いてみるとお父様が笑いながら頭を撫でつつ教えてくれた。
「10歳になる産まれ時間を過ぎてからならいつでも出来るよ。人生で一度だけだけどね。だから今夜握って眠れば変化するはずだよ」
「魔力が弱かったらどんなになるの?属性がなかったら?」
少し不安そうなセルディも尋ねる。
「魔力の素質が弱いほど輝きが弱い石になるわ。だけどあくまで素質だから今弱くても大丈夫だし宝石になっても今すでに強いわけではないのよ。属性が無く魔力だけなら透明な石になるらしいわ」
目線をセルディに合わせお母様は優しく言う。
そして
「忘れないで?万が一魔力も属性もなくただの石のままでも私達の愛情は変わること無いの。自分を知るための儀式なだけだから安心して眠りなさい」
そう私達二人に告げてくれた。
ヒロインの属性発覚のタイミングが良すぎると思ったけど、もしかしたら試しに寝る時に握らせたか、ヒロインが持ってた誕生石を見つけたのが入学前の冬だったのかもしれない。
ヒロインの持つ誕生石はカラー真珠だ。
選ぶ属性によってヒロインの髪色が決まり、髪飾りに付いている真珠も髪色と同系の属性色をうっすら帯びるのである。
(大丈夫よお兄様!お父様みたいな綺麗な青系の宝石になるわ)
不安そうなセルディに大丈夫だと私は心の中で伝える。
ゲームでのセルディは「氷の騎士」と言われ氷属性の魔法を習得していた。
水属性に近いので青系の宝石なのは間違いないだろうが言うわけにいかない。
両親も励まし希望が持てたセルディは明るく言った。
「俺、赤が好きだから炎属性だと良いな♪」
(うーーーーん…お兄様どんまいっ!)
望みがかなわないのを知る私は心の中でグッと親指を立てておいた。
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