第4話

この小さな石が宝石に変わる!

無くさないようにしっかりと握りしめ眠りについた。


なのに朝、何色に変わったのかワクワクしながら手の平を見ると無い!

どうやら寝てる間に手を開いてしまったらしい。


バッサバッサと探しているとメイドが3人入ってきた。

子供なので寝てる間に無くすのはあるあるらしくセルディも今まさに探しているそうだ。


「お嬢様!ありましたよ!」

メイドたち3人と私では見付からず、セルディの石を見付けたメイドたちとセルディ、侍女のレリーヌを加えた総勢9人で探したところなんと寝室に置いてあったキャビネットの下から出て来た。

あろうことか寝てる間に投げてたらしい…。


恥ずかしかったけどアクアマリンのような水色の宝石に凹んでいたセルディが笑ってくれたから良しとしよう。


見付けたレリーヌが大事そうに包んでいた手の平を開き宝石を渡してくれる。

煌めく青い宝石を光にかざすとキラッと黄色い筋が入っていた。

それを見たレリーヌはキャアと歓声を上げる。


「急ぎ旦那様と奥様に報告して!2属性よ!」


メイドたちもワッと歓声を上げ走っていった。


(ランダムは土属性だわ!防御系だしラッキーね!私が水属性ということはヒロインはピンクの髪の炎属性ね)


ヒロインが2属性なのでライバルのディルアーナも2属性持っている。

そしてディルアーナのメイン属性はヒロインのサブ属性選択で決まるがサブ属性はランダムなのである。

メインの相性は絶対ヒロインのサブ属性に不利な魔法なのでサブ属性が強いとプレイヤー的にはしんどい。

土属性は脅威ではないが中々倒せなくなるのでプレイヤー的には厄介な部類の属性だった。


ふと宝石から視線を部屋に戻すとセルディがまたしょんぼりと落ち込んでいる。


「お兄様、お兄様も光に翳してみてはいかが?」

「こんな薄い色だもん…翳すまでもないよ…」

そう言いつつ素直に私のように翳すセルディ可愛い。


確かにセルディの石は氷属性しかないように見える。

しかし覚える魔法の中に水魔法があったのだ。

体験版で覚えるくらいだからサブ属性だろう。


「お兄様、影をご覧になって?」

「影を…?あ!」


光を受けて白い敷物に美しい水色の影が差す。

その影は下に行くほど濃く青味がかっていた。

「濃淡がありますわ。お父様とお母様に確認してもらいましょうよ」

「うん…うんっ!」


期待に満ちた兄の手を引き両親が待つであろう食堂へと仲良く走っていった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る