第二十一章 結界と真実
第284話 復元
僕は導師にいわれて結界の柱の復元をしていた。
粘土で柱を四つ作りって鉄板の上に置いた。
そして、一つの柱に結界の柱の魔法をかけるだけになった。
僕は屋敷の屋根の上に浮かんだ。そして、屋根の上に模型を置くと柱の一つに魔法を込めた。
模型の柱は障壁を作らなかった。もし作っていたら、屋敷は物理的に分断されていただろう。
結界の柱はすでに存在している。なので、結界をそちらの伸ばす可能性があった。
僕はその柱に触ると、本物と違ってマナがなくなっていた。
結界には莫大なマナが必要なようだ。
二つ目の柱に魔法を込める。すると、二本の柱の間に結界ができた。しかし、それはすぐに消えた。
マナが不足しているようだ。
残る二本に魔法を込める。そして、鉄板にマナを流した。すると、模型の中で結界ができた。
問題は高さと地下が無制限なことだ。マナを流せばどこまでも伸びていった。
僕は結界の障壁に触った。
物理的に弾かれた。
次に魔法を試す。
これも弾かれる。
これはこれで、防御の結界にできそうだった。
やりたかった。滅殺の禁呪で柱を放った。すると、壊れて砂になった。
だが、しばらくの間は結界は存在し続ける。そして、なくなった柱を捨てて、三角の結界に変わった。
これはまずい結果だった。
結界の柱は一本ずつ壊せないからだ。一本壊せば、三角になるということは囲っている場所の中心に結界が走り分断することになる。
中央を走る結界はどこかの国を分断する。これは危険だった。
結界が走る場所は破壊される。そして、通れない壁で二分される。
柱を作り直して置いたが変わりがない。魔法を込めると、四角い結界ができた。しかし、それは中央を横切る結界は変わらない。
中途半端に壊したため、四角い世界も半分にしたようだ。
実験の結果は不満なものになった。
壊すのなら、二本同時に壊さないとならなくなった。
導師にこの模型を渡す前に、滅殺と崩壊での破壊を比べた。
崩壊では機能が消せないようだ。滅殺で柱を崩さないとならないようだ。
機能の停止はマナが尽きないととまらないようだ。僕には機能だけを壊す方法は思いつかなかった。
滅殺での二本の柱を同時破壊。または機能停止。
難易度は高かった。
僕は結果を紙に書いて模型と共の渡した。
「シオン。今日は実験に付き合ってもらう。午後はなしだ」
昼食の席で導師はいった。
僕はカリーヌの家に行って休みたかった。
「そこまで、あからさまに嫌がるなよ。遊びたいのはわかった。その代り、槍の練習はなしだ」
導師にしては聞き分けがよかった。
「本当によく顔に出るな」
導師はあきれていた。
僕は顔に出した覚えはない。だが、七歳では隠せないのかもしれない。
久しぶりというか、四日ぶりにカリーヌの家に行った。
今回はメイドだけに迎えられた。
メイドに案内されて、ガーデンルームに入った。
「よう。早かったな」
アルノルトはいった。
「ええ。早くに調査が終わりました」
「それって、大したことのない遺跡なの?」
レティシアはいった。
「いえ。結界は探査魔法と魔道具では理解できませんでした。なので、機能を複製して持ち帰りました」
「はい?」
レティシアはなにをいっているかわからないようだ。
「僕は魔道具の機能を魔法として再現できます。なので、結界の機能を複製して持ち帰りました。今は導師が解析していると思います」
「うん。シオンは自分のいっていることを理解して」
レティシアに目を細めて見られた。
「僕が最初に覚えたのは水道の魔道具です。ですから、できるのです」
「うん。ふつうはできないから」
レティシアの声は低くなった。
「そうですか? 魔力とマナの流れをみればわかりますよ」
「いい加減、そのでたらめさを理解しようね」
レティシアは額に青筋を作っていた。
「それで、危険はなかったの?」
カリーヌにきかれた。
「ええ。導師の探知魔法を感じると逃げていきましたね。一度も戦闘はしなかったです」
「そう。なら、よかった」
カリーヌは安心したのかほほ笑んだ。
僕も思わずほほ笑み返した。
「土産話はないのか?」
エトヴィンはいった。
「これといって、ないですね。歩き疲れて、宙に浮かんでいた記憶しかありません。それに、二泊三日でキャンプをしてきただけですから」
「冒険者のご飯はまずいとかなかったのか?」
「なかったですね。荒々しい料理でしたが、おいしかったですよ。野菜と肉のごった煮ですが」
「冒険者の話は面白いのだが、本とは違うのか?」
「魔獣にあっても、導師の探知魔法を感じると逃げていきました。おかげで、戦闘はなかったです」
「道が続いていなくって危険だったとかないのか?」
「森の中をひたすら草を分けて進むだけです。僕は途中でへたばったので、宙に浮かんで運んでもらいました」
「歩くのより、宙に浮かぶ方が楽なのか?」
エトヴィンには理解ができないようだ。
「ええ。僕は楽ですね。歩きすぎて足を痛めましたから」
「魔獣や崖などの危険に会わずに帰ってきたということか?」
「ええ。リーダーのクンツさんは、あまりにも簡単に終わったので、首をかしげていました」
「なんか、
アルノルトはいった。
「現実はそんなものなのでしょう? 魔獣と戦うのは盛り上げるためと思います」
「そうか? ふつうは戦うと聞く。そのための強さがいると聞いている」
エトヴィンはいった。
「そういわれても、森の中を草をかき分けて歩いていただけです。冒険らしくありませんでしたね」
「まあ、シオンにケガがなくてよかったわ」
カリーヌはいった。
「そうね。また手をなくしたら、困るわね。トランプで遊びづらいもの」
レティシアはいった。
「今回の冒険はそれなりの冒険でしかなかったようです。三日で終わりましたから」
僕は苦笑いを作った。
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