第9話 宿命の敵

入ってきた男は木刀を片手に派手な柄の赤シャツにそれだけで武器になりそうな重くて黒いドラゴンジャケットを羽織り同じドラゴン皮製の黒長ズボンをはいていた。

「おやおやおやー薬中の元汚職刑事もいらっしゃるじゃないですかぁ」

それなりに整った顔を下品に歪めニャリと笑った。

男の背後には中肉中背のメタボな男と一目で悪いヤツとわかる人相の凶暴そうな男がいた。

「この野郎」

俺の脳内がガンガンと痛くなり始める。

メタボな男がサッと目の前に立ちふさがった。

「控えろぅ! 下僕が! このお方は3代目 エスペラント連合の会長のご子息ルイ・エスペラント様であらせられるぞ」

男は……ルイ・エスペラントは下品に股間に手を伸ばしかきむしりながらこう宣言した。

「おい、河童野郎ここは今日から俺たちのシマだ」

「なっ……なっ」

あまりの事にどもるマクベル。

「あがりは2と8わかるよな!ええ?」

股間から手を抜く、チン毛が2、3本指の間に挟まっている

「こっ……こっ……ここはルド・ジンギさんのシマなんだぞそんな勝手な事が許されるとでも!」

「じゃあかましぃ! ワイ! これからここいら一帯の裏稼業は俺たちのエスペラント連合がしきることになったからな。あとよその組には武器、クスリの類いを一切売らないこと戦争になったときは無償で武器の提供をすることいいな?」

「横暴だ! こんなの酷すぎる!」

マクべルが頭を抱える。

「おい、それは黙っちゃぁいられねぇな」

俺が横槍をいれてやる。

「おやぁ! これは刑事さん、いや元汚職刑事といったところか」

パナマ帽をとり、頭をかきむしった。

「おら、バッチの無くなったテメェなんか怖くわねぇょすっこんでな」

ドラゴンジャケットの胸ポケットから赤髪をポニーテールにした女の小人がひょっこりと出てきてカラカラと笑い声をあげる。

この男の愛しい人(ヒト)と言ったところか。

「ルド・ジンギ親分が黙っちゃいねぇぞ!」

ドスを効かせた声で押して参る。

「チョリソーアイスはうめぇか?」

汗がたらーっとにじむ。

「クソッタレのジャンキーがよ、今の俺に怖いものなんてありゃしねぇんだ! オラッそこのけ!」

バァンと木刀でカウンターを叩くと、乱暴にドアを押し開け出ていった。

「サバノさん! 」

河童野郎の声で我にかえった。

「まさか…………サバノさんが薬中になったのって」

「言うな…………言わないでくれ!」

俺は叫びながら女の子の様な声で泣いた。



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