第7話 愛人宅にて……

「おお、勇者様よ…………ついに少女にまで手を出したの?」

あいつとの出会いは最悪だった。

「ちょ、待てってそんなんじゃないから」

「もういい訳は聞きあきた」

「あんたこの前に売女どもを侍らせてドンチャン騒ぎしていたのをもう忘れたわけ」

「あの時はチョリソーアイスをキメててちょっと羽目を外しすぎてた」

「信じられない」

「この子はジンギに護衛を頼まれてて……」

プイッと顔を背けるジャーロ。俺の愛する女だ。

「な、なぁ……頼むよ君からも言ってくれないか」

ズイと出てくるレイナ。

「この人の言ってる事は本当です、ルド・ジンギさんからの書状も預かっています」

長く伸ばした赤毛のサイドを三つ編みにした俺の愛人ひとは水底車(注 大体風呂桶位の陶器の噐に車輪を付けた物でこれがないと人魚は陸上での活動ができない)をキコキコと押しながら、少女の前まで進み書状を受け取った。

「あの確かにあのスケベジジイの字ね」

蝋の烙印の押された手紙をパラリと広げた。

「信じてあげる、だけどねこの人を信じちゃあダメよ勇者様なんていうにはあまりにも無様で格好の悪い女たらしなんだから……貴女もそのうちに」

手で狼を作りシャーっと唸った。

「だからさぁ……本当にそんなんじゃ無いんだってば。あと3日3晩お前のアパートを借りるぞ。フェノミナ公国の貴族の娘様を護衛するんだこのアパートを要塞化させてやるこの娘とマルを頼んだぞ」

俺はアパートを出た。

ジヤーロが背後で何かぶつくさ言っていたが聞き逃した。

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