第5話 身体検査

俺は声を潜めてジンギに聞いた。

「そんなにヤバい娘なのか」

「ああ、言ってしまえばマスバルク市国の中でも1番ヤバい娘かもしれんな」

「じゃあ。ジャーロの所にでも連れていった方がいいだろうか?」

「ああ、あと持っているチョリソーアイスをだしな」

ジンギにチョリソーアイスを3つ渡す。

「本当にそれだけ?」

「ああ、本当さ」

股間をむんずと握った後、ポケットを漁り部屋中を探し始めた。まるでガキの隠したエロ本を探すヒステリックな母親の様にだ。

マットレスの下まで調べたあとやっとのことでOKがでた。

本当にがさつで失礼なヤツだ、だがこの娘は本当に重要な娘なのだろう。

そして、分厚い封筒を手渡してきた。

「ここに10万バルク紙幣が入っている、これは前金だこの娘を守るために使ってくれや、そんなら俺は用事があるから失礼するわ……レイナちゃん、またな、このおじさんが守ってくれるからな」

似合わない笑顔を浮かべたまま流浪の民の王ルド・ジンギは立ち去っていった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る