第4話少女
お馴染みの鬼瓦顔で大柄なメタボ腹のルド・ジンギが今にも折れそうな細い小柄な眼鏡少女を連れていた。
「この子か?」
「ああ、そうだ」
ドスのきいた野太い声でルド・ジンギが言った。
少女の姿を一瞥する。緑のロングスカートに白いブラウスといった地味な格好黒い長い髪を三つ編みにしていた。そして、不釣り合いなでかくて重そうで鍵の付いたトランクケースを持っていた
160センチのルド・ジンギよりも少しだけ背が高かった個人的な意見だが本屋兼カフェで難しい文庫本を広げてコーヒーをすすってそうなそんな地味で目立たない少女だった。
「こいつが俺の舎弟で君を守る勇者様のサバノ・ジュライだ。で、この子はレイナ・クローバー、フェノミナ公国の貴族の娘ということになっている」
フェノミナ公国……ドラコニア公の治める永久中立国……そして、犯罪者たちの最後の楽園……貴族の娘=偽の戸籍ということになっている。この娘にそんな価値があるということなのか。
「よろしく、サバノ・ジュライだ」
「はい、よろしく……お願いいたします」
ペコリと頭を下げた。
「見慣れない物が多いだろうがあんまり取り乱したりしないように気い付けてな」
ポンと人をぶん殴り慣れた大きな手を少女の肩に手を乗せた。
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