7. 異世界ほのぼの日記3 256~260


-256 対照的な親子-


 元の世界にいた頃からの長年に至る親子喧嘩が故にまさか優しい国王達や神々が守るこの世界を奪い取ろうというとんでもない事を言い出した義弘、勿論そんな事許される訳が無い、いや許す訳が無い、誰もが許さない。

 結愛は必死だった、この世界に来てから自分のありのままを受け入れてくれた住民(なかま)達に感謝していたからだ。勿論守を含めた元の世界からの転生者達にも、だから失いたくないという気持ちがとても大きかった。


結愛「義弘、西野町高校(元の世界での貝塚学園)の時からお前の自己中心的な考えが許せなかったんだよ。何でも金で解決しようとしやがって、金より大切な物があるって何で気付かないんだよ。お前と違って俺には分かるんだ、ここには金では決して買えない大切な物が山ほど転がってる。それをお前なんかに奪わせねぇ!!かかって来やがれ!!」

義弘「ほう、私が牢獄に閉じ込められていた間に馬鹿娘がほざく様になったな。私の実力というものを分かっていない様だ、遠慮なく行かせて貰おうじゃないか!!」


 義弘が再び両手を空に向かって挙げると新たに黒球が出現した、よく見ると先程の物よりもとても大きくなっている上に1人しかいないはずなのに何故か5つも出現しているではないか。ハイラやハラルとやり合った時に本気を出していなかった事は一目瞭然だとしてどうして5つも出現しているのだろうか。


好美「守・・・、あれを見て!!」


 好美が指差した方向を見てみると義弘の後方で4体のティアマットが同じ黒球を出現させていた、いくら結愛が強力なネクロマンサーだと言ってもこれでは太刀打ち出来そうにないが社長自身は必死になって自分が出せる最大威力の黒球を出現させた。


義弘「ハハハハハ・・・、馬鹿め!!大きいのは良いがたった1つでは無いか!!そんな物で私を倒そうとでも?!おふざけはやめておけ!!」


 高笑いする義弘の後方を再び見てみるとティアマット達が泣いている様に見えた、どう考えても自分達の意志で戦っている様には見えない。


ティアマット「助けてくれ・・・、俺達はこんな事を望んでいない!!」


 どうやらヌラルと同様に義弘に捕まっている混沌龍達の様だ、自分達の意志では無いと言うのならどうしてやめようとしないのだろうか。


義弘「無駄な足掻きはよせ、お前たちは今私に操られているのだ!!さぁ、世界を奪う手伝いをして貰おうじゃないか!!」

守「いい加減にしろ、くそ野郎が!!」


 女手一つで自らを育ててくれた母親の事を侮辱した事を何よりも許せなかった守は勿論結愛に協力すると決めていた、しかし黒球なんて自分に出せるだろうか・・・。

 そんな中、冷静さを取り戻していた好美が別の方法を取ったので義弘側の黒球が減少した。どうやらティアマット達に『状態異常無効』を『付与』して義弘による操り人形状態から解放した様だ。


ティアマット「ありがとう、何処の誰かは知らないが助かったよ。宜しければ私達も結愛さんに協力しても良いかな。」

義弘「馬鹿め、そんな事を言うなら馬鹿娘の前に全員殺してやる!!」


 義弘は空中に浮かべていた黒球をティアマット達の方へと向けた、すると強制収容所の方から女性の叫び声が。


女性「やめろーーーーーーー!!」


 勿論声の正体は捜査に協力して黒龍族の名誉を回復すると誓ったヌラル・ブラッディ本人だった、ヌラルは息を切らしながら結愛の隣へとやって来て同じように黒球を出現させた。どうやら本人にはただ事では無い事情がある様で・・・。


結愛「ヌラル!!どうして出て来たんだ!!皆と中にいろ!!」

ヌラル「黙って見てろってか!!あそこにいるのは俺の母親なんだぞ!!」


 そう、義弘が殺そうとしていた混沌龍達の中にヌラルの母親・バハラがいたのだ。そりゃあ誰だって黙って見ている訳にもいかないと思ってしまう。


バハラ「ヌラル!!馬鹿な事を考えるんじゃ無いよ!!母ちゃんの事は良いから中に戻りなさい!!あんたには生きていて欲しいの、だから安全な所に逃げて!!」

ヌラル「嫌に決まってんだろ!!父ちゃんに続いて母ちゃんまで失うなんて俺は絶対嫌だね、母ちゃんは俺と一緒に帰りたくねぇのか?!平和な世界を見たくねぇのか?!」


-257 責任者-


 何よりも大切にする仲間や母親を侮辱された結愛や母親達を目の前で殺されようとしているヌラルは本気で目の前の「くそ親父」の事が許せなかった、その怒りの度量を表す様に2人が義弘に向けていた黒球は巨大化していった。


結愛「お前以上に親として接してくれたおば様や守達を侮辱したくそ親父を許せねぇ。」

ヌラル「俺はこれ以上仲間を失いたくねぇ、散々騙しやがった罪をあの世で償いやがれ!!」

2人「くらえ・・・、『黒球(ブラッディ・ボウル)』!!」


 ほぼそのままだな、と言うかそんな名前の魔法(能力)だったんだ・・・。初めて知ったわ・・・、ゴホン・・・。

 結愛達は力一杯巨大化させた黒球改め『黒球(ブラッディ・ボウル)』を義弘に向けて放出した(改める必要無かったかも知れない)、ただ義弘への距離が離れすぎていたせいか死刑囚は身に纏っていたマントを翻して大空へと向かってはじき返してしまった。


義弘「ハハハ・・・、馬鹿娘め!!お前はいつもそうだったな、「あと一歩」という所で全てが無に帰す事が多かったじゃないか!!そんなお前に私が倒せると、ほざくのも大概にしろ!!」


 しかしそこは義弘から貝塚財閥の全権を奪取した結愛、補強は抜かりなかった。


結愛「ほう・・・、この俺がそう見えるか?」

義弘「はぁ?!何を言う?!現にお前達の『黒球』は大空へと飛んで行ったではないか!!」


 義弘が少したじろぐのを確認した結愛はヌラルに合図して左右へと大きくジャンプした、すると2人の向こう側には新たな『黒球』が3つ。


ハラル「義弘!!今でも反省しているよ、お前に魔術を教えた事をな!!」

ハイラ「私の大切な職場を悲惨な姿にした罪、許すまじ!!」

光明「俺の愛する妻を・・・、大好きな結・・・。」


 え、何て?


結愛「お前な、そこ躊躇う所かよ!!」


 まぁ、あんたらはいつもいがみ合ってばかりだからな。でも普段なかなか言えない事を言うのって勇気がいるもんだぞ、優しく見守ってやれよ。


光明「会社の事を含めて喧嘩してばかりだけど本当は大好きな・・・、心から愛している結愛を・・・、失いたくねぇんだよ・・・!!」

義弘「ほほぅ、死の間際が迫っているから私の馬鹿娘を口説いていると?幸せな生活はあの世で送るつもりか?あの世にある産婦人科の予約は早くしておけよ。」


 光明の物を含めて今回の魔法は巨大な物の様だ、どうやらハラルとハイラは全力をだしていた「フリ」をしていたらしい。これも抜かりない結愛の策なのだろうか。


3人「くそ野郎が・・・、これでとどめだ・・・、『黒球』!!」


 3人により新たに放たれた『黒球』を義弘は避ける事が出来なかった様だが、もう1つ威力が足らなかった様で。


義弘「ハハハ・・・、お前たちの思いなど所詮これ程のも・・・。」


 すると遥か彼方の大空から神聖なる声が・・・!!


声「『黒壁(ブラッディ・ウォール)』!!」


 全員が放った『黒球』とは比べ物にならない位の勢いで同色の壁状の光が義弘を襲った、流石の大賢者でもこの攻撃防ぎきれなかったとの事で。


義弘「誰・・・、だ・・・。」


 顔や衣服をボロボロにした義弘の前に聖なる光を放ちながら4人の女性とその父親が降りて来た、その正体は勿論・・・。


クォーツ「貝塚義弘、俺達の存在を忘れていないか?」

エリュー「神々の御前で偉く好き勝手してくれたじゃねぇか。」

セリー「わ・・・、私は・・・、ただ呼び出されただけですわ。」

トゥーチ「俺は・・・、尊敬する人が危ない様に見えたから来ただけで・・・。」

ビクター「兎に角、お前という愚か者をこの世界にやってしまった責任を取らねばな。」


-258 2組の父娘(おやこ)-


 何となくセリーの一言が気になって仕方ないが今は気にしないでおくのが身のためだろうか、これは飽くまで推測だが後ほどビクター辺りがキツイお説教を喰らいそうな、そうでもなさそうな・・・。

 こんな始まり方も偶には良いかと思うが一先ず話を進めるとしよう、5柱の神々によるレベル違いの強大な魔力攻撃により義弘はその場で倒れ込んでしまった。神々が近づくと死刑囚は口から血を出していたが辛うじて生きてはいた様だ、「死刑囚」として刑が執行されるその時まで生きて罪を償う様にと言う気持ちが込められているのだろうか。


義弘「くそぅ・・・、こうなるなら一思いにやっちまってくれても良いじゃねぇか・・・。天界って場所を早く見てみたかったからよ、こんな場所はもう懲り懲りだぜ。」


 義弘が死んだ時点でただただ死刑の執行が早まっただけだよなと考えたくもなるが、神々にもそれなりの考えがあるらしい。


ビクター「馬鹿野郎、お前の様な悪者を天界が受け入れる訳が無かろうが。元の世界での物を含めてお前の悪行は極めて遺憾だ、全ての罪を償ってから死ぬ事を誓うならそれなりに考えるがお前は余りにも罪を犯し過ぎているので・・・。」

義弘「ふっ・・・、「天界」若しくは「地獄」行きは「保留」ってか・・・。ふっ・・・。」

ハイラ「貝塚義弘、脱獄、及び無許可での戦闘行為の現行犯で逮捕する!!」


 実は警視であったハイラにより再び手錠をかけられ再び魔力を失った時どうして2度も笑ったのかは分からなかったがこれからの人生を賭けて全ての罪を償うと誓った様に見えた義弘、しかし自身の脳内にこびりついて決して離れようとしない記憶により結愛は父親の表情を信用できなかった。


義弘「結愛・・・、決して許してくれと言わないがすまなかった・・・、良かったら海斗にも伝えておいてくれないか・・・。」


 神々の魔力は人間の心まで変えてしまう程強力な物だったのだろうか、それとももうあの様な魔力攻撃を受けるのは懲り懲りだと感じて(一応)反省したという事なのだろうか。


結愛「馬鹿野郎・・・、気が向いたらな・・・。」


 義弘に背を向けてその場からクールに去ろうとした結愛がボソッと「今度兄貴を連れて会いに来てやるからさっきの言葉は自分で言え」と言いながら少し微笑んだ様な気がするが気にしないでおいた好美、そんな中で守の心中では未だにこの疑問が浮かんでいた。


守「それにしても「誰が」「何の為に」義弘の脱獄に加担したんだろう、わざわざ黒龍族まで巻き込んでまで何がしたかったんだろう。」


 牢獄で捜査を行っていた時からずっと浮かんでいた疑問、しかしその疑問は救護班のいる方向から聞こえて来た声によって呆気なかったかの様に解決(?)した様だ。


声「君を呼び出す為だよ、宝田 守君。」


 非常に聞き覚えのある男性の声、確かこの世界に来る直前に聞いた様な・・・。


守「まさか、そこにいるのは。」

男性「そうだよ、真帆の父親の森田亮吾だ。」


 お馴染みの白衣に聴診器と言った姿で2人の前に近付いて来た亮吾は決して笑ってはいなかった、守が何をしたと言うのだ。


好美「叔父さん!!」

亮吾「やぁ、好美ちゃんも久しぶりだな。でも今は守君と話しても良いかい?」


 ただならぬ雰囲気を感じ取った好美は周囲を見回した後、自分に何かできることは無いかと声をかけながら救護班の所へと向かって行った。そこでは既にハラルや結愛達により負傷者への救護作業が進められていた。


亮吾「さて、どうして僕が義弘の脱獄を手伝ってまで君を呼び出したかが分かるかい?」

守「真帆の事ですか・・・?」

亮吾「ああ、私の娘を誑かしたままで同時に死んだ癖に転生した先で好美ちゃんと同棲しているだなんて素直に許すとでも思ったのかい?」


 どうやら亮吾は娘を持つ1人の父親として娘の元恋人に一言物申したかった様だ、ただ何となく勘違いをしている様な気がするのだがまさかこれも俺だけだろうか。


亮吾「えっ、そうなんですか?!・・・って、あんた誰だよ!!」


-259 社長の事情-


 突然聞こえて来た俺の声に驚きつつも冷静さを保っていた亮吾は自分がどういった「勘違い」をしていたのかが気になって仕方が無かった、ただやはり医師としてこちらの世界で働いている者として如何なる場合でも焦ってはいけないと肝に銘じていた様だ。


亮吾「それで?この声は何処から聞こえているんだよ、誰なんだよ一体。」


 今は一応マイクのスイッチを切っているが確かに姿が見えない俺の声だけが聞こえているのは本当に不自然な事だ、ただここは何でもありの異世界だからこう言った現象が起こってもおかしくは無いという事を誰かに教えて貰えると助かるのだが。例えば結愛とか結愛とか結愛とか・・・。


結愛「何で俺なんだよ!!他にもいっぱい転生者がいるだろうが!!」


 あれ、聞こえてた(※実はマイクをわざとオンにしていました)?いや・・・、一番キャラが濃いのがお前だからさ。


結愛「関係ねぇだろうが、そもそも俺をこんなキャラにしたのはお前だろうが!!」


 何だよ、気に入ってねぇのかよ・・・。じゃあ久々に高校時代みたいな恰好するか(※詳しくは夜勤族の妄想物語2. 「最強になるために」をご参照ください)?


結愛「あんなの着るなら死んだ方がマシだよ(もう死んでます)、と言うか過去の話を参照さすな!!」


 それが嫌なら亮吾に解説するんだな、分かりやすく丁寧にだぞ。


結愛「分かったよ・・・。実はですね、つい数年前からなんですが皆に今みたいな声が聞こえる様になったんですよ、ただ横からごちゃごちゃ言ってくるだけで別に何もしては来ないのでお気になさらないで下さい。」


 これはこれは、わざわざ「大人モード」で有難うございます。


結愛「お前が「丁寧に」って言ったんだろうが!!もう良いから早く話を進めろって。」


 うーむ・・・、正直人に指図されるのはあんまり好きじゃ無いんだが仕方ないか。

 亮吾がしている「勘違い」に関しては1番状況を知っているビクターに解説してもらうのが最善だと思ってしまうが流石に神に頼みごとなんて誰もが出来る訳無いと頭を悩ませていた、ただくこの世界に亮吾を送り込んだのは他の誰でもないビクターなのでその責任を取るべきだと思ってしまう。


結愛「相手は神なんだから流石に無理だろ、賽銭として沢山の札束を積んで奉納したとしてもそんな図々しい事聞いて貰えるとは思えねぇぞ。」


 ほう、「お賽銭」ですか。因みに今ならおいくらまで出せるんですかね。


結愛「金な・・・、普段あんまり持ち歩かないからな・・・。」


 そんな事言って実は結構お持ちなんでしょ?

 結愛は懐から小さな財布を取り出して中身を確認した、中には札は1枚も入っていなかった上に小銭入れから「チャリーン」と小さな音を立てながら100円玉が3枚落ちて来ただけだった。・・・って、本当に持ってねぇじゃん。しかも300円って、小学生の遠足のおやつ代か。バナナ買ったらほぼなくなるじゃねぇか。


結愛「馬鹿か、「バナナはおやつに入らねぇ」はずだぜ(皆さんはどう思いますか)?」


 ただ結愛は忘れていた、先程実はこの世界での実は禁じ手の1つとされている『黒球』が使えたくらいなのでもう既に相当な魔力が残っているから『アイテムボックス』が使える様になっている事を。


結愛「いや、誰が『アイテムボックス』に札束を入れているだなんて言ったんだよ。」


 光明さん、奥さんが自白しましたよ。どうやら相当な「へそくり」があるみたいです。


光明「結愛・・・、何年か前から財閥全体の収支が合わないと思ったんだよな。やっぱりお前が個人的にちょこちょこ抜いていたのか!!」


 これはこれは「前言撤回」の空気か、俺も逃げておこう・・・。


結愛「光明まで!!俺はへそくりなんて全くしてねぇぞコラ!!」


-260 下らない原因と判決-


 結愛のまさかと言える程の財布事情が露呈した事により蔑ろになっていた亮吾が犯してしまった「勘違い」についての解説をそろそろ行いたいのだが一先ず結愛がへそくりをしているのかどうかが気になってしまう一同、本当にしてないのか?実は結構な金額を隠しているんじゃ無いんか、え?


結愛「しつけぇぞ、うちはお小遣い制なんだから出来る訳無いだろ!!」


 そう言うのって普通銀行口座の管理をしている奥さんが旦那さんに設ける物だと思うのだが貝塚家では逆なのか?旦那さん、宜しくお願い致します。


結愛「おい、どうして光明だけにはそんなに丁寧なんだよ。」


 いや、一応胡麻擦っとこうかなと思ってさ。


結愛「俺には必要ねぇのかよ、アイツは副社長で俺が社長なんだぞ!!」


 そんなにアピールしなくても分かってるわい!!そんなに意地を張る事ねぇじゃんか、悪かったよ・・・。


結愛「分かりゃ良いんだよ、ふふん。」


 一先ず社長さんが上機嫌な内にお聞きさせて頂きましょうかね、貝塚家はお小遣い制なんですか?


光明「一応節約に節約を重ねているからね、2人共お小遣い制なんだよ。」


 意外だったな、社長さんっていっぱいお金を使いまくっているイメージがあるけどそうでも無いんだな。しっかりしてるな・・・、何かすんません。


結愛「俺達の事は良いんだよ、いい加減亮吾さんの「勘違い」について話せよな。」

ビクター「貝塚結愛、それに関しては私から話そう。」


 あらま、「全知全能の神」自らですか。ありがとうございます。


ビクター「いや、お前が指名して来たんじゃねぇかよ。空気的に俺がやらなきゃいけなくしたのは誰だよ。」


 あらま、聞こえてらしたんですか。何かすんません。


ビクター「ゴホン・・・、どうやら作者も一応反省しているみたいだから私から解説しよう。森田亮吾、まずお前が勘違いをした原因だが私の話をろくに聞かずに私の下を離れた事にある。私から「この世界には宝田 守がいる、王城の救護班所属医師として働いていれば会えるだろう」と聞いた瞬間に何処かへ行ってしまったじゃないか。あの話には続きがあったんだぞ、それなのにお前って奴は・・・。」

亮吾「神様、それは申し訳ありません。」

ビクター「お前はダンラルタ王国で倉下好美との卒業旅行を楽しんでいる守を見て守が「真帆を捨てて」好美とよりを戻したと勘違いしていた、そうではないのか?」

亮吾「確かにそう思っていました、2人はほぼ同時に死んだというのにどうして一緒にいないんだと不思議に思ってもいました。」


 ビクターの前に跪いて自分の過ちを深く反省する亮吾、飽くまで第三者である俺の目線からは義弘の脱獄を誘発した様には見えない。


ビクター「あのな、人の話はちゃんと聞くもんだぞ。お前の娘の真帆はこことは別の世界に飛ばされてもう既に子がいると伝えようとしたのに言いそびれてしまったではないか、どちらかと言うと言い方が悪いが「真帆の心が先に別の奴に移ってしまった」と言わなければならなかったのにお前という奴は・・・。まぁ、見ての通り反省しているみたいだし黒龍族から名誉回復の相談を受けただけみたいだからこやつの事を私は許そうと思うのだがリンガルス君はどう思う?」

ハラル「私の名前を・・・、ありがとうございます。そうですね、恐れ入りますが神の仰る通りとは思うのですけど本人にはガーガイ・ヴァントを大学から連れ去った疑いがまだあります。まだ無罪放免と断定はしづらいのですが・・・。」

亮吾「警部さん、俺は連れ去り事件なんて知りませんよ。」

ハラル「何を言っているんだ、お前は貝塚学園からガーガイ・ヴァントを連れ去ったのでは無いのか!!ガーガイさん、貴女を学園から連れ去ったのはこの人ですか?」

ガーガイ「この人じゃないですよ、見た感じ50代のおっさんでしたから!!「ここでは経験できない凄い事をしてやる、それと自分は元株主だから貝塚財閥への入社を有利にしてやる」と言って俺を連れ去ったのはこの人ではありません!!」

ハラル「という事は・・・、森田亮吾先生、誠に申し訳ございません!!」

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