7. 異世界ほのぼの日記3 201~205
-201 脱獄事件後の収容所-
覆面パトカーに乗っているにも関わらず和気藹々とした雰囲気で一行はダンラルタ王国の端にある小さな村へと到着した、村の入り口に到着してすぐに大企業の代表取締役社長は大きくため息をついた。
結愛「はぁ・・・、またここに戻って来る事になるとはな・・・。」
ネクロマンサーの心中を察してだとは思われるが起こってしまった事態が相当な物なのでそれなりに社長を宥めようとする入学センター長、その様子を見た恋人達は普段から目の前の警部がどれだけ信用されているかを何となくだが与する事が出来た気がした。
リンガルス「社長、今からそんなに大きなため息をついてどうするんですか。貴女は決して悪い人間ではないでしょ?この3国に住んでいる住民の方々の為に全力を尽くそうとしてらっしゃるんですからご自分の事を誇りに思って下さいよ、今結愛さんがやろうとしてる事は結愛さんにしか出来ない事なんですから。」
少しでも聞きやすい様に敢えて社長の事を様々な言葉で表す警部、きっと「結愛さん」と名前で呼んだのも警部なりの優しさが故だと捉えることが出来る。それが功をなしたのか結愛は今までキチっと着こなしていたパンツスーツをほんの少し崩した、これはきっと夫の光明でさえ出来なかった事だと思われたがこれはこれで良いのだろうか。
結愛「そうだよな・・・、いくらあのくそ親父と言ってもやっぱり俺の父親だもんな。娘の俺が何とかしなきゃいけないか・・・、兄貴は頼りにならねぇしな・・・。」
結愛の目線から見た海斗の存在って一体・・・、まさかと思うがただのシスコンか?
守「今更何を言わせるんだよ、海斗のシスコンは「あの時」からずっと変わってねぇだろ?」
好美「話を聞く限りで大分結愛がお兄さんに愛されているのが分かるけど流石にドン引きしちゃうわ。」
ハッキリ言って今はましな方だと思われる、下手したら叔母の美玖が施設長を勤める魔獣保護養育施設を抜け出して会いに来かねなかったのだ。今まで通りの平穏が保たれていたのは美玖のお陰と言っても過言では無い、結愛は心の中で叔母に感謝しながらも父親の新たな暴走を止める為に友人や警部と共に村の住民の厚意により用意されたボートへと乗り込んだ。収容所のある孤島へは村の村長が自らボートを操縦していた。
村長「最近この辺りも気温がずっと高いので、実は干潮になってしまう時間帯が以前に比べて長くなってしまっているんですよ。下手すれば水が全て干上がって強制収容所と村が繋がってしまうのではないかと危惧する住民もいないわけではありません、最も近い村の為にも今回の件の解決を宜しくお願い致します。」
村長が藁にも縋る思いで4人に頭を下げる中、ボートは孤島へと到着した。前回と同様に結愛が話を通していたからか、予め海岸では数人の係員が待ち構えていた。その内の1人に結愛は見覚えがあった様だ。
結愛「お久し振りです、お元気でしたか?」
係員「貝塚社長、お久しぶりです。またお会いできるとは思っていませんでした。」
結愛「今回も私のくそ・・・、いや父親がご迷惑をおかけして申し訳ありません。」
おい結愛、一瞬本性が出かけてたぞ。こんな所で「くそ親父」なんて言ってんじゃねぇ、貝塚財閥のイメージがダウンしてしまうだろうが。
係員「社長、今のは何だったんですか?それに「くそ」って聞こえましたけど。」
結愛「き、気にしないで下さい!!それよりお願いしていた件はどうなっていますか?」
慌てた様子で俺の存在を無かったかのようにしようとする結愛、後で覚えてろよと言いたいが今はやめておくのが得策だろうか。
係員「はぁ・・・、取り敢えず所長に話を通してありますのでお会いして頂こうと思います。連絡を致しますので少々お待ち頂けますか?」
係員は懐からインカムを取り出して上司に声をかけた、敢えて『念話』を使わないのはきっと魔力の強い受刑者もいるので情報を知られないようにする為の対策なのだろう。
係員「所長から了承を得ましたのでご案内致します、私とご一緒にお越しください。」
一行は係員の後について強制収容所内へと入っていった、中は少し前に脱獄事件があったとは思えない位に静かだったが以前来た事がある結愛には少し違和感があった。
結愛「何となくジメジメしてんな、上着を1枚脱ぐか・・・。」
-202 複雑な兄弟-
強制収容所の中を歩み進めていくのと比例して守や結愛、リンガルス警部、そして4人を迎え入れた係員は緊張感が高まった顔をしていた。ただそれと反する様に好美はずっと冷静を保ち表情を全く変える様子が無かったのでそこにいる全員が不思議で仕方が無かった、何か後ろ盾でもあるのだろうか。
守「好美・・・、好美?」
好美「・・・。」
好美はずっと無言で表情を変えないままでいた、周囲から見れば気味が悪いと言われんばかりに。
結愛「少し待ってろ、きっと『念話』でも使って重要な手がかりでも聞き出そうとしているんだろう。ハッキリ言って羨ましいったらありゃしないぜ。」
この事件の解決と自らの能力の復活を願わんばかりの結愛、今はどんなに小さい事柄でも見逃す訳にもいかない。
それから数秒後、好美は無言のまま表情を変えていた。どうやら結愛の言った通り『念話』を行っていた様だ、『進入阻害』を使っていた為か分からないが誰と話していたのかをそこにいた皆が分からないでいた。
それから所長室に到着するまでの間を利用して大企業の社長は先程から感じていた違和感について尋ねてみる事にした、きっと結愛以外の者も同じ気持ちでいただろう。
結愛「あの・・・、何となくなんですけど湿度が高くなっていませんか?」
係員「やはり感じますか、実は最近施設内の監視カメラの委託業者を変えたと聞いたんですが詳しくは教えて貰えていなんですよ。ただ所長は「評判の良い方々だから」とその業者の方々と会わせてくれないんです、副所長にも会わせていない様ですので平の私達がこれ以上付け入る訳にいかないと思ってそっとしておく事にしているのですが・・・。」
そうこうしている内に一行は所長室の前に到着したので係員は木製の扉を優しくノックした、しかし中からは反応は一切無かった。
係員「所長?先程申し上げた通り貝塚社長御一行が来られたのでお連れ致しました、ご不在ですか?」
やはり中からの反応は無い、係員が調べてみると扉の鍵は掛かっていなかった様なので室内で待っていようとしたがそれを横から止める男性の声がした。
男性「ヂラークさん、何をされているんですか?」
ヂラーク「すみません、所長とお約束があった貝塚社長をお連れしたのですが室内にいらっしゃらない様でして」
会話の流れからその人物は4人案内して来た係員・ヂラークの上司の様だ。
上司「そうですか・・・、所長は先程御手洗に向かわれていましたのですぐお戻りになると思いますよ。」
結愛「あの・・・、ヂラークさんでしたっけ?そちらの方は?」
突然現れた男性が誰なのか知りたくなるのは皆が持ちうる性だ、俺だって気になって仕方が無い。
上司「申し遅れました、私はこの強制収容所の副所長をしているムクル・デランドと申します。以後、お見知りおきを。」
ムクルは丁寧に挨拶すると全員に名刺を渡した、その場の勢いでヂラークにまで渡そうとしてしまいそうだったので相当だ。ただ転生者達は名刺の名前に何処か見覚えのある気がしてならなかった、特に好美。
好美「あの・・・、もしかしてムクルさんって御兄弟がいらっしゃいますか?」
ムクル「えっと・・・、もしかしてニコフ君の事ですか?」
ニコフの名前が出た時点で2人が関係者だという事が分かった、ただ「君」と呼んでいたので複雑な家庭の生まれ同士なのだろうかと疑われたが今はそれ所では無かったが?
ムクル「実は子供の頃、母親に私にはニコフという弟がいると聞かされていたのですが全くもって会わせて貰えなかったんです。今となっては存在すら嘘と思っていたのですが元気にしているんですね、良かった・・・。」
好美「あの、ニコフさんはいとこのイャンダさんをお兄さんと呼んでいるみたいですが。」
ムクル「イャンダってイャンダ・コロニーの事ですか?!あのSM好きの?!」
好美「え・・・、元竜騎士(ドラグーン)としてではなくそっちで有名なんですか?!」
-203 強制収容所で共生する「アレ」-
副所長の案内で所長室の中へと入って行った一同、全体的に真っ暗で奥に業務用のデスクが1台と手前に大きなソファが2つだけ並んでいたその室内でも相変わらずジメジメとしていた事は変わらなかった。ただそんな中まさか自分の店で雇っている優秀な料理人が親戚の間で強力な元竜騎士としてではなく性癖で有名になっているとは思わなかった好美、呆れてものが言えないと言う気持ちでいっぱいになっていたマンションの大家兼拉麵屋のオーナー達と共にソファに座っていた大企業の社長は1人周囲を見回していた。
好美「結愛、落ち着きなよ。何か気になる事でもある訳?」
結愛「ああ・・・、悪い。ただ不思議で仕方が無い事があってな。」
守「不思議って何だよ・・・。」
結愛は部屋の壁の下の方を数か所指差しながら部屋にいた数名に先程自分が不審に思っていた事を伝えた。
結愛「こう思うのは俺だけだと思うんだが、何となく見覚えがあると思ってよ。ほら、守と好美もあの辺りを見てみてくれるか?」
友人に促されるままに恋人達が指差された方向へと向いてみると壁の下の方にまさかの「アレ」が・・・。
好美「あれって・・・。」
守「どう見ても焼いたら美味しそうな・・・。」
2人「キノコ・・・、だね・・・。」
そう、所長室のいたる所にキノコが生えていたのだ。2人は目を閉じて強制収容所に入ってからの事を思い出そうとしていた。
好美「ねぇ、よく考えればここに来てから所々にキノコが生えていた気がするんだけどどうしてかな。」
好美の疑問に答えたのは副所長のムクルだった。
ムクル「これが飽くまで憶測なんですけど、最近この孤島だけ何故か雨が続いていたのでそれが原因かと。先週から、というより所長より監視カメラの委託業者を変えたと聞いてから酷くなって気がしてならないんですよ。」
結愛「警備の委託業者・・・、キノコ・・・、まさかな・・・。」
守「何だよ結愛、何か身に覚えがあるのかよ。」
結愛「少しな・・・、多分気のせいだ。すまねぇ・・・。」
結愛が気がかりな事を思い出そうとしていた傍らで所長室の部屋が優しくノックされる音がしたので副所長は扉を開けて迎えに行く事にした、すると扉の向こうから中の様子を伺う声がした。声からして扉の向こうにいたのは女性の様だ。
女性「ムクルさん、中にいらっしゃるんですか?」
ムクル「はい、先日お電話を頂いた貝塚社長御一行をお連れ致しました。」
女性「お待たせしてたのは私の方でしたのね、すぐに参ります。」
扉がゆっくりと開かれ向こうから長い髪の綺麗な女性が現れた、話の流れからしてこの女性が所長の様だ。
所長「大変お待たせいたしました、定時の見回りに少し苦戦しちゃいまして。」
結愛「「苦戦」・・・、と言いますと?」
所長「多分副所長のデランドからお聞きだとは思いますが近頃監視カメラの委託業者を変えまして、新しいカメラのシステムにまだ慣れていないので巡回に時間がかかってしまっているんです。もう少し慣れたら大丈夫なのですが・・・、あら?そう言えばお茶が出てませんね、すぐお持ちしますので少々お待ちくださいね。」
所長はお茶を出し忘れたムクルを咎める事無く、それどころかルンルンと鼻歌を歌いながら隣の給湯室へと向かった。
ムクル「実はうちの所長、お茶を淹れるのが趣味の1つでしてね。私が先にお出ししていると機嫌を悪くしちゃうんです、拘っているみたいなので少々お付き合い願えますか?」
ムクルが手を合わせながら4人にお願いしていると噂の所長が戻ってきた、笑ってはいたのだが少し表情が引きつっていたのは気のせいだろうか。
所長「ムクルさん、いやデランド副所長。お客様方に何余計な事を吹き込んで下さっているんですかね・・・。」
ムクル「所長・・・、わ、悪気は無いんですよ。ご・・・、ごめんなさい。」
-204 本当に所長なのか?-
ムクルがお願いする位お茶に相当拘りを持つ所長はある程度の手順を隣の部屋で踏んだ後のポットを含めた紅茶セットを載せたお盆を両手に持ってニコニコしながら戻ってきた、お茶に拘りを持っていると同時にカップやポットにも拘っている様で結構な高級品と思われる陶器の器に思われた。所長が全員に温かな紅茶を配り終えると辺りに仄かだが良い香りが広がっていた、そんな中所長はソファの空いている席に座って懐から何かを取り出そうとしていた(多分名刺)。
所長「大変お待たせいたしました、飲み頃だと思いますのでごゆっくりお楽しみ下さい。その間に私は・・・、あれ?おかしいな・・・、この辺に入れた思うんだけどな。」
ムクル「所長・・・、前から入れる場所を決めときましょうって言ってるじゃないですか。」
副所長は優しく伝えたつもりだったが所長にはきつい言葉に聞こえたらしく・・・。
所長「えぐっ・・・、えぐっ・・・、うわぁーん!!また副所長に怒られたぁ!!」
どうやら所長はかなり気弱な女性らしい為にその場で泣き出してしまった、失礼も承知で言うが正直この人に強制収容所の所長が務まるとは思えない。
所長「なぁにぃ、この声の人だぁれぇ!!」
ごめんね、ごめんなさいって!!目の前にいる社長のお姉ちゃんが今度お菓子買ってくれるって言ってるから泣き止んで、ね?
結愛「ちょっと・・・、おま・・・!!」
所長「本当?お姉ちゃん、お菓子買ってくれるの?」
見た目での年齢は明らかに結愛や好美と同年齢なのだが、所長の精神年齢はいくつなのだろうか・・・。
結愛「ああ・・・、1個だけな。」
所長「うん・・・、じゃあ許す。」
ふぅ・・・、助かった・・・。すまんが結愛、今度買ってやってくれ。多分小さい駄菓子とかで大丈夫だと思うから。
結愛「お前な、いくら何でも失礼じゃねぇのか?まぁ、解決したから良いんだけどさ。」
目の前で起こった事件(?)は即刻解決したがここに来た本来の目的は未だに果たせていない、一先ず一行は所長が泣き止んで落ち着くのを待った。
所長「副所長・・・、うちちょっとトイレ行く。」
ムクル「トイレね、うん、行ってらっしゃい。場所は分かるかな?」
所長「うん、1人で行ける。」
所長が部屋を出るのを見送ったムクルは再び転生者達に耳打ちした、何が言いたいのかは大体察しが付くのだが一応聞いておこうか。
ムクル「すみません、うちの所長って些細な事で泣き出しちゃう上にその度に子供に戻っちゃうんですよ。毎回毎回言葉を選びながら話すことになるのでそのお陰で聞きたい事が聞けないまま終わっちゃう事が多くて・・・、実はこれも監視カメラの委託業者について聞けていない原因の1つでして・・・。でも今の様にトイレに行くと簡単に戻る事が多いのでそこは助かるんですがね。」
一行は先程の所長の様子を思い出しながら引き笑いしていた。
好美「ムクルさんも苦労しているんですね、ずっとあの様子なんですか?」
ムクル「最低でも自分がこの収容所に赴任してきた時から・・・。」
守「こりゃ大切な情報を聞き出すのも大変だな・・・。」
副所長を含む全員がひそひそ話をする中、扉の方向から咳払いをする音が聞こえて来た。どうやらトイレから戻ってきた(こう呼ぶべきか分からないけど)通常モードの所長による物らしい。
所長「ムクルさん、また余計な事をお客様に吹き込んでらっしゃるのですか?」
ムクル「あぁ所長、違うんです。お客様から私の弟について聞いていた所なんです。」
所長「あら?貴方って一人っ子って仰ってませんでしたっけ?」
ムクル「いや・・・、えっと・・・、あの・・・。」
美人の所長を前にして口がまごつく副所長、もしかして・・・?
-205 許される為に-
所長の真っ直ぐな言葉に口をまごつかせる副所長が少し顔が赤くなっていた気がした恋人達はどこからどう見てもムクルが片思いをしている様に見えていた、しかし本人がおどおどとしていた理由は別であった。勿論、「あれ」である。
所長「ムクルさん・・・、私に・・・、嘘ついたんですか・・・?」
再び泣き出しそうになっていた所長、何処からどう見てもムクルがやらかした様にしか思えない。ただ折角素に戻っていたというのにこれではなかなか話が進まない、早く所長をあやして貰いたいのだが・・・。
ムクル「ああ・・・、所長、申し訳ありません。今度所長が大好きなソフトキャンディー買って来てあげますから許して下さいよ・・・。」
別に悪い訳では無いのだがソフトキャンディーで上司を何とか宥めようとする副所長、本当にこんな調子で大丈夫なのだろうかと心配になってしまう。
所長「うっ・・・、うっ・・・、何味?」
正直「そこかよ」と突っ込みたくなったが今は所長の機嫌を直す事が先決である。
ムクル「えっと・・・、グレープ味でよろしいでしょうか。」
結構チョイスがベタな気がするが、本当に良いのか?
所長「ねぇ・・・、ラムネ・・・、ラムネ味じゃ駄目なの?」
ムクル「ラムネ味ね、今度近くの雑貨屋で買って来ますから許して下さいね。」
転生者達が見守る中ラムネ味のソフトキャンディーが手に入る事が確約された所長は一気に機嫌を直した、ただこの孤島に一番近い雑貨屋を含めて3国にある店という店で今ラムネ味のソフトキャンディーが入手困難となっているのだが大丈夫なのだろうか。
所長「明日には買って来てね、約束だよ!!」
因みに入手困難なそのソフトキャンディーは最短でも入荷が1週間先となっている上に人気のラムネ味は発注しても生産量自体が少ないので必ず店に商品が来るとは限らない。
ムクル「わ・・・、分かりました。分かりましたのでお客様方への対応をお願い出来ますでしょうか。」
おいおい、本当にそんな約束して大丈夫か?もし買えず仕舞いだったら明日また大泣きするかも知れないぞ。
まぁ、良いか。どうせ俺には何の関係もない事だから話を進める事にしようかね。
所長「大変失礼致しました、私ここの所長をしておりますハイラと申します。」
再び御手洗から戻ってきたハイラはトイレの個室でやっと見つけ出した名刺を差し出しながらソファに座りすっかり冷めてしまった紅茶を口にした、そんな中ムクルはいい機会だと思って以前から気になっていた事を聞いてみる事にした。
ハイラ「あらま、私の癖の所為で折角のお茶がすっかり冷めてしまいましたね。あちらで淹れなおしてきますね。」
ムクル「あの所長、その前によろしいですか?」
こら、お茶を淹れようとするタイミングで話しかけたらまた泣きだしちゃうんじゃないのか?
ハイラ「何よ、今お楽しみのお茶タイムなのに・・・。」
ムクル「お許しください、ソフトキャンディー2個買って来ますので。」
因みに近くの店では「お一人様1個まで」という個数制限が設けられている。
ハイラ「じゃあグレープも買って来てくれたら許してあげる、それで何なの?」
未だに「子供モード」から戻らないハイラ、多分トイレに行く間が無かったからだと推測される。
ムクル「あの・・・、先日もお伺い致しましたが監視カメラの委託業者の方はどちらにおられるのですか?宜しければお会いさせて頂きたいのですが。」
ハイラ「人見知りが激しい方なんですが、皆さんとはもうお会いしているみたいですよ?」
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