7. 異世界ほのぼの日記3 176~180
-176 契り(契約)-
その場において第三者となる守の視点から見れば契約を交わした好美とベルディは書類上での「甲」と「乙」の関係となり、決して「姉(姐)弟」と言える様な物ではなかった。恋人の事を「姐さん」と呼ぶ女将から受け取った「あれ」、そう、スコアシートを見ていた守にはただもう1つ引っ掛かっている事が・・・。
守「好美・・・、お前何も不自然には思わないのかよ。」
好美「別に、私も了承した事だから良いと思うし、「甲」と「乙」といった契約者同士より「姐さん」と「弟分たち」の方が何となく一緒に仕事し易いもん。」
守は好美が良いと言うならと別に気にしない様にしてはいたが、対する番頭・女将夫婦は納得しているのだろうか。
ネイア「納得も何も私達の方から「姐さんと呼ばせて下さい」と申し出たんです、好美さんが心の広いお方で嬉しいですよ。」
ベルディ「それに共に働くとなると家族同然の様に接した方が互いに気楽ですからね、実は亡くなった私やイャンダの祖父からの言い伝えだったりするんですよ。」
ただ1つ、守には気がかりな点があった。当の本人である好美がいない間にどうして契約の話が進んでいたのだろうか。
時は恋人達が1ゲーム目を始める寸前に遡る、事前に予約してきた団体を含んだお客たちの出迎えや受付等を数人の仲居や従業員達と共に済ませたベルディは一旦その場が落ち着いたので小休止を取ろうとフロント裏にある従業員用の喫煙所へと向かった。
ベルディ「ふぅ~・・・、疲れた・・・、そうだ・・・。」
ゆっくりと煙草を燻らせながら「例の事」を弟であるイャンダの耳に入れておこうと懐からスマホを取り出した番頭、アプリの連絡帳から弟の電話番号を表示させつつも1つ気になっている事を思い出して手を止めた。
ベルディ「あいつ・・・、俺の事を恨んでいないかな・・・。」
本人の背中を素直に押してやる事が出来なかった事を悔やんでいた兄は、あれから音信不通となっていた弟の声を聞くのが何となく怖かった。しかし、自分が申し出た契約の事なので迷う事はやめて電話をかける事にした。深呼吸したベルディが電話をかけると、数回コール音が鳴った後にやや小さめの声でイャンダは電話に出た。
イャンダ(電話)「も・・・、もしもし・・・。」
ベルディ「もしもし、久しぶりだなぁ。イャンダ、元気にしてたか?」
イャンダ(電話)「ああ・・・、兄貴こそ・・・。えっと・・・、旅館の事を全て押し付ける様な事してごめんよ?」
イャンダはベルディの事を決して恨んではいなかった、寧ろ自分勝手な行動をしてしまった事を反省してずっと兄に謝りたかった様だ。どうやらベルディが一方的に気持ちをぶつけてしまっていただけだった様で、「イャンダの人生は本人だけの物」と気付けて本当に良かったと思ったらしい。
ベルディ「いや・・・、俺の方こそあの時は言い過ぎてすまなかった。それでなんだが・・・、お前が店長をしている拉麵屋の方は好調かい?」
イャンダ(電話)「ぼちぼちさ、でも兄貴のお陰で楽しくやらせて貰っているよ。それがどうしたんだ?」
ベルディは旅館の1階にあった料理屋が向こう側の都合で立ち退いてしまった事実と「暴徒の鱗」に支店を空きスペースに出さないかという提案について弟に話した、ただ宿泊客(恋人達)については旅館の者として守秘義務があるので話さないでおいた。
イャンダ(電話)「そうか・・・、嬉しい話なんだが俺の独断では出来かねるな。前にも言った通りなんだけど俺は雇われの身だから好美ちゃんっていうオーナーに聞いてないといけないんだがここ数日の間、そのオーナーが店に顔を出して来て無いし家に連絡しても出ないからどうしようも出来なくてさ。取り敢えず別の店舗の経営陣と相談してみた上で俺から好美ちゃんに連絡するまで待ってて貰えるかな?それからでも遅くないだろう?」
好美とは会った事の無い様に装うベルディ、どうやら演技は得意分野の1つの様だ。そうしてパルライやシューゴ、そして渚達が相談した上で今に至るとの事。ただどうして好美がこの状況に順応しているのかが気になって仕方が無い。
好美「単純よ、イャンダからメッセージが来たの。「大切な話があるのでご連絡頂ければ幸いです、貴女様の豚野郎より」って。」
おいおい、元竜騎士(ドラグーン)に何て呼び名付けてんだテメェ!!
-177 女王様と呼ばれる鬼-
好美のスマホ画面に映るイャンダからのメッセージを見た守はとある疑念を抱いていた、その場においては正直言ってどうでも良い事なのだが恋人からの答えが「No」である事を願うばかりであった。本当に神経質な奴だなぁ、全く・・・。
守「うっせぇな・・・、気になるんだから仕方ねぇだろうが。こんな性格に誰がしたって言うんだよ!!」
はいはい、正しくこの俺でございます。そんなに気になるなら試しに聞いてみろよ。俺からすればくだらなさ過ぎて欠伸が出そうだけどよ。
好美「何?「気になる事」って。」
ほう・・・、彼女さんもお待ちかねだぞ。早くしろって。
守「分かってるよ・・・。いや勝手に想像しただけなんだけどさ、好美ってSMの女王様なのかな~・・・、って。」
顔を今までの人生(?)で1番という位に赤くしながら守の背中を殴る好美、よっぽど今の発言が恥ずかしかったんだろう。
好美「馬鹿!!そんな訳無いでしょ!!私にそんな趣味がある訳無いじゃないのよ!!イャンダよ!!あいつ最近ネフェテルサ王国で数人のウィッチやフェアリー、それにサキュバス達が経営するSMクラブに休みの度に通ってんの!!その影響で私の事を何故か「女王様」って偶に呼ぶ時があるのよ!!」
今の「何故か」という言葉が少し引っ掛かっていた俺、この事象を裏付けする事実が過去にあったり無かったり・・・。
好美「何よ、あんたまで私の事を「女王様」って呼ぼうっての?!まぁ、響きは悪くないんだけどさ。」
おいおい、ちょっと嬉しそうにしてんじゃねぇかよ。あれだろ、絶対「鬼の好美」の影響だろ、とうとうSに目覚めましたか!!
好美「もう、本当にいい加減にしないと本当に鞭でぶつよ!!」
ああ~・・・、女王様~・・・、是非足蹴にしながら・・・、って違う違う!!全く・・・、俺も悪ノリしちゃったじゃねぇかよ。一先ず深呼吸してっと・・・、さて、話を進めますかね。
ただ守には好美の性格異常に気になる事があった、このまま卒業旅行を続けてもいいのかどうかだ。
守「なぁ好美、流石に新店舗の設立ともなるとただ事ではないからすぐ帰った方が良いんじゃねぇのか?」
俺も守に同意していた、しかし好美はマイペースを崩そうとはしなかった。
好美「大丈夫よ、渚さん達が話し合って決めてくれているからお任せした方が良いでしょ。それにもしも「ビル下店」絡みなら後で私が意見を出しても問題無いだろうし。」
そんな中、恋人達はチェックアウトの時間を迎えたので客室から『アイテムボックス』で荷物を運び出して受付(フロント)へと向かった。
好美「色々と有難うございました、とても楽しく過ごせたので楽しかったです。」
守「俺も、大変お世話になりました。」
ベルディ「いえいえ、姐さんや守さんにお会い出来て私も家内も嬉しかったですよ。またいらして下さい、今度はお子様連れで。」
未だに2人が脱衣してリバーシをしていた事をいじる番頭、意外と性格が悪い。
好美「もう!!何を思い出しているんですか、その事は私達の姿と一緒に忘れて下さい!!」
好美は頭から湯気が出そうな勢いで顔を赤くした。
好美「では失礼します・・・。そうだ・・・、イャンダと仲直り出来たら良いですね。」
ベルディ「有難うございます・・・。」
ただただベルディの思い違いで2人は喧嘩していた訳では無かったのだが、好美の気遣いにより嬉しくなった兄の静かに泣く姿を見て好美は「ある提案」を思いついた・・・。
-178 空腹と財力、そして新たな事実-
2人を乗せた車(カペン)は「竜騎士の館」の駐車場を出てバルファイ王国を縦断する様に延びる真っ直ぐな国道を抜けてダンラルタ王国特有の山道へと近づいて来た、バルファイ王国には高層ビルがずっと並んでいたが国境を越えた瞬間から建物は数件だけがぽつぽつとあるだけとなっていた。
好美「同じ世界でも景色が全然違うね、バルファイ王国が都会ならダンラルタ王国はド田舎みたいな感じ。」
確かに好美の言っている事は正しい、ダンラルタ王国は他の2国と比べては発展と開発が進んでいないのでそう見えても仕方が無い。
守は周りのゆったりとした景色を見ながら山道の上り坂を走る為にギアを「5」から「4」に下げてエンジンの回転数とパワーを上げた、アクセルを踏んだ瞬間にエンジンが一気に動いていくのが体に伝わっていた。
カペン「ちょ・・・、ちょっと・・・。強すぎまへんか?無理したらあきまへんで。」
守「そうかな・・・、結構急な上り坂だと思うんだけど。」
カペン「だからって、彼女はんも乗ってはりますのにそないな運転したら危ないでっせ。」
守「その時はお前が何とかしてくれよ、世の中臨機応変って言うだろ。」
カペン「いや頼られましても・・・、ワテは運転された通りに動くしか出来まへんで。」
愛車の言葉を聞いて深呼吸した守は改めてギアを「5」に戻した、丁度上り坂もなだらかになって来たので結構丁度良かったみたいだ。
そんな中、好美からまさかの一言が・・・。
好美「ねぇ・・・、お腹空かない?」
守「いやいや、お前さっきボーリング場でかなり食ってからそんなに時間は経って無いのに何で腹が減るんだよ。」
好美「だって・・・、本当に空いたんだもん・・・。」
流石にボーリングの5ゲームを無料でプレイしている間にカップ麺を(推定)20個以上食べていたというのに1時間も経たない内に腹が減る訳が無いと思うんだが、それに「無料」の意味が無くなる位に食ってたからちょっとは節約する事を考えた方が良いんじゃ無いのか?
好美「大丈夫よ、私達の財力を舐めないでよ。」
別に舐めている訳では無い、金がある時だからからこそ大切に守る為に節約するべきだと言っているんだが。正直これから先、何があるか分からないからな。
好美「何よ、ただの平社員であるあんたなんかより私は儲けているから余計な心配しないでよ。」
そっすか・・・、それは失礼しました。仕方が無い、取り敢えず話を進めますかね・・・。
山道を登り切りかけた所に比較的新し気な建物が見えて来た、看板等をよく見ると「食事処」の様だ。守は自分も小腹を満たしたくなって来たのでその店の駐車場に車を止めて下車し、建物へと近づいた。時間が早かったからか、まだ店のドアには鍵がかかっていた。守の隣にいた好美は営業時間が気になっていたからか、周囲を見回していた。
好美「ねぇ・・・、これちょっと見てよ。」
彼氏を手招きした好美の目の前では1枚の紙がガラス戸に貼り付けられていた、その紙には丁寧な書体でこう書かれていた。
お客様各位
本日はお越し頂き有難うございます、しかし申し訳ありませんが都合により暫くの間店を開店する事が出来なくなってしまいました。誠に勝手ながら開店の予定は「暫く未定」とさせて頂きますのでご了承頂きます様、お願い申し上げます。
好美「設備の問題かな・・・、見た感じは綺麗なテーブルやチェアが並んでいる様だけど。」
守「それとも人員の問題かな、ほらこの国って獣人族や鳥獣人族とかが殆どだから働き手がなかなか見つからなかったりするのかも。」
好美「それは無いんじゃないかな、その場合は皆『人化』して普通に働いているもん。」
しかし恋人達が悩んでいても目の前の事実は変わらない、振り返って車へと向かおうとした2人をある男性の声が引き止めた。声の方に向くと青い髪をしていたこの店の店主らしきその男性は青いコックコートを着ていた、よっぽど青が好きなのだろうか。
男性「ああお客様でしたか、恐れ入りますがご覧の通りでして・・・。」
-179 兄-
ランバルと名乗った未だに開店日を決める事が出来ない飲食店の店主は恋人達を店の中に招き入れて2人に冷たい水を1杯差し出した、汗が滲み出ている様子から暑い日が続くバルファイ王国からやって来た事を察したが故の行動だと思われる。
ランバル「すみません、こんな物しか出せなくて。」
本人は「こんな物」と謙遜していたのだが全く使われていない綺麗なグラスに注がれていたとても冷たいその水はダンラルタ王国で最も高い山の天辺で店主が自ら汲んで来た拘りの湧水だそうだ、本人曰くこの水で作る料理や水割りにしたウイスキーは絶品らしい。
守「いえ、俺達も突然やって来たのに有難うございます。開店準備でお忙しかったのではないですか?」
未だに開店出来ない理由を知らない守はきっと店主が1人で行っているが故に準備が追いついていないからだと推測していた、ただやはりテーブルやチェアは揃っているのでいつでも開店できるような気がしてならない。ただランバルの返答は意外な物だった。
ランバル「いえ、全く忙しくはしていなかったんです。寧ろ暇で暇で仕方が無かったと言いますか。」
そこはやはり料理人らしく、拘りの食材がなかなか手に入らないので開店出来ないからなのだろうか。
好美「じゃあ・・・、お料理が作れないからとかですか?絶対料理に入れたい具材が見つからないとか。」
好美の推測を聞いて店主は首を横に振った、では一体どういった理由なのだろうか。
ランバル「そう言う訳でも無いんです、実際冷蔵庫には長期保存が可能な食材を多数揃えておりますのである程度の料理ならすぐにお出し出来るんです。」
好美「では何で開店出来ないんですか?料理を出せるなら開けちゃえば良いのに。」
好美の言葉には「店を開けてくれ」と言うより「何でも良いから食わせてくれ」という意味が含まれている様に思われた、きっと空腹がピークに達して我慢が出来なくなってしまったのだろう。
ランバル「私もそうしたいんです、しかしある理由がありまして・・・。」
守「「ある理由」ですか・・・。」
ここまで引っ張ったとなるとよっぽど言いづらい理由なのだろうなと想像した守は少し気になりつつも店を後にすべきなのではと思い始めた、しかし飲食店のいち経営者である好美はランバルが店を開ける事が出来ない理由を聞きたくて仕方が無かった。と言うよりお腹が空き過ぎて仕方が無かっただけなのでは?まぁ、そこは気にしないでおくか・・・。
好美「差し支えなければお聞きしても宜しいでしょうか。」
ランバル「実は・・・、私の兄の事でして・・・。」
守「お兄さん?」
もしかして家庭の事情という奴なのだろうか、だとしたら第三者が聞いてはいけない話である可能性も十分ある。
好美「それ私達聞いても良い話なんですか?」
ランバル「勿論です、折角お越しいただいたのに水以外何もお出ししないのも情けないだけですので良かったらお付き合い願えますか?」
好美「まぁ・・・、良いですけど・・・。」
好美の返答に安心したのか、自らもグラスに注いだ水を片手に2人と同じテーブルの向かいの席に座った。
ランバル「実はと申しますと、元々私の兄は王城で大臣をしているのですが王様の命令か何かで今は近くの駐車場で商売をしている「暴徒の鱗」の屋台で拉麵屋の修業をしているんです。」
何処かで聞いた話だなと思った好美は似たような案件をゆっくりと思い出そうとしていた、そしてふと思い出した事が1つ。
好美「もしかして・・・、ミスリルリザードのロラーシュさんの事ですか?」
ランバル「おや、兄をご存知だったんですね。その兄が屋台で修業をし始めたばかりの頃にふらっとここにやって来ましてね、その時の発言に頭を悩まされているんです。」
-180 力になれるか-
やはり一国の王城で大臣をしているからか、もしくは過去のやらかしをナルリスから聞いていたからか、好美がロラーシュの事を知らない訳が無かった。きっと渚の屋台での修業の相談を受けていた1人だったからという理由が1番だと思われるが好美にとってはどれでも無かった様だ、好美が大臣の過去のやらかしを始めて知ったのはテレビのニュースでだった上に王城の者であった事があるのはパン屋でひっそりと働く王族達だけであった。
ランバル「ああ・・・、あのニュースですか・・・。あれが報道された時私も恥ずかしくて顔を赤くしちゃいましたよ、本当に情けなくて仕方ありませんでした。」
兄の黒歴史を滲む汗を拭いながら話す弟、ただ今聞きたいのはそんな事では無い。
守「それで・・・、ロラーシュ大臣がこの店に来た時に何を言ったんです?」
ランバル「ああ・・・、そうでしたね。ついつい忘れかけていましたよ。」
顔を赤くしながら頭を何度も下げる店主、どうやらこういった行動は癖だと言っても良い位によくやってしまうらしい。
ランバル「私も小耳に挟んだだけの話だったんですが兄は王様から「暴徒の鱗」という拉麵屋の支店をこの国に出す為に修業をして来る様に命じられた様なんですね、ただその直後に何処からか私が店を出すと言う話を聞きつけて飛ぶ様に帰って来たんです。この店の開店を数日後に控えていたその時、そこのドアを勢いよく開けて私に言って来たんです。」
ランバルは店の出入口を指差しながら続きを語った。
ランバル「「ランバル、良かったら洋食と拉麺を融合した店を出そう!!俺が今受けている修業が終わるまで店を開けずに待っててくれ!!絶対だぞ!!」とだけ私に告げてすぐに出て行きました、兄は昔から言い出したら聞かない人でしたから私も何も出来なくて今に至る訳なんです。」
守「そうですか・・・、困ったもんですね・・・。好美、何とか出来ないか?」
その場で力になれそうなのは他でも無く好美だった、やはり優秀な起業家なうえに「暴徒の鱗」の経営者の1人だからだ。
好美「私?うーん・・・、ちょっと考えてみないと・・・。」
流石に他店の、ましてや渚の経営する屋台の事に付け入るのは気が引けた、ただ話の流れが読めない店主はただただその場でポカンとしていた。
ランバル「あの・・・、どう言う事です?」
好美はため息をつきながら懐から名刺入れを取り出した、まさか折角の卒業旅行中に2回もこれを出してビジネスの話をする事になるとは・・・。
好美「実は私・・・、こういう者なんです・・・。」
好美から名刺を受け取ったランバルはただただ驚きを隠せずにいた。
ランバル「えっ?「暴徒の鱗」のオーナーさんなんですか?!」
好美「べ・・・、別店舗のですけど・・・。それに普段は王城で夜勤もしていますので。」
ランバル「何と言いますか・・・、謙虚な方なんですね・・・。」
どちらかと言うと好美の場合は「ドケチだから」という理由の方がピッタリだと思われるが、今は気にしないのが身の為な気がする。
好美「いえ・・・、店の売り上げと家賃収入だけでは足らなくて・・・。」
ランバル「あの・・・、どんな消費生活されているんです?」
殆どが酒代。
好美「私の事は良いんですよ、今はこのお店の事を考えないと。」
すぐに脱線しようとするランバルを必死に戻そうとする好美、その行動は間違っていないときっと誰もが思うはずだ。
ランバル「そうですよね、今はこの「鉱山下の大蜥蜴(こうざんもとのおおとかげ)」の事を考えませんとね」
好美「あの・・・、凄い名前ですね・・・。」
守「まさかと思いますけど・・・。」
ランバル「はい、私も一応メタルリザードなんで。」
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