7. 異世界ほのぼの日記3 121~125


-121 改めて聞かせて欲しい-


 先程とは全く別の理由で顔を赤らめる好美、この世界でトップクラスの高層マンションの大家の様子から早くも酔いが冷めてしまったのが見て取れた。

 そんな中、真希子によるプロレス技と冷静だったナルリスによる通報によりネフェテルサ王国警察の署員達がヘルクの逮捕の為に駆け付けた。確かに何でもありの世界ではあるが、祝いの席で逮捕者を出す様な騒ぎは流石に勘弁して欲しい。

 駆け付けた署員の中に、偶然だが遅れながらも宴に参加する為にレストランへと向かっていた希の姿があった。


希「宴を楽しみにしていたのに、君は何て事をしてくれたんだ。」


 希はため息を深く吐きながら盗撮犯の目を見て声を掛けていた。


希「やっと仕事が一段落したからゆっくり出来ると思ってたのに、これじゃ職場に逆戻りじゃないか。」

ヘルク「すみません・・・、取調室でカツ丼でも奢りますので許して下さい。」

希「馬鹿野郎、カツ丼を買うのはこっちの仕事なんだよ!!」


 中々酒にありつけない所為か苛立っているのが見え見えの署長、やはり警察官の仕事は決して楽な物では無いらしい。

 一方その傍らでは好美が守に究極の2択を迫っていた、返答によっては守の今後が左右すると言っても過言では無い位の物だった。


好美「ねぇ、守はこれからどうしたい訳?私と結婚したいと思ってる?」


 好美の表情からこの質問が冗談ではない事を汲み取った守は固唾を飲みながら深く考えた、ただ以前も同様の言い争いをしていた様な気がするが今回は母である真希子がいる前だ。真摯に答えないといけないという事はその場にいた全員が分かっていた様だ。


守「その前に改めて謝罪したい事が有る、1度だけではなく2度も好美の事を裏切ってしまった事だ。本当に申し訳ない・・・。」

好美「何よ今更、もうその事は良いって言ってんじゃない。」


 好美は自分も結愛を通して元の世界での守の様子を覗き見ていた事を悪く思っていたので、守が自分の目の前で圭と口づけを交わした事やはとこの真帆と一時付き合っていた事を水に流す方向に持って行っていたのだ。


好美「それで?守はどうしたい訳?今の守の気持ちを聞かせて欲しいんだけど。」


 好美の質問を聞いた守は深く息を吸い込んでゆっくりと吐くと、目を強く閉じて答え始めた。


守「俺は・・・。」

結愛「ちょっと待った!!」


 突然守の発言を結愛が遮った、一体どうしたと言うのだろうか。


好美「何、いくら結愛だからって邪魔するのは許さないよ。」

結愛「まぁ待てよ、ちょっと落ち着けって。」


 その場にいた全員が至って冷静だった、先程光明から指輪を受け取った結愛以外は。


結愛「お前ら2人共、どうして同棲しているか改めて考えろ。互いを愛し合って結婚を前提に付き合っているからじゃねぇのか?!」


 作者である俺自身は未だ独身の実家暮らしの為によく分からないが、全ての同棲生活が結婚を前提としているとは限らない気がする。ただ結愛の発言は意表をついているので守と好美はその場で固まっていた。


結愛「おい、何とか言ったらどうなんだよ。答えてみろや。」


 結愛の言動がほぼ脅しに思えたのはその場にいた全員だった様だ。


守「も・・・、勿論だ。いつかは好美と結婚したいと考えている。」


 今日一番と言う位に顔を赤くしていた守の腕を掴んでいた好美や周囲の女性達が嬉し涙を流し始めたせいか、レストランの雰囲気は一気に良くなった、何となくだが一安心。


好美「守・・・、さっきの言葉、嘘じゃ無いよね?」

守「あ・・・、ああ・・・。」


-122 パティシエの未来とやっと完成した新社屋-


 色々と騒ぎはあったものの最終的に温かな雰囲気に包まれながら祝いの宴が終わってから数日が経った、師匠の逮捕により心中でだが路頭に迷ったオラを救ったのはやはり副店長の真希子だった。


真希子「どうだろうオラちゃん、師匠のそのまた師匠の下で働きながらスイーツの勉強をしてみないかい?文句があるなら何でも受け付けるよ。」


 自らの師が目の前の恩人から学んだという事を考慮に入れると自分も是非学んでみたいという意欲が湧いて来る、逆に文句なんてどうしてあると思うのだろうか。


オラ「これ以上に嬉しい事はありません、宜しくお願いします。」


 オラは深々と頭を下げながら泣いていた、救われた様な気分がしてならなかったからだ。


真希子「何だい、泣くような事じゃないだろう全く。」

オラ「だって私の師匠っていつの間にか厨房からいなくなって覗きや盗撮ばっかりしていたんですよ、それに私だって被害に遭っていた事もあるんです。」


 流している涙がどんどん大粒の物になっていくオラを優しく抱く真希子、それは上司ではなくまるで母親として包んでいる様にも見えた。


真希子「大丈夫、あんたは何も悪くないんだ。自分でも「被害に遭っていた」って言ってたじゃないか、これからは安心して勉強して良いんだよ。それと私の事は「真希子」、若しくは「おば様」で良いからね。」


 あれ?既視感があるのは気の所為か?もしかして結愛も同様の事があったから「おば様」と呼んでいるのか(義弘による「最悪の高校時代」を除いて)?

 そんな中、やっと出来上がった新社屋の前で貝塚運送の開業式が開かれていた。真希子の突然の申し出にも関わらず、その意図を汲んだ結愛により業務用の軽トラが数台導入されていた事は言うまでもない。勿論その場に派車両整備担当(兼社長秘書)に任命されたヒドゥラや入社してすぐに主任の籍に就く事になった美麗がいた。急なお願いだったが結愛に信頼されている事を再認識した美麗の表情からは他の者以上のやる気が感じ取れるようだった、因みに一般社員として働く社員たちの制服は灰色のジャンパーだったが結愛の遊び心でヒドゥラは赤いつなぎで美麗は青いチャイナ服であった。美麗は自分達の服装を見て結愛に『念話』を飛ばした。


美麗(念話)「ねぇ結愛、私達だけ何か浮いてない?」

ヒドゥラ(念話)「そうですよ、社長が着る様に仰るならこのまま着ますけど。」


 確かに他の者達が灰色の衣服を着ている分、2人の服装が際立っていたのは明確だった。


結愛(念話)「良いじゃねぇかよ、2人に灰色は似合わないと思っていたんだ。それに特別感があって良いだろ?」

ヒドゥラ(念話)「私は良いんですけど・・・。」

結愛(念話)「な・・・、何だよ・・・。」

美麗(念話)「運送会社でチャイナ服っておかしくない?元の世界にいた時は家の店を手伝う事が多かったし中国人のママに合わせていたから着てたけど、今はもうその必要は無いもん。」


 美麗に正論を言われた結愛は、少し焦り出した様だ。


結愛(念話)「美麗、「お前と言えば・・・」と思って選んだんだぞ。頼むから着てくれよ。」


 どうやら結愛は個人的に美麗のチャイナ服姿を気に入っていた様だ、急いで『念話』を切った社長は一応ビジネスなので「大人モード」で挨拶を始めた。


結愛「えー・・・、皆さんおはようございます。そして大変お待たせ致しました、この貝塚運送も貝塚財閥の大切な一部分としてこれから成長させていきたいと思っております、お客様一人ひとりのニーズに合わせたお仕事を皆で協力して頑張っていきましょう。」


 父と違い堅苦しいのが苦手な割には結構しっかりめの挨拶をした結愛。

 それから数分後、「暴徒の鱗ビル下店」で店長のイャンダと副店長のデルアが開店準備をしている所に結愛が『瞬間移動』してきた、ただ入店して来た「悪ガキモード(いつも)」の結愛には元の世界で松龍等の中華料理屋に行った時の癖がまだ残っているらしく・・・。


結愛「おっさーん、拉麺と炒飯ね!!」

イャンダ「あいよ・・・、って誰がおっさんじゃい!!」


 こりゃ異世界ではなく関西でよく見る光景だな、「おっちゃん」だったら返事が変わる件。


-123 酒で結ばれた社長と店長達-


 堅苦しい事が苦手な割には先程新たな社屋前での開業式にて社長として立派に挨拶をしていた結愛は大好物の餃子と炒飯を頬張りながら店長達に尋ねたい事があった、ただ先程注文していたのは拉麵と炒飯だけだった様な気がするが気のせいだろうか。


結愛「あれだ・・・、セットにした方が安くなるんだよ。最近始めたサービスらしくてよ・・・。」


 ランチタイム限定だが拉麵・炒飯セットには餃子が3個付いて来る様になったそうだ、最近始まったサービスの割には結構普通である。まぁ、元々麺料理や居酒屋メニューを重視してメニューを考えて出していたので仕方が無い事か。


デルア「そう言えばお前、さっき俺らに何か聞こうとしていたんじゃねぇのか?」


 3人の様子を見ていて今のデルアの物もそうだがイャンダ達の結愛に対する態度は決して客に対する者では無いなと思っていると実は本人達は友人同士で、どうやら好美のマンションの下層階を貝塚学園の寮として利用する契約を交わし終えた結愛が数日後にこの店にふらっと立ち寄った時から交友関係が始まっていた様だ。今では3人でちょこちょこ酒を酌み交わすほどの仲になっているらしい(一応光明公認、多分)。

 結愛達の楽しい思い出の始まりは数年程前の夜遅くに遡る、結愛はこの時間までネフェテルサにある各ギルドや王城といった取引先への挨拶回りや支社での会議で大忙しだった。


結愛(当時)「今日の会議も長かった・・・、やっぱり社長業も楽じゃねぇな・・・。多分だけど今頃光明は家でゆったりと過ごしているんだろうな、一度だけでいいから副社長になってみたいぜ。」


 因みにこの時まで光明も契約している銀行などへの挨拶回りで大忙しとなっていた、結愛が思っていた様には行動していなかった様だ。もしも先程の言動がバレると偉い事になるのは目に見えてしまっている。


結愛(当時)「もうこんな時間じゃねぇか・・・、腹減ったな・・・。」


 結愛は空腹で腹の虫が鳴りまくっていたのを必死に手で押さえて何とか堪えようとしていたがもう我慢が出来そうになかった、特に・・・。


結愛(当時)「どうせ光明もゆっくり吞んでいるだろうから俺もビールが欲しくなって来たぜ、コンビニか何処かに寄って俺も呑もうかな・・・。」


 この時光明は2人の自宅で妻の好物を作りながら結愛の帰りを待っていた、因みに夫婦が揃うまで酒は楽しみに取っておいた様だ。


光明(当時)「よしっ、今日の餃子は中にチーズとキムチを入れておくか。これで酒が進むはずだぞ・・・。」


 この頃のマイブームとして光明はよく餃子を作っていたらしい、結愛も大好物なのでこういった趣味は大歓迎だったとの事。

 暫くして、光明が包み終えた餃子を冷蔵庫に保存して30分が経過したが未だに結愛が帰って来ないので嫌な予感がした副社長は社長の様子を『察知』してみた、すると・・・。


光明(当時)「あいつ・・・、呑んでんじゃねぇかよ!!」


 実は腹を押さえていた時、偶然だが結愛は好美のマンションの前にいたのだった。


結愛(当時)「そう言えば1階は店になってるって好美が言ってたな、両方好美がオーナーとも言ってたけどこっちがコンビニでこっちが拉麵屋か、どれどれ・・・。」


 「暴徒の鱗」前に出ている小さな看板で掲示されているお品書きに目を通す結愛、この時間帯は居酒屋メニューが中心となっていたのでそれらが社長を誘惑していた。


結愛(当時)「灯りがついてるけどやってんのかな・・・、開いてるなら新店を開拓しよう。」


 24時間営業なので勿論店は開店している、それを知った結愛は早速中へと入ってみた。店内では丁度夜勤の者に仕事を引き継いだ店長達が制服を脱いで呑んで帰ろうとしていた。


イャンダ(当時)「い・・・、いらっしゃいませ。これはこれは結愛社長じゃないですか。」

結愛(当時)「あの・・・、1人なんですけど・・・。」


 だが数分後、酒の入った3人はすっかり打ち解けてしまったらしく・・・。


結愛(当時)「何だよー、お前らも俺と同じで仕事終わりなのかよ!!先に言えよ!!」

デルア(当時)「お前が目の前にいたら言える訳がねぇだろうが、社長のくせに馬鹿かよ!!」


-124 待ちわびた瞬間(とき)-


 店長達と初めて呑んだ時の思い出を頭に浮かべながら目の前の大好物に食らいつく結愛、よっぽどお腹が空いていたのか、それとも先程までの緊張がやっと解けたのか社長が大事な事を忘れて無心で食べていたので副店長は改めて質問した。


デルア「なぁ結愛、俺達に何か聞こうとしてたみたいだけどどうかしたのか?」


 口いっぱいに中華を入れているまま思い出そうとする社長、その様子はまるでヒマワリの種をほっぺに貯めるハムスターの様だった。


結愛「はあ(ああ)、はえ(あれ)?」

イャンダ「お前な、一応社長なんだから食うか喋るかどっちかにしろよな。」


 イャンダ、よく言ったと言ってやりたいけどそれに関しては社長かどうかは関係無くないか?結構一般的なシーンでよく見かける質問だぞ。


結愛「ほうはほ(そうだぞ)、ひっへはへひっへはへ(言ってやれ言ってやれ)。」


 アホか、元々の原因をつくったのはお前だろうが。早く口いっぱいの炒飯を飲み込まんかい。


結愛「んぐっ・・・、はぁー・・・、ちげぇよ!!拉麺だよ!!」


 あらま、それは失礼いたし・・・、っておい!!問題はそこじゃないだろうが!!取り敢えず早く2人に聞く事を聞けや!!


イャンダ「良いぞ、もっと言ってやれ!!」


 反撃を喰らった結愛の様子を見るイャンダは兎に角楽しそうだった、多分今日一番と言っても過言では無い位のハイテンション。


結愛「あのな、人の不幸を笑ってんじゃねぇ。何て奴なんだよ・・・。」

デルア「おいおい、もう良いだろ。話が進まねぇよ・・・。」


 そうだぞ、いい加減にしろコラ!!


デルア「お前もだろうがよ、お前が茶々入れるから話がもっと進みにくくなってんだよ。」


 すんません・・・、お願いですから早く話を進めて下さい・・・。


デルア「それで?結愛の口の中が空の内に聞くが何を聞こうとしたんだ?」

結愛「ほえ?はんはっはへは(何だっけな)。」

デルア「また入ってんのかよ、食欲旺盛なのは店の人間として嬉しいが何か複雑な気分なんだが・・・。お願いだから早く飲み込んでくれって。」


 しかしデルアの「お願い」は虚しかったらしく、結愛は口いっぱいに含んでいた拉麺を飲み込む前に炒飯を口に含んでいた。


イャンダ「結愛、お前それで足りんのか?」

デルア「待てよイャン、今俺達が聞くべき事はそれか?」

イャンダ「悪かったよ、でも友達として心配になっちゃってさ。」


 お玉で殴ろうとする副店長を必死に止める店長、相も変わらずだがどっちが店長なのか分からない。


イャンダ「それはそうと、そろそろ俺達に何を聞こうとしてたのか教えてくれよ。もうすぐ正午(ランチタイム)が来るじゃねぇか。」

結愛「悪かったって・・・、実は最近気になる事が有ってよ。」

デルア「「気になる事」ね・・・、それと俺達が何の関係があるってんだよ。」


 結愛は丼の上に割り箸を置いてやっと質問した、どれだけこの瞬間を待ちわびたか。


結愛「最近好美達って店に来てるか?」

デルア「好美ちゃん?そう言えば全く見て無いな、あの変態彼氏も。」


 先日の宴が終わってすぐに好美達2人は手を繋いで何処かへ消えてしまっていた、結愛はそれが気がかりで仕方なかった様だ。


イャンダ「最近は人手が足りてたから好美ちゃんに仕事を頼む事が無かったからな。」

デルア「と言うかさ・・・、あいつだったら知ってんじゃね?」


-125 恩人の為に登場した女神-


 高校生同士の雰囲気を醸し出しながらその場の会話における重要人物を提示したデルアの姿が神の様に見えた、と言っても日本人達をこの世界に転生させたビクター・ラルーの姿では無いが。と言うかデルアの言った「あいつ」って神の事では無いはずだが?


結愛「あいつは・・・、神というより龍だからな・・・。」


 結愛の言葉にごもっともと言いたいが、ビクターが『人化』した姿を見た事あるどころか酒を奢って貰った事だってあるだろ?神様として認めてやれよ。


結愛「認めてねぇとは言ってねぇだろうが、3人の娘だって神様なんだからよ。」


 おりょ?ちゃんと娘達の事を覚えていたんだな、褒めて遣わす。


結愛「馬鹿にすんな、恩人でもある神様を忘れる訳が無いだろうが。」


 何言ってんだよ、あれは一方的にビクターが悪かったんだからお前は無罪だろ?そう言えば罰金として取られていた1億円は返って来たんだろうな?


結愛「まだだよ、ビクター本人が今度は競馬で負けたらしいから金が無いって待たされてんだよ。頼むから何とかしてくれよ。」


 アホか、俺を頼っても仕方ないのは前から分かっているだろ?それに・・・。


結愛「「それに」・・・、何だよ?」


 いや・・・、店の前にデカいのがいるのが分からないか?イャンダ達がビビっているから何とかしてやれよ。


結愛「デカいの・・・?」


 結愛は啜っていた拉麺を持ちながらその場で立ちすくむ店長達の横をすり抜けて店の前に出た、すると社長の目の前に大きな龍が翼を広げながら降りて来た。


結愛「お・・・、おい・・・、何だってんだよ・・・!!」


 この世界に来てから結構な年月が経つが、目の前に龍が降り立つという光景に慣れる事は無かった様だ。結愛は何故か再び拉麵を啜りながらら店に駆けこもうとした。


結愛「襲われるぞ・・・、逃げろ!!」

古龍「結愛、待ってくれよ!!俺だよ!!」

結愛「な、何で・・・、俺の名前を?!」

古龍「何言ってんだよ、恩人の名前を忘れるなんて神失格じゃねぇか!!」

結愛「俺が・・・、恩・・・、人・・・?」


 結愛は全くもって思い出せなかった、古龍を助けた事なんて今までの人生で全く無かったからだ(一度死んでしまっているが)。


古龍「ちょっと待ってろ、この姿だと分からないのは無理もねぇ。」


 すると古龍は高らかに舞い上がり姿を消した、そして数秒後に女性の姿で結愛の前に現れた。見覚えのある水色の髪、ただ何故かパンツスーツで・・・。


結愛「あんた・・・、トゥーチ神様か?」

トゥーチ「そうだよ・・・、あの時は親父がすまなかったな。」


 大企業の社長である結愛にとって1億円は少額(?)だが、やはり神に対する信頼を損ねた父親の行いが未だに許せない三女。


結愛「別に気にしてねぇよ、いずれは金が返ってくるんだから気長に待つさ。それで?今日は飯でも食いに来たのか?」

トゥーチ「そうそう、叉焼麺セットを・・・、って違うわ!!」


 結愛、取り敢えず席に戻ったらどうだ?拉麺食ってる途中だろ?


結愛「大丈夫だ、後はスープだけだから安心しろ。」


 食ってたんかい・・・、どんだけ肝が据わってんだよ・・・。


トゥーチ「一先ず中に入ろうぜ、俺も疲れているしガチで腹が減って来たよ・・・。」

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