7. 異世界ほのぼの日記3 116~120


-116 歓喜する一方で-


 旦那から指輪を受け取った結愛は顔を赤くしながら嬉し涙を流し始めた、結愛につられた周囲の女性数人もハンカチ片手に泣き始めた事には俺も驚かされた。


好美「何言ってんのよ、こんなに感動的なシーンを見て泣かない女なんていないよ。」

美麗「そうだよ、あんたって女って物を全く分かって無いね。」


 す・・・、すんません・・・。でもやっぱり結婚絡みのシーンは皆を幸せにしてくれる物だな、次は誰の番なんだろうね・・・。例えば守とか秀斗とか・・・。


2人「アホか、最近になってやっと同棲し始めたばかりなのに早すぎるにも程があるだろ。」


 おいおいお前ら、そんなに長々とした台詞をよくハモって言えたな。恋人達の目を見てみろ、やばくなっているぞ・・・。


守「え・・・、あ・・・、こ・・・、好美さん?何かございましたでしょうか?」


 何だその丁寧語、呂律が回って無いのか「鬼の好美」を避けているのか?


守「言うなって・・・、バレるだろうが。」

好美「何よ、私は私と結婚する気無いの?」


 俺、知~らない。


守「お・・・、おい!!仕方ないな・・・、えっと・・・、あの・・・、結婚まで色々順番って物があるじゃないですか・・・。」

好美「順番って何よ、聞こうじゃないの。」


 酒が回って顔つきが怪しくなっている好美に対して守はどうやって説明しようというのだろうか、期待期待・・・。


守「あのですね・・・、確かに俺達って元の世界でも付き合っていましたけどブランクって物があるじゃないですか。」

好美「そのブランクの間、あんたは真帆と楽しそうにしてたもんね。私がずっと1人で淋しくしている間も青春していた訳よね。」

美麗「それ私も見てたもん、私は好美の味方になるよ。」

秀斗「まずいな・・・、俺ちょっと外すわ。」


 結愛達の周辺とは逆に、自分の座っている席が修羅場になりそうな雰囲気を感じ取った秀斗は何とか逃げようとしていた。しかし世の中そこまで甘くはない様だ、席を外そうとする彼氏の着ていた服の袖を美麗が強く掴んでいた。


美麗「秀斗、何処に行こうとしてんのよ。」

秀斗「ちょっと・・・、お水を頂きに・・・。」


 すると丁度通りかかったミーレンが秀斗のグラスに水を注いだ、ある意味空気が読めている事は賞賛に値するだろう。


ミーレン「安心して下さい、水はたっぷりありますよ。」


 あれ?どっかで聞いた事のある様な台詞だな、でも今は気にしないでおこう・・・。


ミーレン「私だってテレビのバラエティ番組が好きなんです、何処の国で撮影されているかは知りませんけど。」


 確かに、どうしてこの世界で日本のテレビが見えるのかは未だに不明だ。まぁ、多分ビクター・ラルーの仕業だろうが今は置いといて・・・。

 秀斗は注がれた水を眺めながら数秒程震えた後、一気に飲み干して再び立ち上がろうとした。その様子をまた偶然見かけたミーレンがやって来て・・・。


ミーレン「あらら、お水がお好きなんですね。じゃあ、このピッチャーを置いときますね。」


 本当にある意味空気の読めているダーク・エルフのお陰で逃げ道が無くなった秀斗はどうにか席を離れる事が出来ないかと深く考え込んだ後、数回程辺りを見廻して・・・。


秀斗「俺・・・、ちょっとトイレ・・・。」

美麗「もう・・・、水の飲みすぎだよ。でも私も行きたくなったから行こうかな。」

秀斗「え・・・、あ・・・、そっすか・・・。」


 その後2人は仲良く手を繋いで修羅場を離れた、ただ守は大丈夫なのだろうか。


-117 笑顔を呼ぶ甘味とレストランの裏側-


 危うく修羅場になりかけたその場を治めたのはやはり真希子だった、もう守1人の母親ではなく転生者全員の母親役を担っていると言っても過言では無い。


真希子「こらこら、あんた達はこんな所で何を始めようとしているんだい。あんたらの言い争いは好美ちゃんの部屋で終わったんだろう、ここではもうやめないか。」


 守が好美の自室に引っ越して来た時から、実は2人の様子をずっと『察知』していた真希子。やはり母親としては1人息子の事が心配なのだろう。


好美「いや・・・、だって・・・。」

真希子「「だって」じゃないの、2人共互いの事を理解し合った上で同棲を始めたんじゃないのかい?それじゃ好美ちゃんが死ぬ直前みたいじゃないか、守ももうあんな思いはしたくないだろう。分かったら「ごめんなさい」しなさい!!」


 この世の中「喧嘩するほど仲が良い」とは言うが、この世界でもやはり男女の間での確執や喧嘩は後を絶たないのかも知れない。ただいくら自分の1人息子でも、喧嘩の仲介の方法が少し(?)幼稚に思えるのは俺だけだろうか。


真希子「うるさいね、僕ちゃんは黙っていなさい!!」


 おいおいちょっと待ちぃや、確かにあんたのモデルにはいつも「僕ちゃん」って呼ばれとるけどあんたもなんけ?


真希子「良いじゃないか、それとも「お嬢ちゃん」って呼ばれたいかい?」


 す・・・、すみません・・・。お願いですから今のは無かったことにして下さい・・・。


真希子「素直で宜しい、「仲良くしようじゃないか」。」


 正直今真希子が言った「仲良くしようじゃないか」という言葉に、俺は個人的に少し恐怖を覚えていた。まぁ・・・、それは良いとして。

 母のお陰で事なきを得た守は再び目の前のスイーツに戻る事にした、先程まで不機嫌そうにしていた好美もスイーツを食べて満面の笑みを浮かべていたのでホッとしていた。

 ただそんな中で守には1つだけ不可解な事が有った、奥でスイーツを作っているはずのプルはホール(いや客席)にいると言うのに何故かどんどんとお代わりが追加されていたのだ。ただ新しく出て来たスイーツが全体的に小さい(と言うより小さすぎる)のも不思議で仕方が無かったが食べやすさを重視したんだろうなとあまり深く考えなかった、そのお陰で多くの種類の甘味を楽しめているので結果オーライという事にした。


守「母ちゃん、プルが作った物も美味かったけどこのスイーツも美味いね。パティシエでも雇ったの?」


 やはり以前までドルチェを全く出していなかったが故に気になって仕方が無かった守は、副店長である母に質問した。


真希子「確か・・・、ナル君がこの前雇った女の子が今試用期間で働いているって聞いたんだけどその子かな・・・。」

守「いや母ちゃん、副店長なのに何で知らないんだよ。」

真希子「休みとかの関連で会ったことが無かったのさ、だって雇ってからまだ1週間も経って無いんだよ。そろそろ私の下に連れて来てくれても良いんだけどね。」

守「おいおい、この際ハッキリ聞くけどこの店での母ちゃんのポジションって何なんだよ。」


 確かに俺も気になる、正直ナルリスと真希子のどちらが上の人間なのだろうか。


真希子「私はただの副店長だよ、今更何を言わせんだい。」


 いや、どう考えてもあんたの方が偉そうに見えるんだが。

 ただ俺や守の疑問は厨房から出て来たオーナーシェフによりあっさりと解決した、真希子絡みなら十分あり得る理由だった。


ナルリス「ここだけの話なんだが実は真希子さんが副店長になってから数年後に貝塚財閥の傘下に入ったんで真希子さんには頭が上がらないんだよ、ただその方が食材の流通ルートの確保がしやすいって分かったんでね、好美ちゃんが教えてくれたお陰なんだよ。」


 好美がビルを買い取ってすぐの頃、下層部分を貝塚学園の寮にする契約を交わした際に食材の流通ルートについて結愛にも色々とアドバイスや手助けを貰っていた様だ。


真希子「それは良いとして・・・、ナル君、例の新人は何処にいるんだい?」

ナルリス「あの・・・、目の前にいますけど・・・。」


-118 姉妹の再会-


 ヴァンパイアの一言に大企業の筆頭株主親子はポカンとしていた、どう見ても3人の目の前には誰もいない。先日オーナーシェフが雇ったパティシエは何処にいると言うのだろうか。


真希子「ナル君、いくら私とあんたの関係でも嘘は良くないんじゃないかい?吸血鬼は人を裏切るのも平気な人種なんて聞いた事無いんだけどね。」


 真希子睨みつけられたナルリスは必死に弁解しようとしていた、ただ台詞は先程の物と全く変わっていない様だ。


ナルリス「待って下さいよ、今まで俺が真希子さんに嘘を言った事が有りましたか?ただ雇ったばかりの新人が目の前にいるのは本当の話なんです、何なら本人に証明してもらいましょうか?」

真希子「確かに、当の本人の言葉を聞けたらあんたが本当の事を言っている事を証明できるね。ただ嘘だった場合、あんたは私に何をしてくれるんだい?」

ナルリス「そうですね・・・、この店の全権をお譲りします。」


 現時点でもこの店が傘下となっている貝塚財閥の筆頭株主である真希子が店の全権を握っていると言っても過言では無いと言うのにこれ以上何を差し出すと言うのだろうか、ただナルリスの表情は自信に満ち溢れていた。


ナルリス「では真希子さん、俺が真実を言っているとなったら貴女はどうしてくれますか?」


 確かにナルリスがリスクを負うなら、真希子もそれ相応のリスクを負うべきだ。オーナーシェフが言っている事は正しい、副店長はヴァンパイアの言葉を聞いて腕を組んで考え込んでいた。


真希子「そうだね・・・、もしもあんたが真実を言っているのなら私の持つ貝塚財閥の株・・・。」

女性「だーーーーーーーーーー!!」


 突然真希子の言葉を女性の声が遮った、ただ何処からだと言うのか・・・。


真希子「え・・・?!誰だい、今の声は?守かい?」

守「母ちゃん・・・、俺があんなに高い声を出せると思うか?」


 どう聞いても先程の声は女性、守の訳が無い。ただそこにいた全員が辺りを見廻していたがそれらしき人物は何処にもいなかったのでナルリスはため息をつきながら声をかけた。


ナルリス「オラちゃん、意地悪しないで姿を現わしたらどうなんだ。副店長に挨拶したいって言ったのは君の方だろう。」

オラ「すみません、恥ずかしかったんで。」


 女性の声に反応したのは3人以外にいた様だ、ガルナスの同級生のホルであった。


ホル「あれ?この声・・・、何処かで聞いた事ある様な・・・。」

ナルリス「君は確かホル・マイヤーちゃんだったね、「マイヤー」か・・・・、何処かで聞いた事が有る気がするな。」

オラ「それもそうですよね・・・。」


 するとオラは『人化』して突然姿を現わした、どうやらピクシーだった様だ。


ホル「やっぱり、お姉ちゃんだ!!」

ナルリス「え・・・?」


 目の前で繰り広げられる姉妹の再会にただただポカンとしているヴァンパイア。


オラ「この子、私の妹なんです。」

ナルリス「だからか、特徴が似ているなと思っていたんだよ。」


 談笑する3人の懐で黙っていないのが約1名・・・。


真希子「ナル君が言ってた事は本当だったみたいだね・・・、疑って悪かったよ・・・。」

ナルリス「それで、真希子さんは俺に何をしてくれるんです?」


 どうやら2人の中で先程の勝負はまだ続いている様だ。


真希子「私が所有する貝塚財閥の株券を半分・・・。」

結愛「おば様!!何をお考えになっているんですか!!」

オラ「そうですよ、私なんかの為にそこまでしないで下さい!!」


-119 菓子職人と副店長の共通の知人-


 自分が取った行動により初めて会ったばかりで挨拶も出来ていない店の副店長が取ろうとしていたとんでもない行動を必死に制止したピクシーは、改めてシェフ帽を脱いでオーナーシェフ達に自己紹介すべきだと一歩前へ出る事にした。


オラ「宝田副店長、申し遅れました。数日前にこの店のパティシエとして雇用されたシルフのオラ・マイヤーと申します。まだ試用期間のひよっ子ですが、宜しくお願い申し上げます。」


 あらまぁ、これはご丁寧な事。ただピクシーではなくシルフだったのね、失礼しました。


オラ「そうですよ、誰が自分の事をピクシーだって言ったんですか。」


 ホルのお姉さんとお伺いいたしましたのでつい・・・、大変失礼致しました。


オラ「まぁ・・・、大差がある訳ではないですからね。気にしないで下さい。」


 あら、俺の事を気遣ってくれる人がいたとはね。こんなに嬉しい事は初めてですよ。


真希子「オラちゃんだっけ?茶々を入れて来るだけの奴は置いといて、取り敢えず貴女について聞いても良いかい?」

オラ「勿論です、私に答えることが出来る範囲なら何でも聞いて下さい。」


 真希子はナルリスにオラの履歴書を借りて目を通し始めた、まさか改めて面接でもするつもりなんだろうか。


ナルリス「真希子さん、もう採用にしちゃったんですが何が不安なんですか?」

真希子「いや、個人的に聞きたい事があったんだよ。勿論、採用を取り消すなんて事はしない(と言うか出来ない)から安心しておくれ。」

ナルリス「個人的に・・・、ですか・・・。」


 空いた口が塞がらないオーナーシェフの横で履歴書を見ながらオラの作ったスイーツを一口食べた真希子、何を聞こうとしているのだろうか。


真希子「うん・・・、うん・・・、この味・・・。履歴書にも書いてある通りだね、ナル君、この子大物になるよ。」

ナルリス「えっ?!どう言う事ですか?!」


 目を丸くさせるナルリスをよそに、改めてオラの目を見て質問する真希子。


真希子「オラちゃん、ヘルクは元気かい?」

オラ「えっ?!どうして師匠の名前を?!」

真希子「あんたの作ったこのスイーツに使われているカスタードクリーム、これはヘルクが独自開発した物のはずだ。あの子はカスタードクリームを作る際にバニラビーンズを多めに入れるからね、口に残る風味の強さが特徴的なんだよ。」


 ピク・・・、いやシルフが作ったとても小さなスイーツにごく少量だけ使われたカスタードクリームの味だけでオラの師匠の名前を当ててしまった真希子は侮れない人物の様だ。


真希子「まさかと思ってあんたの履歴書を確認させて貰ったけど、あの子がダンラルタ王国に出した店の名前が書かれていたからまさかと思ってね。別にオラちゃんの事を疑っていた訳じゃ無いから許しておくれ。それにしてもヘル、あんたも優秀な弟子を育てる様になったもんだから私も鼻が高いよ。そこにいるんだろ、恥ずかしいからって端から弟子の様子をずっと見ているのはやめにしていい加減出てきたらどうなんだい?」


 そこにいる全員が唖然としていた、皆が楽しく過ごしているホールや客席からほぼ丸見えになっている厨房以外にはもう誰もいないと思い込んでいたからだ。


守「母ちゃん、誰がいるってんだよ。ナルリスさんだって今日この場にいるメンバーは全員把握しているはずだろ、その本人が知らないなんて事があるの・・・、か・・・?」


 守がふと目線を向けた先でナルリスは目を丸くしてポカンとしていた、どうやら真希子にしか分からない範囲での話が始まっている様だ。


真希子「誰って・・・、あそこにいるじゃないか。ヘル、あんたも意地悪しないで姿を現わしたらどうなんだい。恥ずかしいからって姿を現わさないのは以前からの悪い癖だって私が何度言ったら分かるんだい、いい加減にしな!!」

オラ「え?!師匠が来ているんですか?!確定申告に行くって聞きましたけど!!」

真希子「あの子が真面目に確定申告なんて行く訳がないだろ、また嘘に決まっているよ。」

守「おいおい・・・、どんだけ信用されてないんだよ・・・。」


-120 師匠から守が学ぼうとした事-


 真希子は先程まで結愛が弾き語りをしていたピアノに向かってオラの師匠らしき名前をずっと呼んでいた、しかし守達も同じ方向を見ていたが影一つ見当たらなかった。


真希子「ヘルク、あんたも性格が悪いね。いつも都合が悪くなったら出て来やしないその癖直した方が良いんじゃないのかい?今なら許してやるから出てきたらどうなんだ。」


 いくら真希子が声を掛けても反応する者は誰もいない。


守「母ちゃん、ずっと独り言を言ってないで食事に戻ろうよ。本当に来ていないんじゃないの?その・・・、ヘルクって人。」

真希子「いいや、私には分かるのさ。昔っからずっとだからね、何度あの子に困らされた事か。」


 真希子の口調からして、どうやらヘルクと真希子は知り合い同士の様だ。


オラ「「昔っから」って、副店長は師匠の事をご存知なんですか?」

真希子「知ってるも何も・・・。」


 真希子はオラの質問に答えながらゆっくりと立ち上がり、他に誰もいないピアノの近くで自分より少し背の高い人間の肩に手を乗せる様な仕草をした。


真希子「私がこの子の師匠だからね。」


 するとどうだろう、誰もいなかったはずの真希子の前に1人の男性が突然現れたではないか。話の流れから、この男性がオラの師匠のヘルクらしい。


ヘルク「し・・・、師匠・・・。お、お久し振りです。お元気でしたか?」

真希子「何が「お元気でしたか?」だい、都合が悪くなったり恥ずかしくなったらすぐ『透明化』するのをやめろと何回言えば分かるのさ。」

ヘルク「す・・・、すみません。ただ弟子の事が心配で見に来ていただけなんですよ、しかし私がいると分かると本人が妙に気を遣ってしまうと思ったんで仕方なかったんです。」

真希子「嘘言わないの・・・、ほら、ポケットの中身を出しな!!」


 真希子はヘルクにプロレス技をかけた、しかしポケットからは何も出てこない。


真希子「光ちゃん、ちょっと手伝ってくれるかい?きっとあんたも関係する事だと思うんだ、良かったら好美ちゃんも頼めるかい?」


 2人は顔を赤らめながら真希子の手伝いを始めた、嫌な予感がしたのかいつも守にかける時の倍の力でかけていたのでヘルクのポケットから溢れんばかりのポラロイド写真が出て来た。それを見た3人はヘルクにビンタをしていた。


3人「あんた最低!!」


 そう、ヘルクは自分の能力を利用して盗撮をしていたのだ(写真の内容はご想像にお任せします)。先程までスイーツのお陰で良い雰囲気になっていたというのにヘルクの所為でぶち壊しであった。


好美「あんなに美味しいスイーツを作れる男の人って格好いいと思っていたのに!!」

光「私達の夢を壊さないでくれる?!」


 女性達の怒りが収まらない中、好美は内心ぞくっとしたので守の方向を見た。そう、『透明化』という都合に良い能力の存在に気付かれてしまったので会得されると色々と厄介だと思ったのだ。


好美「守、まさかあんた・・・。」

守「バ・・・、馬鹿野郎!!そんな訳無いだろ!!」


 ただ守の顔が赤くなっていた様子から、ヘルクと同様の行為を行おうとしていたのがバレバレだった。はっきり言って「プロレスごっこ」をしていた時と同じ表情になっていた事も守の心中をよく表していた。


好美「このド変態!!」

光「やっぱりあんたは相変わらずなのね・・・。」

守「おいおい、俺はまだ何もしてねぇだろ。」

好美「「まだ」って事は何かするつもりだったんだ・・・。」

守「・・・、すんません・・・。」


 やはりブランクがあったものの、長年の付き合いで培ってきたものは大きい様だ。

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