7. 異世界ほのぼの日記3 81~85


-81 乗り心地等の良さにより-


 貝塚学園を後にして、美麗の運転するトラックに揺られていた秀斗は段々と眠気に襲われていた。どうやら美麗自身がこっちの世界での運転に慣れて来た様で、ゆったりとした余裕を持つことが出来始めた様だ。


美麗「ずっとまっすぐだし綺麗な道路だね、異世界に来た実感が全く湧かないよ。」


 美麗(と言うか光達を含む転生者達)がこの世界にやって来てからこの世界は大いに発展したと思われる、きっと皆をここに送り込んだビクターも今頃空いた口が塞がらないでいるだろう。

 そんな中、ずっと運転席から声を掛けられているというのにも関わらず夢の世界に行ってしまっていた秀斗はいつの間にか恋人の機嫌を損ねてしまっていた。


美麗「良い御身分だよね、彼女に運転させてぐっすり眠っちゃってるなんてさ。」


 不機嫌そうな美麗の声でやっと目を覚ました秀斗は、眠い目を擦りながらより一層目を覚ます為に強炭酸水に手を延ばした。


秀斗「ご・・・、ごめん。それで・・・、何の話だっけ。」


 慌てて乱れた前髪を整えながら美麗に質問する秀斗。


美麗「あのね、秀斗の荷物をトラックで運んで来るって好美に昨日行った時なんだけど、この前改修工事を行ったエレベーターを試しに使ってみて欲しいって言ってたのよ。だからマンション1階の店舗部分前で荷物を降ろしていこうと思うんだけど大丈夫かな?」

秀斗「美麗がしやすい様にやってくれて良いよ、ただでさえ運転してもらっているんだから我儘言えないよ。」


 申し訳なさそうな表情を浮かべながら後頭部を掻く秀斗、信号待ちをしていた美麗はそんな彼氏を睨みながら残ったコーラを飲み干した。


美麗「何よ、さっきはグースカ寝てたくせに。」

秀斗「本当に悪かったよ、飯奢るから許してくれよ。」

美麗「当たり前でしょ、ずっとお酒も我慢しているんだからビールもご馳走して貰うんだからね。」

秀斗「わ・・・、分かりました・・・。」


 運転席から感じる圧につい委縮してしまう秀斗、元柔道部員でも女の子にはタジタジになってしまう様だ。


秀斗「それはそうと、好美ちゃんに挨拶しなくても良いのかな。大家さんだからお世話になる訳だからね。」

美麗「確かに反対はしないんだけどさ・・・。」


 何かを思い出したかの様に少し焦った表情を見せる美麗。


秀斗「「反対はしないけど」・・・、何?」

美麗「明日でも良いんじゃないかな、今夜夜勤って聞いてるから起こすと悪いし。」

秀斗「確かにそうだけど、他に理由がありそうな言い方だな。」


 美麗の心中を察した秀斗は恐る恐るその訳を聞いてみる事にした。


秀斗「良かったら聞かせてくれない?一応、念の為・・・。」

美麗「良いけど、寝ないでよ?」


 まだ恋人の事を信用できない美麗、その表情を見た秀斗は慌てて『アイテムボックス』から黒い粒ガムを数粒取り出して一気に口へと放り込んだ。


秀斗「ほひ(よし)・・・、ほへへはいほうふは(これで大丈夫だ)。」

美麗「何よ・・・、ガムなんかに頼っちゃって・・・。」


 秀斗の行動によりまだ不機嫌さを残す美麗は、信号が青になったのでギアを「2」に入れてトラックを発進させながら語り始めた。


美麗「えっと・・・、いつの事だったっけ・・・。」


 美麗がなかなか思い出しそうにも無いので俺の方から語ろうと思うのだが良いのだろうか、いや2人の会話に割り込むのはちょっとあれかもな・・・。


美麗「何考えてんの、ちゃんと思い出すもん。失礼な事言わないでよ。」


-82 悪い癖-


一呼吸置いた美麗は自分達がまだ大学に通っていた頃のある夏の日を思い出していた、これは好美の里帰りに同行した美麗が徳島で初めて過ごした夜の事だ。長旅での疲れにビアガーデン等で呑んだビールが手伝ったからか、突然の眠気に襲われた美麗は好美の実家にある部屋でぐっすりと眠ってしまっていた。

その翌朝、友人である桃を徳島駅へと迎えに行った後にある観光スポットへと向かう予定だった美麗は楽しみにしていたからか早起きしていた。玄関前に出て外の澄んだ空気を吸おうとしていた美麗に好美の母・瑠璃が声を掛けた。


瑠璃(当時)「えっと・・・、美麗ちゃんだっけ?おはよう。」

美麗(当時)「あ、おはようございます。」


 まだ薄暗い早朝だというのに猛暑が2人を襲う中、瑠璃は玄関先に打ち水をしていた。


瑠璃(当時)「そう言えばうちの子は?」

美麗(当時)「好美ですか?まだ部屋で寝てるみたいですけど。」

瑠璃(当時)「あらま、相も変わらずだね・・・。仕方ない事なのかね・・・。」


 幼少の頃から寝起きの悪かった好美は、前日の晩に丸亀競艇で大負けした父・操のヤケ酒に付き合っていたらしい。

 ただ時刻は出発予定時間の1時間前、そろそろ起きて朝食を摂らないとまずい。


瑠璃(当時)「美麗ちゃん、申し訳ないんだけど好美を起こして来てくれるかい?私は朝ごはんの支度をしているからさ。」

美麗(当時)「分かりました、因みに朝ごはんの献立は何ですか?」

瑠璃(当時)「ん?うちじゃいつも通りだけど、パリパリの大野海苔と焼いたフィッシュカツにだし巻き卵だよ。」

美麗(当時)「聞いた事ない物が2つも・・・、楽しみにして起こしてきますね。」


 瑠璃と別れた美麗は好美の自室へと向かい、ゆっくりと扉を開いた。中ではメイクを落とした好美がTシャツと短パン姿でぐうぐうと鼾をかきながら眠っていた、これは当時2人が住んでいたマンションでもよくある光景だった様で・・・。


美麗(当時)「好美・・・、起きてよ。桃を迎えに行くんでしょ。」

好美(当時・寝言)「うーん・・・、まだ食べる・・・、呑む・・・。」


 好美は夢の中でも大食漢振りを発揮していたが、このまま食事を続けさせると自分が食事にありつけなくなるので必死に体を揺すった美麗。


美麗(当時)「もう・・・、後でまた呑むんだから今はそこでストップしなさい。」

好美(当時・寝言)「やーだー、まだ呑む・・・。」


 まだ起きようとしない好美に痺れを切らした美麗は、好美が包まっていた布団をひっくり返して無理矢理起こそうとしたがまだ起きていない。諦めずにもう一度体を揺すって起こそうとしたら・・・。


美麗(当時)「お願いだから起き・・・、痛っ・・・!!」


 寝起きと同様に寝相の悪さに定評があった好美の左足が美麗の脇腹にヒットしたらしい、2人がなかなか食卓へと来ないので心配になった瑠璃が好美の部屋に様子を見に来ていた。


瑠璃(当時)「ちょっと2人共、何やって・・・、って事故が起きて無いかい?」


 震えながら痛めた脇腹を必死に押さえる美麗。


美麗(当時)「あの・・・、好美って格闘技してましたっけ?」

瑠璃(当時)「いや、してなかったと思うけどその様子だと結構な1発が入ったみたいだね。お詫びとして好美の分のフィッシュカツ、美麗ちゃんにあげるわ。」

美麗(当時)「まだ何か見た事無いので喜ぶべきか分からないんですけど。」


 そんな中、やっと目覚めたお寝坊さんは目を擦りながら2人の様子を見て質問した。


好美(当時)「おはよう・・・、ねぇ・・・、何でこんなに部屋が荒れてんの?」

瑠璃(当時)「何が「おはよう」なのさ・・・。」

美麗(当時)「誰の所為でこうなったと思ってんの?」


 そして数分後、食卓を見て好美は瞬時に異変に気付いた。


好美(当時)「何で?何で私だけフィッシュカツ無いの?」

瑠璃(当時)「あんた・・・、自分の胸に手を当ててよく考えてみな・・・。」


-83 休みはどうすべきものか-


 美麗が痛々しかった思い出を語っている間にトラックは国境のトンネルを抜けてネフェテルサ王国に入った、市街地を走り好美のマンションに到着する寸前に美麗は大家との会話を思い出して秀斗に報告した。


美麗「秀斗、荷物の運搬なんだけど1階から運ぶ形で良いよね?」

秀斗「あれ?それ、さっきも言ってなかったっけ?」

美麗「確認だよ、世の中「念には念を入れよ」って言うじゃん。それに好美自身が荷物はここから入れてって言ってたからさ。」


 荷物を降ろす為にトラックは1階の店舗部分前へと到着した、ただ秀斗は少し心配そうな表情をしていた。


美麗「どうかした?」

秀斗「いや、こんな所に止めて店の人の迷惑にならないかな。」


 恋人の言葉を聞いて携帯を確認しながら答える美麗、待ち受け画面の時計は昼の2:00前を指していた。


美麗「大丈夫だよ、この時間帯ならお客さんは少ないって聞いてたからさ。」

秀斗「それ、誰からの情報だよ。」


 秀斗は「暴徒の鱗」の出入口を指差して美麗の言葉を否定した、指し示された方向を見てみるとまだ数名程が並んでいた。よく見てみれば全員『人化』した竜(ドラゴン)族の様だ。


美麗「あれ?この前好美に聞いた時、この時間は暇だから大丈夫って言ってたのに。」

秀斗「これは流石に店の前に車を止めると迷惑になるだろう。」


 美麗は頭を抱えていた、駐車場に車を持って行っても良いが好美の善意を無かった事にしたくはない。


秀斗「でもさ、好美ちゃんからの情報って信憑性があるのかな。本人って普段夜勤をしているからこの時間帯は呑んでるか寝ているはずだけど。」


 確かに、夜の10::00から仕事をするならこの時間帯は自室にいるはずだ。そこで2人は店前の混雑が解除されるのを待つ事を兼ねて拉麵屋で昼食を摂る事にした、腹ごしらえをしてから作業をしても問題は無いだろう。それに好美以外の従業員達に挨拶しても構わないんじゃないかという考えもない訳じゃ無かった、ただ2人が入店した時・・・。


女性「いらっしゃい!!お好きなお席にどうぞ!!」


 時間的にこの場所にいるはずの無い女性を含む従業員達が笑顔で2人を出迎えていた、そう、好美が「暴徒の鱗」で働いていたのだ。


美麗「好美!!何でよ!!」

秀斗「この時間帯は寝て無きゃ駄目だろう!!」


 美麗達の言葉を聞いた副店長がオーナーを守るため、お玉片手に間に割って入った。


デルア「あんた、見ない顔だがうちのオーナーにご挨拶が過ぎるんじゃないのか?」

好美「デル、私の友達になんて事を言うの!!クビにするよ!!」

デルア「え?!そうなの?!悪かったよ・・・、認めるからクビは勘弁してくれ。」


 頭を掻きながら調理場へと戻っていくデルアを見送った後、改めて2人を席に案内する大家兼オーナー。


好美「ごめんね、忙しすぎて気が立ってるだけなのよ。普段は良い人だから許してやって。」

美麗「良いんだけどさ、何でこの時間に仕事してんの?夜勤は大丈夫な訳?」

好美「いやね、店長のイャンダが今年3回目のインフルエンザになっちゃったみたいで人員不足だから来たの。」


 1年に3回もインフルエンザになるとは、いくら何でも体調管理が怠惰すぎる。


秀斗「でも今夜、王城で夜勤って言ってなかったか?」

好美「同僚がギックリ腰になった時に交代で入ったから代休を貰う事にしたの。」

美麗「だからって働かなくても良いじゃん。」

好美「いや・・・、こんな状況でほっとけないよ。」


 流石は起業家、各々の仕事を大切にしていると美麗は感心しながら席に着いた。


-84 提供した料理は豪華な賄い-


 空腹で我慢が出来なさそうにしている秀斗と美麗は好美に導かれるがままに良さげな席に着いて一先ず水を飲んだ、テーブルの端に揃っているメニューを取ってすっかり減ってしまった腹を摩りながら何を食べようか吟味していた。


美麗「好美が言ってたけどこの店のメニューって結構うちの店の影響を受けてるらしいんだよね、やっぱり食べ慣れたものを頼むのが良いのかな?」

秀斗「美麗が言う「食べ慣れたもの」って賄いとかってやつなの?」

美麗「いや、普通に店でお客さんに出してた物と変わらないと思っているんだけど。」


 採譜を見ながら悩む2人の元にそろそろ良いかなと思った店のオーナーが近づいて質問した、そう言う意味では好美は空気を読める人間なんだろうか。


好美「2人共、そろそろ決まった?」

美麗「悩むよ、どれも美味しそうなんだもん。」


 生前、パソコンが得意だった好美が作った写真たっぷりのメニュー表が2人を惑わせた。


美麗「好美、オススメってある?」

好美「うん、全部。」


 よくあるベタな受け答えに思われるが元も子もない様に思われるのは気のせいだろうか。


美麗「全部って困るんだけど。」

好美「だってさ・・・、全部美味しいんだもん・・・。1番ってどう決めれば良いの?」


 確かに悩みたくなる時はある、ただ「強いて言うなら」という言葉を出すとどうなるのだろうか。ただ好美が悩む理由を美麗はしっかりと理解していた。


美麗「確か・・・、ここの料理の殆どってパパが作っていた物がベースなんだよね。」

好美「そうなの、龍さんが作っていた物全部が好きだから1番を決めれないのよ。」


 元の世界でずっと味わっていた味・・・、好美にとって忘れる事が出来ない味・・・、という事は美麗にとってはある意味「おふくろの味」と言っても過言ではない。


美麗「じゃあ・・・、炒飯にして良い?」

好美「やっぱり?美麗ならそう言うと思ってた。」


 世の中では「中華料理は炒飯に始まり炒飯に終わる」という位炒飯は重要な料理と言える、それを忘れない為に毎日中華鍋を振って炒飯を作っていた龍太郎に付き合わされていた美麗は炒飯の味にうるさくなっていた。


美麗「パラパラじゃないと認めないからね。」


 数か月前から用途に合わせて使える様に一応IHとガスのコンロを置いて良かったと改めて胸を撫でおろす好美、しかし「松龍」の様な強い火力を出せる代物は無い。


好美「ねぇ、美麗。今度から店でやろうと思っているメニューを味見してくれない?お代は要らないからさ。」

美麗「え?!良いの?!」


 待ってましたと言わんばかりに食らいつく美麗、よっぽど腹が減っていたと思われる。ただ好美の言葉をデルアが聞き逃さなかった、勿論店の人間として。


デルア「待てよ、流石にタダで食事をさせる訳にはいかないと思うんだけど。」

好美「良いのよ、元々賄いで出してた料理だし。」


 オーナーが持っていた具沢山な料理を見て首を傾げる副店長は不審そうに尋ねていた、これは世の中でいう五目炒飯ではなく何目炒飯なんだろうか。


デルア「そんなの賄いに出てたか?」

好美「デルアがケチだったからいた時は出さなかったのよ。」

デルア「「ケチ」は無いだろう、経費だって限られているんだぞ。」


 実は結構余っていた食材を使って賄いを作っていた事が多かった、デルアがケチケチしていたのでイャンダの休日後は特に余っていたのだ。


美麗「結構豪華だけど食べて良いの?」

好美「当たり前じゃない、どうせあとで私が食べようと思っていたんだし。」

秀斗「だからって具沢山過ぎないか?」


-85 利益をしっかりと考えるオーナー-


 デルア達の言葉を予想していた好美は、3人を店舗の裏庭へと連れて行った。そこには副店長も存在すら知らなかったという大きな業務用冷蔵庫があり、先程好美が提供した試作品に使われていた野菜を中心とした材料が保管されていた(と言うより裏庭あったんだな)。


デルア「好美ちゃん、その大量の野菜はどうしたんだよ。光さんの所でこんなに買い付けると輸送費込みで莫大な金額が必要になると思うんだけど。」


 『転送』を使って直接光の家から送ってもらうという手もあるのだが、それだと途中でガイの所に立ち寄れなくなる。ガイの作る米は多数の客に定評があるので契約を解除する訳にはいかない、勿論光の所とも同様の事が言えた。


好美「デルアならそう聞いて来ると思ったよ、皆、あそこを見てくれる?」


 好美が指差した先には広々とした畑があり、大量の作物が育てられていた。


デルア「まさか、他所で育てた野菜を採って隠したのか?!」

好美「何馬鹿な事言ってんの、ちゃんと結愛に許可をもらって安く売って貰ってんのよ。」


 貝塚学園魔学校の寮(好美のマンション下層階)に住む園芸科(あったの?!)の学生達が授業の一環として育てた野菜を店様にと好美が買い付けたのだ、どうやらイャンダも知らない所で結愛に直接交渉したらしい。


デルア「またこんな大量に・・・、使いきれなかったらどうすんのさ。」


 前例があり過ぎる案件に再び頭を抱える副店長。


デルア「もう兄貴の所は駄目だって聞いたぞ、それに元から光さんの育てた野菜に拘ってるから尚更だと思うけど。」


 デルアの兄であるナルリスは今の店を建てる時、3国の国王達が用意した街の中心部での営業を蹴ってまで光の野菜を使う為の立地に拘っていた。デルアも人づてに聞いた事だが、その強い気持ちは今でも変わっていない様だ。

 そんな事を話していると、噂になっていた農家の主である光がガイを連れて様子を見に来た。2人によると週に2~3度、この裏庭に足を運んで生徒達に指導を行っているらしい。各々の仕事もあるというのによくやる、俺なら真似出来る気がしない。


光「どう?私達の教え子たちが作った野菜は役に立ってる?」

ガイ「多少形が悪くても味は同じだから刻んだりしたら変わらないよね。」


 デルアが改めて原価等を計算しなおした際に市場価格に比べてやたらと安い理由が分かった、好美が買っていた物は一般的に言う「訳あり品」だった様だ。


好美「どう?私だって頭いいでしょ、それに光さんが指導している生徒達の野菜だから本人達の物に限りなく近いはずだよ。」


 開いた口が塞がらないデルアの横でふんぞり返りだした好美、流石はマンションや拉麵屋を経営しているだけはある。

 好美は電卓を叩いてデルアに見せた、どうやらこの野菜達を使った時の粗利益高の予算を計算して出したらしい。その数字を見たデルアは固唾を飲んでいた。


デルア「好美ちゃん、マジなの?それを結愛社長がOKしたの?」


 野菜の市場価格よりかなり安いので、本当は好美がズルをしたんじゃないかとつい疑ってしまった副店長。


好美「何?疑ってる訳?クビにされたい?」


 先程も聞いた気がする言葉だ、ただ「鬼の好美」の圧は凄い。


デルア「す・・・、すみません・・・、何も無いです。」

好美「じゃあこの野菜を店で出して良いよね、大丈夫だよね。」

デルア「料理にしてしまえば大丈夫だから問題無いよ、ただ1度イャンダに相談しないと。」


 デルアのこの言葉をも予想していた好美は既に店長に向けて『念話』を飛ばしていた。


イャンダ(念話)「安く・・・、つくんだろ?文句が・・・、ある訳無いじゃないか。」

デルア(念話)「イャン・・・、無理に合わせなくて良いんだぞ。」

好美(念話)「何?文句あるなら改めて聞くけど?」

2人(念話)「い・・・、いや・・・。な・・・、何でも無いです・・・。」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る